第20話 パールル街での激闘、目覚める呪いの力
その頃、ミナミ達はと言うと出発するための支度を済ませ、針の指す方角へと進んでいるのでした。
「次の街はどこなんだろう」
「この先にはパールル街があるから多分そこだと思うよ」
「紫色の玉ですか?」
「よく分かってるね、どうして?」
「少し昔に本を読んで、パープルって紫って意味を見たような気がして」
「……そう……なのね、うん!正解だよ。
針の指す方角にパールル街、特にこれと言って特徴はないかな」
「そうなんですね、そこにも冒険者達が居てくれて街を守っているんですかね?」
「多分そうだと思うよ」
「さぁ、行こう」
鈴音に言われ私達は足を進めた。
そして日が頭の上に来るくらいまでになんとか到着した。
「はぁ、疲れた〜」
「私は玉の所在を聞いてくるからみんなは宿屋でゆっくりしてていいよ。
街の探検をしてもいいけどね」
そう言い鈴音さんは行ってしまった。
「ミナミ様、ヨウコ様。
どうします?」
「一旦宿屋でゆっくりしよう。
私は足が疲れて痛いし」
「じゃあ宿屋に向かおう」
私達は宿屋に向かい、中に入ると部屋まで案内された。
案内された部屋は大きく、ベッドが2つある。
でもかなり大きい。
「ミナミ様、横になってください。
あと靴を脱いでください、私がモミモミしますから」
「ちょ!足を洗ってからにするから」
私はそそくさと走りお風呂場で足を洗う。
部屋にはお風呂が完備されているので中々の高額かと思っていたけどどうやら鈴音さんが話をつけていたらしくタダで泊まれたのだ。
そうして部屋へと戻り、ベッドに寝転がる。
するとメリアが私の足の裏をもみもみしてきた。
「ふふっくすぐったい」
「はいはい、我慢してね」
「……私はちょっと外に出るね」
「ヨウコ様、足を洗ってきてください。
ミナミ様と一緒にやりますから」
「う、うん」
ヨウコは少し頬を赤らめ、お風呂場へと向かった。
(ふふっ)
ヨウコが戻りミナミの隣に寝転がる。
そしてメリアが足をもみもみした。
「ひゃん、くすぐったい〜。
ふふっ」
ヨウコは嬉しそうだ。
そうして疲れて私とヨウコは眠ってしまった。
(あらあらお二人共寝てしまいましたね、私も少し休息を取りたいですが情報収集を怠る訳にはいきませんし、寝ている内に街の事を知りましょう)
メリアは音を立てないように部屋を出て行った。
数時間後
「ふわぁ〜」
大きなあくびをして目を覚ます2人。
メリアは居なかった。
「あれ?もう夜になりそうだよヨウコ」
「私達寝ていたのね、それよりもメリアさんはどこに行ったんだろう。
部屋に居ない」
「探しに行こう」
そうして私達は宿屋の外を出て街を歩いた。
もうすっかり暗いので歩いている人は少なく、少し静か。
「どこに行ったんだろう」
「空いているお店で聞いてみよう?」
ヨウコに言われ私達は酒場に入る。
ガチャリ。
!?
そこには沢山の男たちが酒を飲んでいた。
「お?何だガキ共、こんな夜に出歩くなんて襲われる覚悟があるのか?」
「ち、違うもん!」
私は声をあげる。
「ちょいちょい、子供相手に何聞いてんだ」
後ろから少しチャラそうな男が現れた。
細身の体だ。
「でだ、この男はお前達を心配して言ってるだけだ。
悪い事は言わない、家に帰るんだ」
「違うって!私は人を探してるの」
「人?誰だ?」
「メリアってメイド知らない?私達と一緒にこの街に来たんだけど」
「メイド……」
「ベルフェルトさん!メイドって確か見かけませんでしたっけ?
俺達が酒場に向かう時に」
「ああ、そうだ!確か、裏通りに行ったな。
まさかお前達も裏通りに行くつもりではないよな?」
「メリアは仲間だから、そこに行く」
「やめろ!!子供が行くような場所じゃねぇ!」
「何で!!!」
私は声を荒げる。
「そこは悪の巣窟だ、殆ど人も通らないし俺達よりもヤバい奴らがうじゃうじゃといる。
人を殺っている奴も居るって聞いたことあるし。
だから、行くな」
「でも……」
「ミナミ、鈴音さんを待って行こう?鈴音さんなら強いしきっと悪者も直ぐに倒しちゃうよ」
「鈴音?……聞いたことあるような?」
「鈴音さんは巫女だよ」
!?
