第14話 巫女の力と天雨の姉
「それじゃあこちらの番ですね」
(くっ!)
レイは警戒する…………が、次の瞬間!
「竜の息吹!」
!?
「きゃあああ!!!!」
「ごふっ!」
突然の暴風、レイは吹き飛ばされ地面に直撃する。
「ふふっ、どうされましたか?」
「み、巫女……なめていたわ…」
「ふふっその程度でやられるようでは闇の使者失格ですね」
「なんですって!」
「母から聞いた事なのですが闇の使者はかなりの強者揃いと聞いていたのですがこのザマを見るに、期待外れでした」
「許さないわよん!!!死ね!ウルトラティクノヴァ!!!」
!
それは空の災厄、燃える大きな岩石が鈴音に迫る。
(………)
「終わりよん!身動き取れずに死んじゃぇ!」
(………)
(ふふっ恐怖で動けない……巫女!闇の使者を舐めた罪、命で払ってもわうわよん!)
そして
ドカーン!!!!
大きな爆発を起こし近くにある建物までもが吹き飛び街は崩壊した。
「勝った………私の勝ちよん!」
………。
…………。
………………。
…………………ふぇ?
レイは青ざめる、そこには埃一つ付いていない、巫女の姿があったのだ。
「あ、あんた………何者なのよん」
震える声でレイは言う。
「私は鈴音、巫女よ」
「貴方は弱いわね………弱すぎる」
「なめるな!!!」
レイはナイフを投げるが、
「当たりませんよ、そんな攻撃」
軽く弾く鈴音。
「な、何なのよあんたは。
なぜそれほどの力があるのにあの方に使えないのよん!」
「私は巫女です、闇の世界に手を貸す者ではありません。
そちらの世界にも巫女は居られるのでは無いのですか?」
「…………居ないわ!そんな者なんて!!!」
「そうですか………それじゃあさよならです!」
!?
鈴音は音も立てずレイに近づく。
そして、
ズボッ。
……。
………え?
レイは吐血した……状況が分からない……体が動かない、なのに痛い苦しい……。
「安らかに眠りなさい……貴方の魂はこの地に彷徨うでしょう。
なので貴方に導きの灯火を一つ」
倒れるレイに小さな火の玉を当てる。
するとその炎は大きく燃え上がりレイを包む。
しかし、その炎の中心は白く光輝く。
(熱いはずなのに苦しいはずなのに、なぜか心地良いわよん。
なぜ……私はこんな事に……ああ……優しい灯火……)
そしてレイの肉体は炎とともに消え、そこには燃えた跡だけが残った。
「安らかに眠りなさい、優しい炎の中で」
「うっ……鈴音さん」
私は目を覚まし立ち上がる。
「闇の使者は私が倒しましたよ、街は滅茶苦茶になりましたが」
「え?!あ、他のみんなは!」
「ミナミ様、ヨウコ様は無事ですよ。
他の者達もです」
!?
振り返るとそこにはメリアに抱っこされるヨウコに他の男達も。
「へっ、俺達が気絶している間に倒したって事はやるじゃねぇか鈴音」
「ふふっ、本当は怖かったんですからね。
みんな倒れて動かなかったから」
「ごめん、まさか奇襲を受けるなんて思わなかった。
鈴音さんを見るに難なく倒せたんだね」
「結構ギリギリだったよ、圧倒的な力を見せつけられたからね」
「マジか、ヤバい相手だったんだな」
「街はどうしましょう、かなり被害が大きいですが」
「おいおい、俺達が何とかするぜ。
お前らは玉の回収を頼むぜ、戦えば被害が出るのは当たり前だからな。
冒険者達、鈴音を頼む」
男が頭を下げる。
「分かりました。
鈴音さん、行こう」
「もしもまた平和な世界にも戻ったらここに来ていいですか?」
鈴音は言う。
「当たり前だ!!!!俺達はお前の帰還を願う。
また、お酒をついで貰うぜ、それじゃあ俺達は街の復興をするから、もしも俺達の力が居るなら声をかけてくれよな」
「はい」
そうして男達は街の中に消えていった。
緑と青い玉を手に入れたミナミ達、針が指す街へと目指すのでした。
「針の先の街ってどこなんだろう」
「私の間違いでなければ、パフェス街です」
「パフェス街?そこはどんな街なの?」
「そこは闘技場で有名な場所です、多くの強者達が闘技場で熱い拳で汗水流し健闘した場所です」
「へぇ~、楽しそうだね」
「ミナミ、目的は玉だよ。
分かってる?」
「分かってるって。
メリアはパフェス街に行ったことある?」
「私もありますよ、そこで私は戦いの基礎を積みました。
今の強さがあるのもその街があったからです」
「そうなんだ、メリアってメイドだよね?何処のメイドなの?
