第2話 いい人と悪い人、そしてメイド
その頃ミナミはと言うと
(ようやく街にたどり着いた)
「凄い、沢山の人が居る」
私は出店が沢山ある場所を歩き、ギルドを目指した。
食べ物やら指輪、ポーションに本まで色々と出店で売られていて私の興味はわきわきだ。
「よぉ嬢ちゃん」
突然声をかけられた。
そちらの方を向くと、筋肉モリモリのいかつい男が居た。
「な、何ですか?」
「この街は初めてかい?」
「はい、初めて来ました」
「そうかい、家の店では武器を売っているんだがお嬢ちゃん、武器は持っているかい?」
「うーん持っていないです。
魔物が出たら魔法で倒します、それか逃げます」
「ふははは!逃げるや魔法もいいが武器も必要だぜ?
魔法攻撃が効かない相手も居る、そうする時逃げるしかないぜ?
もしも逃げれなかったどうするんだ?」
「そ、それは〜」
「答えられないだろ?だから武器は必要だぜ。
見る感じ、お金はあんまり持ってい無さそうだし、セラス街初めてと言うことで武器をあげよう。
剣でいいか?」
「剣って重いですか?」
「ふははは!そりゃ、少しは重いさ。
素材によってはかなり重い剣もある、まぁ大体は大剣って言われる大きな剣になっているぜ。
剣なら初心者でも子供でも扱える代物だからだぜ?
短剣とかもあるがあれは癖があるし、使いづらいと言う人も居る。
まぁ、短剣は素材を剥ぐのに必要だからおまけで付けておくぜ?」
「あ、ありがとうごいます。
でもどうして私に?」
「いやいや、お嬢さんだけじゃないぜ?新しく来た人には声をかけてるさ。
勿論、武器があるならタダで強化しているし、お嬢さんのように武器を持っていないならあげてるしな。
それよりもどこに行くつもりだ?」
「ギルドです」
「冒険者登録か、一応お金が必要だがあるのか?」
(え?お金いるの!?)
「え?居るんですか?冒険者登録に?」
「当たり前だろ?お嬢ちゃん、田舎者かい?
まぁそれなら仕方ないか、お金はあるかい?」
「はい」
私は袋に入っていたお金を出す。
「ふむふむ」
武器おじさんはお金の数を数え、
「うん、問題ない。
お金は足りてるぜ」
「何から何までありがとうございます」
「へ!良いってことよ。
また店に来てくれるなら」
「はい、また来ます」
「おっと忘れていたぜ!武器だよな。
これだ!」
武器おじさんは銀色の剣と銀色の短剣をくれた。
「これって銀?ですか?」
「ああ、そうだ!かなり耐久もあるし、お嬢ちゃんがある程度強くなるまでは持つだろう。
大事に使ってくれ!」
「はい!大切に使わせて頂きます」
私は武器を受け取るが………
「おっと!お嬢ちゃんの身長だと剣が地面に当たるな。
空間収納って知ってるか?」
「分かんない」
「教えてやるよ、空間に穴を開ける……そう思うんだ。
イメージが重要だぜ?」
(空間に穴を開ける……やってみよう)
私は目を瞑り頭の中でイメージする。
すると
「目を開けていいぞ」
おじさんの声がして目を開けると目の前に黒い穴のようなものがあるではないか。
「これは!?」
「これが空間収納の入り口の穴だ。
この中に武器を入れておくぜ」
おじさんはそう言い私の武器を穴の中に入れる。
すると
す〜と休に穴が小さくなり消えた。
「き、消えましたよ?」
「ああ、数秒で消えるからな」
「もう一度出すにはまたイメージすればいいんですか?」
「ああ、だが目を瞑る必要は無いぞ。
頭の中に思えば直ぐに現れるそこに手を突っ込むがその時に出したいアイテムを思う必要があるぞ。
初心者冒険者が忘れやすい事だからな」
「分かりました、ありがとうございます」
「いいってことよ、それじゃあギルドに向かいな?
