第17話 闘技場の秘密と可愛げある賢者、決勝戦突入
ミナミ達が闘技場で格闘している頃
メリアは……情報収集を行っていた。
近くの者達に声をかけていた。
それで分かったことは優勝している者の奴の名はアルファと言う男。
そしてそいつはとてつもない強さを持っていると言う事。
立ち向かった者が居たが一瞬で倒されていたと言う。
(これは、ミナミ様に報告しなければならないそれでもまだ情報を得ないと……何か裏もあるかもしれないし)
そうして気配を消して近くにある闘技場の関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉へと入る。
中に入ると湿った感じの廊下が続き、廊下の左右に数個程扉がある。
音を最大限に消し、扉を開けるメリア。
中に入ると色んな書類が置いていた。
(何……これ)
それは改造計画とか書かれた書類や闇の使者についてとか載っている書類がある。
(これは……)
その時扉の取っ手が動いた気がして姿を隠すメリア。
入ってきたのは一人の男。
「クククッ、今回の挑戦者も強者揃い。
いい血液を採取出来る」
!
(血液?)
「これなら、更にあの方は強くなる。
アルファ様はこれからもチャンピオンとして君臨する!
ふはははは!!!」
そう言い何やら小さな瓶に入れられた赤い液体を置いて部屋を出て行った。
(あれは……血液かしら?……まさか改造人間でも作っているの?……となると強い遺伝子が必要………となるとあの男は……)
メリアは音も立てず床に降りて部屋を出る。
(とんでもないものを見たわね。
それに奥の部屋……何かありそう)
そしてメリアは静かに歩き奥の部屋へと入る。
そこには
!?
(こ、これは!!!)
そこには何体もの男が吊るされていた。
(遺伝子……改造人間……)
(となるとここであの男が作られるって訳ね、遺伝子を採取して多分ここで何やらして男を作る……ゲスすぎる……これは報告しなきゃ!)
メリアは静かに部屋を出て外へと出た。
(待って……これは報告どころじゃない!鈴音さんや賢者レベルだわ!)
メリアは急いでミナミ達の所へと向かうのでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃鈴音さんはと言うと
「やぁ鈴音、君が来るのは久しぶりだね」
鈴音が来ていたのは図書館だった。
声をかけたのは図書館の館長だ。
「そうですね、それで何かご用ですか?」
「君は最強とは何か分かるか?」
「最強……ですか?まぁ……果てしなき力や魔力を持つ者が最強と呼ばれるんじゃないんですか?」
「そうか……実は、この闘技場の施設にはとんでもない計画が企てられているらしい。
ワシもそんなものは聞いたことないが、噂じゃが何でも血液を採取しているそうだ」
!
鈴音が立ち上がる。
「血液採取……なるほどこれは看過できないね。
破滅させる必要がある」
「賢者に報告はするのか?」
「ええ、即刻破滅させる必要があります。
この世界を滅茶苦茶にさせるわけにはいきませんから。
ただでさえ今は扉の件でごちゃごちゃしているのですから」
「では誰を呼ぶのですか?賢者となるとあの方ですか?」
「ふふっそれは……」
コツコツ。
「や~ん!鈴音ちゃん〜呼んだよね?」
現れたのは白髪ショートヘアの薄手の服を着て水色のスカートを履いている女の人だ。
「頭の中で想像しただけですけど……」
「もう~、呼んだって言えばいいのに………それで何のよう?」
空気が変わる。
「この闘技場の施設に看過できない装置で悪さを企んでいるそうです」
「それはいけないね、破壊する必要があるわ。
案内出来る?」
「それが私は話を聞いただけで場所までは」
「大丈夫……貴方のお連れの方が見つけたから。
メイド居るでしょ?」
「ふふっ、貴方は何でも分かるんですね」
「まぁ賢者だし、当然よ。
そこに行ってくるわ、私一人で大丈夫だから。
鈴音ちゃんはここで調べ物でもしてていいよ」
「お願いしますね」
鈴音は言う。
すると風を斬るスピードで賢者は消えた。
「面倒事ばかり起きている……直ぐに玉の回収を急いだほうがいいかも」
「鈴音、玉だったらこれを」
!?
館長が差し出したのは赤い玉と真っ白の玉だ。
「な、なぜこれを!?」
「貴方はお忘れなのですか?2人の冒険者の事を」
「あ」
「忘れていましたね、お二人が渡してくれとお願いされたので」
「それは後で感謝しないといけない。
それに館長もありがとね」
鈴音は2つの玉を受け取る。
「いいえ、これも巫女の貴方の執事としての務めでもありますから」
「ふふっ、それでお二人はどちらに?」
「そこまでは何とも言えません。
玉を渡して急いで行ってしまいましたので」
(うーん何かあったのかな?)