今更だけど」
「ふふっ、それは秘密です。
その場所に着いたら教えてあげます」
「ぶぅ~、まぁいいや。
針の指す方角へ進もう〜!」
そうしてミナミ達は向かうのでした。
新たな街へ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃
7ブレイカー達はと言うと
セラス街に集まっていた。
「覇神は?」
火蓮が聞く。
「覇神は何処かに行っているよ、分かんない」
天雨が言う。
「鈴風、亜留は?」
「鈴風、亜留が言った場所は分かんない。
多分自分の街に行った可能性あり」
「そうか、暴剣…それでその女は?それに火蓮が連れている男もだ」
天雨が聞く。
「こいつの事を忘れたの?こいつはロム、それとマリンだ。
今は二人共二つ名がある、雷土と氷火だ」
「始めまして、雷土です」
「ひ、氷火よ」
「あ~コールドスリープさせた者達か〜、久しぶりに見たから忘れていたよ。
僕は天雨だよ」
「天雨………天雨……あ~あの僕って良く言ってる!あの天雨なの!?」
「ぷっ!変わってないけどね」
「ちょ!僕は僕だよ!それよりも!扉の件は!」
「扉の件は巫女と冒険者が動いてくれているらしいわ。
私達も集められたらいいんだけど」
「俺達がやるべきことは他にあるだろ?玉は巫女に任せたほうがいい。
俺達がやるべきことは……他にある」
「まぁな」
「まぁなって火蓮、何か分かるの?」
「当たり前でしょ!雷土、私は7ブレイカーよ。
闇の使者を倒すでしょ?」
「正解だよ、火蓮」
その時ギルドの扉が吹き飛び中に入ってくるものが。
黒い服に黒いショートヘア、黒い瞳の男だ。
「7ブレイカー、終わりにしてやる」
「そっちの方から来るとはそれほど自信があるみたいだね」
天雨が言う。
「火蓮、天雨、暴剣、鈴風……うん?魔神や覇神、亜留は居ないのか?」
「悪いが居ない、奴らは別に動いているぜ」
「クククッ、強者が居ないのに勝てるのか?」
「お前、俺達を舐めてるだろ?」
「ああ!舐めてるよ!そこの市民を連れて守れるのかよ!!!」
!
男が斬りかかる!
ガキン!!
火蓮が攻撃を防ぐ。
「悪いけど、この子達市民じゃないの」
「何!?」
「未来の希望よ!」
「くっ!」
男は飛び上がり後ろへと下がるが。
「爆ぜろ」
!
「ぐわああ!!!」
男が床に足をつけた瞬間爆発した。
「行くぞ、暴剣」
「ああ、火蓮」
2人は飛んでいった男の方へと向かった。
「あ、あの!あれがもしかして」
「そうそう、あれが闇の使者だよ。
でもあの人多分死ぬよ」
「いやいや、強いんじゃないんですか!斬りかかる瞬間見えなかったですし」
「あ~雷土や氷火にはまだ見えるほど鍛えられていないんだな。
僕が教えてあげたいけど、暇じゃ無いし……」
すると掛けられていた古い柱時計が溶け始め人の形へと変わる。
「闇の使者、隠れていたんだよね?」
「天雨、貴様だけは始末する」
それは青い長い髪の女性。
剣はふにゃふにゃの剣だ。
「何だよあの剣、どうなってんだよ」
「うん?この子らは?」
「あ~僕のしもべ?まぁなんというか、助っ人みたいな者だよ。
雷土と氷火だよ」
「下僕って」
「まぁいいや、お前だけは殺してやる!!私のこの剣にかけて!」
!
女の剣はぐにゃりぐにゃりと不自然な動きで迫ってくる。
「はあ!」
天雨は短剣で攻撃を防ぐ。
「雷土、氷火。
鈴風と共に他の街に迎え、多分他の街も被害に遭っているはずだ」
「でも!」
「くっ!」
「ふっ!お話をしているほど私をなめていますね!!」
「ぐっ!」
「行け!!ここは僕に任せろ!こんな奴、僕一人で大丈夫だ!」
「………雷土、氷火……行こう」
鈴風は2人の手を取り走る。
……。
………。
「いいんですか?助っ人を逃がして」
「いいんだよ、僕一人で大丈夫だから」
「死ぬ気ですか?」
「まさか、あんたには殺されるわけにはいかないからね!!」
天雨が斬りかかる。
ふん!