今頃空いているだろ?」
「行ってみます」
私は武器おじさんと別れてギルドを目指した。
沢山の人で賑わっていてとても私の目から見たら幸せが広がっているような気がする。
そうして色々と考える事数分、ギルドにたどり着いた。
私は扉を開け入ると沢山の冒険者が居た。
依頼を見ている冒険者や酒を飲む冒険者、おしゃべりをしている冒険者まで居る。
(楽しそう)
私は受付嬢が居ると言う、受付を目指した。
歩いて居るのだが少し視線を感じる。
しかもコソコソと話し声も聞こえる。
「ねぇあの子、子供よ?子供が来るような場所じゃ無いのにね」
「ほんとほんと、大人になってから来る場所なのに」
「ガキが居るとうるさいしだるいんだよな」
「ああ、ガキに分からせるか?大人の怖さを」
「へへ!やめろよ、あんなガキ相手にしていたら田舎臭くなるぜ」
「確かにな」
(やっぱ、大人も変わらない………嫌な奴は嫌な奴……私は一人……一人の方が楽なのに)
私は表情を変えず、受付へと向かう。
「ふふっ小さなお子様ですね、どうされたんでちゅか?」
「………貴方も周りの冒険者と同じ何ですね」
!
(な、何このガキ!?私をバカにして!?)
「ち、違うわよ!ここはセラス街の冒険者ギルド。
子供の来るような場所じゃないわ、何のようかしら?
街案内なら街人でも聞けばいいわ」
「………冒険者登録したいんですけど」
「ぷぷっ!ぼ、冒険者登録!?あのね、貴方は女の子よ。
それも子供、幼い、冒険者登録なんて出来ないわ。
さ、帰りなさい」
「………そうですか……」
「あんたのようなガキは冒険者になるよりも学校でお勉強しまちょうね〜」
受付嬢はバカにする言い方で言ってきた。
周りからも笑い声が聞こえる。
(うざい……うざい……憎い……やっぱり……コイツラはクズばっか………私の村のガキと変わりない)
ガシッ!
「痛っ!?」
突然頭を捕まれ持ち上げられる。
ハゲの冒険者だ。
「ガキが居るとうぜーんだよ!とっとと失せろ!!」
ドカッ。
私の体は投げられ壁に当たる。
「ちょ!やり過ぎよ〜、ガキ相手に」
隣に居た金髪の女が言う。
「へ!これくらいやれば怖くて来なくなるだろ。
がはは!!」
………。
「クズしか居ない……」
「あ?何だって?」
「大人って………ううん、ギルドの冒険者ってクズしか居ないんだね。
街人とは大違い」
「あ?!てめぇー!誰に言ってやがる!!」
胸ぐらを捕まれ私の顔の近くにハゲの顔が。
「うざ…」
「大人を怒らせるとどうなるか分かるよな!!!」
「どうなるの?」
「へへ!教えてやるよ!!!」
「ちょ!」
ハゲは剣を抜き斬りかかる。
(ふふっ)
ガキン。
!?
ハゲの剣は私の目先で止まる。
「な!?」
「殺せるとでも思った?」
「お前!何もんだよ」
私はハゲの拘束を破り距離を取る。
「私は、ミナミ・サーラス。
普通の女の子だよ」
「こいつ!普通のガキじゃねぇぞ!」
ハゲの男が言う。
「………、少しだけ力……見せてあげる。
はあああ!!!」
!?
ギルドの建物内が揺れ始め、棚や机に置いてある花瓶がガタガタし始める。
(こいつ!?)
「はっ!」
バチバチ。
(ふぅ〜………)
「私は、冒険者になる……楽しいことを邪魔する者は許さない」
「ちょ!おい!お前、何もんだよ!!ただのガキじゃねぇだろ!!!」
「ハゲうざい、殺していい?」
「は、ハゲハゲ言いやがって!!!」
「じゃあ殺すね、闇の一撃」
!
ガキン!!!
!
ハゲに襲いかかる闇の一撃を弾き返す者が現れる。
(うん?私の攻撃を止めた?打ち消した?)
「子供が何をしているのかしら?」
それはメイド姿の女だった。
「メリアさん!こいつ、こいつが俺様に攻撃してきて!奴を殺せ!!」
「……」
「貴方、名前は?」
「ミナミ」
「ミナミちゃん、コイツはこう言ってるけど言い返す言葉ある?」
「………」
「だんまりね、悪いけどギルドは破壊させないわ!!神速斬り!!!」
ガキン!!!
(な!?)
「こ、この子!プロテクションバリアを常に発動できるなんて!」
「バリア如きで驚きすぎたよ、メイドさん。
…………これで終わりだね、闇の一撃」
「ぐわあああ!!!」
メイドは突如、無数の攻撃をくらい吹き飛び気絶する。
「な!?メリアを一撃で!?こいつ何者なんだ!」
「ねぇ、受付嬢さん。
私の事バカにしたよね?」
!