「巫女!?この街に来ているのか?」
「うん!紫の玉を手に入れる為に来たんだよ」
「もしかして、闇の扉を閉める為に来たんだろ?」
「そうだよ」
「そうか………なら巫女は奴の場所に向かったはずだ。
前言撤回だ、裏通りに行くぞ」
「え、でも!さっき危険って」
「巫女が来ているんだろ?玉の所在を聞きに行ってるのなら間違いなく裏通りも通っているはずだ。
まぁ見れば分かるだろ」
そう言い立ち上がる男。
「あの、一応私達も冒険者だから強いよ?」
「ガキに任せる程俺達も弱くない、お前らここは頼む。
俺はコイツラと奴の所に行く」
「いや!でも、奴らはあの者達と繋がっていますぜ!
巫女がいたとしても、下手したら」
「……お前ら、俺が折れた事があるか?」
「それは……」
「俺に任せろ、お前達は……帰ってきた時の為に色々と準備してくれよ。
あの時のようにな」
「フッ、お頭!行ってきてください。
そして、ヤツを倒してください!」
「ああ、お前達の思い受け取った!
さぁ行くぞガキンチョ共」
「が、ガキンチョって嫌ですよ!ミナミって名前があります。
それに貴方の名前も教えてもらってませんし」
「ああ、言い忘れていたか。
俺はゼクロス・バールだ」
「ゼクロスさんですね、じゃあ行きましょう」
そうして私とヨウコ、ゼクロスと共に裏通りへと向かうのでした。
その頃
裏通りの奥に悪い奴の溜まり場があり、そこに鈴音さんが来ていた。
「な、何もんだお前!ここに居る裏通りの奴らを次から次に殺して」
ひ弱そうな男が叫ぶ。
「私の独断で判断していますが、まぁ悪い事しているのならそれなりの事が来ると思っておいたほうがいいと思いますよ」
「や、やめろ!!」
「終わりです」
ザシュ。
「ぎゃあああ!!!」
鈴音は思いっきり男を斬りつけ始末した。
コツコツ。
「おやおや、乱暴な巫女ですね」
現れたのは黒い服を来た男、黒い仮面をつけている。
「闇の使者ですよね?」
「ふふっその通りだ、巫女よ。
悪いがお前を始末する、お前を倒せばこちら側の戦力を大幅に削り取れる。
そうすりゃ一気に殴り込み、落とすだけだ」
「そう簡単にいきますかね?」
「終わりだ!」
!?
突然鈴音の目の前に瞬間移動した男。
剣を構え斬りかかる。
だが、
ガキン。
鈴音の顔面スレスレで止まる。
「な、何!?き、斬れん!?どういう事だ!?」
男は驚いている。
「貴方は馬鹿すぎます、巫女に真正面から殴り込むなんて愚かとしか言えません。
まぁ、さよならですけど」
「ちょ!」
「竜の息吹」
!?
「ぎゃあああ!!!」
男は鈴音の息に直撃し、一気に燃え上がる。
そしてのたうち回り、白目を向いて死んだ。
「愚かです……本当に愚か……」
鈴音は、男の死体を踏みつけ、奥へと進んだ。
鈴音は更に奥へと進み一軒の家までたどり着く。
すると家の中から悪そうな輩がぞろぞろと出てきてその一番前に青いショートヘアの黒い服を来た男が居た。
「フッ、巫女め。
よくここまで来れたな」
「話は結構、玉の在処を言いなさい」
「クククッ、本当に愚かだな!!!」
!?
突然地面から攻撃魔法が、鈴音はスレスレで避ける。
「何のつもり?巫女に歯向かったらどうなるか分かってやってる?それとも私を倒せる算段でもあるのかしら?」
「今だ!!」
!?
突然地面が光だし、鈴音を包む。
(こ、これは!)
そして光が収まりそこには倒れている鈴音が居た。
「クククッ、バカめ。
余裕をかましているからこうなるのだ」
男は言う。
「今のは何?……力があまり出ない」
「巫女の力を封じる魔法だよ、闇の使者に教えてもらってな!