「鈴音はもう少しここに居るのですか?」
「うん、もう少しだけここに居るよ。
調べ物は色々とあるからね」
「図書館の館長として戻りますね」
「うん、お願いね」
館長は受付へと戻って行った。
(今あるのは緑の玉、青、そして赤と白。
そしてこの闘技場の優勝して貰える黄色……後……少し)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数時間後
「はぁ〜疲れた」
鈴音は色んな本を見て色々と情報を知る。
「おっと!もうこんな時間!?ミナミ達はどうしているだろう!」
その直後
ドカーン!!!
「今の爆発音は闘技場から!私も駆けつけなくちゃ!」
鈴音は本を魔法で浮かせ戻し、走るのでした。
その数時間前
闘技場ではと言うと
ミナミ達は着実に決勝戦まで進みあの男と対峙する時が来た。
出場者待機室
「よし!みんなでヤツを倒して、優勝するぞ!!!」
「うん!!」
「でも、ほんとに気をつけて。
奴の強さは本当にヤバいから」
「ライトくん、分かってるよ。
油断しないつもりだし」
「うん!絶対に勝とうね」
「よし!行くぞお前達!」
セフォリスの声に続いて私達は舞台に上がる。
そこにはあの男が。
「クククッ、これまで見てきたがお前達が上がってくるのは分かっていた。
中々の強さだな」
「フッ、そうかよ。
それでお前の名は?」
「俺はアルファ、この闘技場の優勝者だ。
毎年俺が優勝している」
「そうか、俺らは…」
「いい、名前など聞く必要はない」
「何?」
「俺に殺されるのだから」
「そうかよ、油断していると優勝者から敗北者になるぜ」
「威勢はいいらしいな、まるで野良犬だな」
「戯言はそこまでにしておくんだな。
一瞬で白目むかせてやるよ!!」
「ほざけ!!!」
アルファが凄いスピードで斬りかかる。
!
(速い!!なんてスピードだ!)
ぐっ!
セフォリスはなんとか攻撃を防ぐが。
「いただき!」
「ぐわあ!」
なんとアルファはもう一つ隠していた短剣で斬った。
「セフォリスさん!前に出過ぎです!はあ!!」
ヨウコが魔法で攻撃するが
バシュ。
ヨウコの放ったファイアボールはアルファの鎧に当たった瞬間消滅した。
(な!?これは!)
「くらえ!!!十字の刃!!!」
「ぐあああ!!」
「きゃあああ!!!」
セフォリスとヨウコは攻撃を食らい吹き飛ぶ。
(ちっ!)
「やろう!!イカれてる!」
「リアムさん!落ち着いて!このままでは全滅しちゃいます!!」
私はリアムに向かって言う。
「だが!」
「あの反応速度は異常です、何か能力を持っている可能性があります」
「確かに」
!
突然目の前にアルファが迫り斬りかかってきた。
「くっ!」
2人はなんとか避ける。
(今のは!?さっきまで少し遠い場所にいたはず!ありえない!)
「これで終わりだせ!!!十字の刃!!!」
!
「ぐあああ!!!」
「きゃあああ!!!」
リアムとミナミは攻撃をもろに受けて地面に倒れる。
(ぐっ……なんて速さだ……見切れない……)
(……嫌だ……こんな所で……負けれない……)
「さてと後はガキの男だけか……さぁ殺してやるよ」
「くっ!クソーー!!!」
ライトくんは震える体でアルファに斬りかかるが
ガキン。
「弱い弱いなぁ!!!全く愚かだよ!!!お前は!!!」
「ぐわあああ!!!」
ライトくんは目の前でファイアボールを受けて地面に倒れる。
「あ……あ……」
「クククッあははは!!!誰も俺様には勝てないんだよ!!!愚か者が!!!」
コツコツ。
「うん?テメェは誰だ?」
(うっ……誰?……)
「私は参加してないのですが貴方の相手をしてもいいですか?」
(め、メリア!?)
「メイドか、コイツラの仲間ってとこか。
……ふ~んいいだろう!!!テメェはいい女だから俺が勝ったら遊んでやるよ!!!挑戦していいぜ!!」
「私が勝ったら、その子はいただきますからね」
「ふっ、いいぜ欲しいのか?こんな改造人間が?」
「ええ、必要なものなので」
(む、無理だ……よ、メリアでは……)
ふらつく体をなんとか起こすミナミ。
「ミナミ様、横になっていてください。
私がこんなヤツ倒しますので」
「へぇ!威勢がいい女は嫌いじゃねぇぜ!!!だが、舐めた態度はぶっ壊す必要があるな!!!」
!
アルファが斬りかかる。
ガキン!!
(うん?コイツ、俺の動きが分かるのか?)
「はあ!!」
「くっ!」
(コイツ!)
「疾風斬!!」
「うっ!くぅ!」
(う、嘘……動きが分かるの?メリアには)
(クソ!!トドメをいっとくか!!)
「十字の刃!!!」
!
「はっ!!!」
メリアは自分の魔法を前に放ち後ろへと下がる。
(コイツ!!強い!?)