「あのメイドさんみたいになろっか」
「い、嫌……ごめんなさい……私、貴方の事ただの子供だって思って」
「ただの子供だったらあんな風に扱えって言われたの?」
「そ、それは」
「結局、大人はバカかアホか、無知のどれか何ですね。
街人の方が優しくて好きです。
ギルドの者達、つまりここに居る冒険者は愚かな人しか居ないんですね」
「何を!!!」
一人の冒険者が斬りかかる。
しかし、
パチン。
どかーん!!!
ミナミが指を鳴らした瞬間、冒険者の体が一気に吹き飛び壁に激突し、動かなくなった。
「こ、殺したのか!?」
「………いいえ、生きてるわよ。
手を抜いてるから死んでないし、気絶してるだけ」
「冒険者登録してくれる?それとも死ぬ?」
「し、します!!だから!もう壊さないで〜!」
受付嬢は急いで書類を書く。
「…………ふぅ〜」
ミナミの周りにあるオーラが消える。
冒険者達はミナミを見る。
「何?なんか用なの?みんなしてこっちを見て」
すると金髪ショートヘア、銀色の鎧を着けた若い男がミナミに近づく。
「お前の強さ……弱い自分をさらけ出したくない、だからだろ?」
!
「違うもん、私は私、力を手にしただけ。
この力で私は一人で生きていく、誰も助けなんて入らない」
「一人で楽しいのかよ」
「一人でいい、私はいつも一人ぼっちだから。
もういい?私は疲れているから」
「ああ、そうかい。
行こうぜ」
金髪男は仲間と共にギルドを出た。
他の冒険者達もぞろぞろとギルドを出ていく。
どうせ、私が怖いから逃げたくなったのだろう。
(そう言えばメイドを吹き飛ばしたような?)
私は不意にメイドが倒れている場所に目をやると立ち上がろうとしているメイドが居た。
(あの人は………いい人……のような……気がする)
私は立ち上がろうするメイドを支えた。
「な、何の……つもり」
「貴方は悪い人じゃない、そんな気がしたから手を貸しただけ」
「そう………貴方、かなり強いのね。
子供だと思って油断しちゃった」
「別に、私も初めて力を使ったからこんなにもね」
「ふふっ、あ、そう言えば私はメリア・シュパルズ。
ミナミちゃんだよね、友達になろう?」
!
(と、友……達……)
(うっ!)
悪い記憶が蘇る。
「友達になろう〜」
「これからよろしくね」
「ミナミちゃんとは仲良くできそう」
・・・・・・・・・・・・・・・
「うっ!」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫………友達だよね?い、いいよ」
「良かった、よろしくねミナミちゃん」
「う、うん」
(この人は信じれる人?それとも………)
「あ、あの……ミナミ様?」
震える声で受付嬢が聞いてきた。
「様とかいらないし、何?」
「ひぃ!ぼ、冒険者登録は終了しました。
あのいつでも依頼出来るんで」
「………じゃあ薬草取りの依頼をお願いします」
「は、はい!依頼を受注しておきますね」
「ふふっ、あの強さで薬草取り?ミナミちゃんは魔物討伐とかしないの?」
「しませんよ、魔物はあんまり好きじゃないので」
私はギルドを出る。
何故か、メリアも一緒に来た。
「あの、何で付いてきているんですか?」
「え?パーティメンバーだよね?」
「へ?」
「え……私達友達だよね?」
「いや、友達でもパーティメンバーじゃないよね?付いてくる意味ある?」
「ミナミちゃん、酷いんだね……」
!
「わ、分かった。
でも仲間だから、私の依頼を手伝ってね。
私はあんまり、人を信用していないんだから」
「ふふっ、分かりました。
ミナミ様って呼べばいいですか?」
「あ~、メイドさんだから?…………うん、ミナミ様って言って。
何だかそっちのほうがしっくり来るような気がして」
「分かりました」
「それじゃあ、これからよろしくお願いします。
メリア」
「よろしくお願いします、ミナミ様」
「それじゃあ薬草取りをしましょ」
「はい、私が薬草のある場所をご案内します。
一応薬草の知識もあるので」
「ありがとう」
そうして私とメリアは街の出口へと向かうのでした。
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