俺達は闇の使者の仲間なんだよ!」
男は言う。
(くっ!まさか、こんなヤバいヤツだったなんて)
「さぁてと、巫女は男とやりあった事あるか?」
「さあね、私はあんたなんかじゃ相手にならないわよ」
「へぇ~言うじゃねぇか、なら試してやろうか?」
「くっ!」
鈴音は何人かの男に捕まれ家へと連れ込まれるのでした。
(ミナミちゃん、ヨウコちゃん……お願い)
その頃
ミナミ達は裏通りに入る、すると
所々に男が倒れている。
「これは一体!?」
「巫女がやったんだろ……だが何だか不穏な感じがする急ぐぞ」
「うん」
私達は駆け足で更に奥へと進んだ。
すると
「いやー!!!」
一番奥の家から声が聞こえた。
それは紛れもない鈴音さんの声だ。
「鈴音さんの声!」
「まさか!やられたのか!?巫女が!」
私達は家の前までたどり着くが
家の中から男達が出てきた。
「おいおい、また厄介者が現れたか」
「貴様ー!!!巫女に何を!」
「ゼクロス、ここはお前のいる場所ではない。
とっとと帰りな……と言いたいが返すわけにはいかない」
「鈴音さんに何をした!言え!」
私は声を荒げる。
「おやおや、ガキが何のようかな?こんな所に来るなんて、かわいそうだね。
言っておくがまだお楽しみをする前なんだ、さっさと帰ってくれないか?」
「はいそうですか……って帰れるわけないでしょ!
私はあなたを倒して、鈴音さんを取り戻す」
「クククッあはは!!!笑わせてくれる、ガキが一丁前に言ってくれるな!!!」
!?
(速い!?)
「くっ!」
「ふっ、反応速度は上出来じゃないか。
ならこんなのはどうかな!」
!?
「ミナミ!来る!!」
!
「ジャッチメント……罪!!!」
!
「ぎゃあああ!!!!」
ミナミに直撃する黒い槍、それはミナミの体を貫いていた。
「ミナミ!!!!」
「あ……」
「あはは!!!バカは滅ぶんだよ!!!愚かなガキめ……。
死ぬがいい」
ドサッ。
(……私は……死ぬの……こんな……所で?……)
「ミナミをよくも!!!」
ヨウコがやみくもに男に斬りかかる。
(……ヨウコが……たたかって……いる……私も……戦わない……と……でも……体が……動かない……)
(呪いが……体……を……)
(意識を集中させて!)
!?
(今のは……鈴音さんの声?)
(意識……集中……やってみる……)
「邪魔なガキだ!!!」
「きゃあああ!!!」
男の攻撃をくらい吹き飛ぶヨウコ。
「クソ!野郎!!!」
ゼクロスが男に斬りかかる。
「ゼクロス、テメェは俺の手で殺ってるよ。
裏切り者は処すんだろ?」
「テメェ!!!」
(さぁ……ミナミ……目を開いて……もう……体は)
!?
「は!?」
目を開けると私の体の傷は消えて居た。
しかも何やら凄い力を感じる。
それは手の甲にある紋章が光り輝いている体と思う。
(呪いの力……今ならやれる!!)
「さっさと失せろ!!!ゼクロス!!」
(クソ!やはり奴の方が上か!)
「させるか!!!」
!?
「ぐわあああ!!!!」
ミナミの剣が男に直撃し吹き飛ばす。
「ミナミ、生きていたのか?」
「うん……ゼクロスはヨウコをお願い。
私はコイツを殺る……」
「………フッ、任せたぞ」
ゼクロスは倒れるヨウコを担ぎ少し離れる。
「何なんだ今のは!!!」
「あんたが誰なのかは知らないけど、ヨウコを鈴音さんを痛めつけたこと許さない!!!」
「お前もこれでやられとけ!!!闇の檻!!!」
ガシャン!!!
突然現れた真っ黒の檻がミナミを拘束する。
「無駄だから!!!!」
パリン。
しかし、それはミナミが触れた瞬間、ガラスのように砕けた。
(な!?)
「あんたのほうが終わりよ!!!」
ミナミの繰り出す剣技、
「ブラックジャッチメント!!!」
「ぐわあああ!!!」
男を襲う真っ黒の何本もの槍、それは男の急所に直撃し
バシュ。
体が爆発した。
「……」
他の男たちは目の前の光景に足が動かなかった。
「鈴音さんはどこ!!!」
私が声を荒げる。
すると弱々しく男達は
「い、家の中です!!!」
男は言う。
私は家の中に入る。
そこには拘束されていた鈴音さんの姿が。
私は拘束を破壊し家を出てゼクロスの元へ。
「まさか倒してしまうとは……やはり凄いな君は」
「ふふっ私一人では勝てませんでした、ゼクロスさんやヨウコが居たからです」
「言ってくれる、それと警備達を呼んでおいた。
コイツラは捕まるだろう」
「ありがとうございます」
「それと、これを」
!?
ゼクロスさんが渡してきたのは紫の玉だった。
「え!?どうしてそれを!?」
「アイツの体が爆発した時、こっちに飛んできたんだ。
君は鈴音に集中していたから気づかなかったんだろう」
「そうだったんですね」
「ミナミちゃん、ありがとう」
鈴音さんが言う。
「うん、私……やれました?」
「ふふっ、少しだけですけどね」
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