「終わりよ!!!」
「な!」
「一閃!!!」
「ぐわあああ!!!」
メリアの一撃でアルファは膝をつく。
(く、クソ!どうなってやがる!!俺の行動がよめるのか!?いいいやありえん!!あってはならない!!俺様は最強で居なければならない!!)
!
「くっ!」
メリアは突然のアルファの奇襲で攻撃を食らう。
「はぁはぁ、テメェ何もんだ?動きからしてメイドか?本当に?」
「ふふっメイドですよ。
ただ」
(ただ?)
「戦闘と隠密には長けている居るんです、小さい頃から教わっていましたので、そこら辺に居る者達よりも遥か上です」
(なるほどコイツの強さは昔の教育か!)
「ほざけ!!」
「息が上がっていますね、それでは最強とは呼べません。
愚か者です」
「ふざけやがって!!!」
(……あれは……あの少年……ふふっ、少しこちらに注意を反らしますか)
「あの、最強と言っていますけど本当は最弱なんじゃないんですか?弱い自分になりたくないって」
「うお!!!」
アルファはがんぎまりの目でメリアを攻撃する。
攻撃手段が滅茶苦茶だがメリアは余裕で避けている。
「ちくしょ!!!当たらねぇ!!!どうなってやがる!!!」
「小さな脳みそでは理解など出来ません。
おバカは滅ぶんです、ふふふ」
「殺してやる!!!」
更にスピードが上がるアルファ。
しかし、メリアはまだ余裕で避けている。
(メリア……あの強さ……隠していたのね。
私ももっと強くならなきゃ……うん?ライトくんが何か様子を伺っている?……私は……)
「ほらほら!!!当ててください!これじゃあいつになったら攻撃が当たるんですかね!!私がおばあちゃんになるまでやりますか?」
「殺してやるぞ!!死ねや!!!」
アルファにはもうメリアしか眼中にない、そこを察したライトは。
「ここだ!!!」
!
ライトは一番近くに来た時、短剣を取り出しアルファの首筋に向かって刺した。
「ぐああ!!!コイツ!!いつの間に俺の近くに居たーーー!!!」
「周りを見ない貴方が悪いのよ、おわりね!!」
「うおー!!!死ねるか!!〜」
!?
ドカーン!!!
突然アルファからの衝撃波、メリアやライト達が吹き飛ぶ。
「くっ!」
「はぁはぁ………俺様は死なねぇんだよ……雑魚どもが……一匹ずつ殺してやる!!」
アルファはもう錯乱していた。
目先に狙ったのはライトくんだ。
「死ね!!!」
「うわああ!!!」
グサッ!!!
……。
………。
「え?」
顔をあげるライト、そこには自分を庇うセフォリスが居た。
「ハゲ野郎!!!」
「セフォリスさん!どうして!」
「へ、へへ……若いもんを死なせるのは辛い……だろ?うおー!!!」
「くっ!」
セフォリスは魔法を使いアルファから距離を取る。
「セフォリスさん!血が!」
「な、泣き言を言うんじゃねぇ……はぁはぁ……いいか、ヤツは何があっても倒せ。
奴を野放ししたら毎回こんな風に死んでいく者たちが居る。
頼む……ぞ」
ドサッ。
「セフォリス……さん……」
ライトから崩れ落ちるセフォリス、ライトの手にはセフォリスの血が。
「うわああ!!!」
「へ、ハゲが死んだか!!!次はテメェだ!メガネ野郎!!」
「させない!!」
リアムに向かって攻撃をしようとするアルファを止めるヨウコ。
「ガキ女から殺してやるか!!」
「くっ!」
(速い!!私では対応出来ないって言うの……でも、セフォリスさんが死んだ……許せない……私にもこの光の力がもっと強ければ……)
「終わりだよ!!」
「しまっ!」
「やああ!!!」
ガキン!!
「な!」
攻撃を防いだのはミナミだ。
「ヨウコ!私がやる!!後ろから援護して!」
「う、うん!」
(こいつは生かしておけない……セフォリスさんを殺した。
重罪だ……だから)
「また女のガキかよ!!うぜぇんだよ!!弱い奴は地べたを這ってたらいいんだよ!!虫みたいにな!!」
「ふざけないで!!!私は貴方を許さない!殺しは禁止なのに、セフォリスさんを殺して!」
「はぁ?殺しは駄目っていつ言った?それにルールは俺様が決めれるんだよ!!!だからテメェらが殺された所で何も起きないんだよ!!」
「こいつ」
コツコツ。
「一つ……全ては善の道を進む為……二つ……賢者の前では皆平等……三つ……人を殺し世界を恐怖にする者は排除対象……」
!
「す、鈴音さん!!」
「お前は!!!巫女か!」
「はい……賢者の使いの巫女です。
貴方のその行為、賢者様の考えを背くもの……なので殺させてもらいます」
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