やあ!
はあ!
2人の攻防始まる。
天雨が優先かと思われるが女もそこそこの強さ。
「くっ!」
「ふふっ息が上がっていますよ。
若返りの魔法を使っても、体力は戻っていないんですね!!」
「がはぁ!!」
天雨は女の攻撃を食らい吹き飛ぶ。
「さぁトドメです、貴方はどんな叫びをあげて死ぬんですかね?」
そして女は剣を天雨目掛けて振りかざす。
(僕は死ぬ……のか……でも、少しはやれたでしょ?……7ブレイカーの一人として……)
ザシュ。
「がはぁ!」
女の剣が天雨に突き刺さる。
「さようなら……天雨……貴方は愚かです……」
ドサッ。
「あははは!!!あは!!!あはは!!!」
その時
「神速!!!」
スパン。
「へ?」
女の首がころりと落ちた。
「……天雨さん!救います!!」
それは雷土と氷火だった。
2人は魔法を唱える。
すると天雨の傷は少しずつだが塞いでいく。
(な、何が一人で大丈夫ですか!………やられたら元も子も無いでしょ)
「………がはぁ……いか……づち?…」
息がふきかえった。
「天雨さん!……馬鹿ですよ!貴方は!」
「……ひ、氷火……まで……鈴風……は?」
「鈴風ここに居る、天雨……迷惑かけちゃ駄目」
「でも、アイツは闇の……使者……どうやって」
「油断していた所を狙っただけです、天雨さんが襲われている所を耐えるのは苦行でしたが」
「そ、そっか……迷惑をかけたみたいだね。
僕ももっと強くならなくちゃいけないみたいだよ」
「そうですね、私達を下僕って言ったんですからね」
「ちょ、それは」
「……この女性は僕が埋葬するよ、3人は休憩してていいよ」
天雨はふらつきながらも首と胴体を持ち上げ外に向かった。
「鈴風さん、あの人を天雨さんは知っているですか?」
「鈴風知ってる、あの人は……天雨のお姉さん」
!
「え?……お姉さん……なら俺は天雨の姉を……」
「雷土が悲しむことは無い、天雨と姉は話すと長い事だから」
「でも俺は!天雨さんの前で!!!姉の首を」
「姉の末路は私は知っていた、闇の使者になっていた時から……だから辛い顔しないで……お願いだから……」
「雷土、私は貴方のやった事は間違いじゃないと思う。
天雨さんもいずれはこうなるって分かっていたかも知らないし」
「でも!俺は血のつながる人を!俺やお前と同じような関係だぞ!」
「雷土……私もあんな風になったら斬ってくれる?」
「は?何いってんだよ、斬れるわけ無いだろ」
「だよね、だから天雨さんも斬れなかった……本気で斬りかかる事はしなかった。
迷いがある感じだった、話も敵なのに崩した言い方だったし。
もしも、救える方法があるのなら天雨さんはその方法を取るつもりだったと思う……これが最善の方法なんだよ」
「……天雨さん……俺はどうやって顔を合わせれば」
コツコツ。
「雷土………」
来たのは天雨さんだ。
「俺……鈴風さんから聞きました。
斬ったのは天雨さんのお姉さんだったんですよね」
「……そうだよ」
「天雨さん、俺の事斬り殺しても構いません!俺はやってはいけないことをしてしまいましたから」
「……雷土……僕は恨まないし、憎みもしない。
姉が闇の使者になったのは僕の性、あの時止められていればあんな風にはなって居なかった。
だから、闇の使者になった時……僕は迷った……あの時は救世主が封印して殺さずに闇の世界に送り返せた。
だけど、いずれはこうなるって思っていた。
だから気にする事は無い」
「俺は……闇の使者になったほうが良いと思いますか?
そして天雨さんに殺される……そしたら姉の形には討てますよ」
天雨さんは俺に近づき
パチン!!
平手打ちが飛んだ。
「そんな事したら僕はお前を許さない!さっきも言ったけどこうなる事は想像するよりも分かりやすい。
だから、別に後悔する必要はない。
この世界を守るためなら仲間だとしても剣を緩めることは許さない。
僕は……弱い、あの時油断したわけではなく姉だから情が出てしまった……また話せれば変わるかも知れない……そう思った……だから、僕は雷土……お前が凄いって思うよ」
「でも……俺は……天雨さんにどういう顔をすれば」
「いつもの顔でいい、お前や氷火は未来への希望なんだ。
だから、そんな悲しむ必要はない。
それに埋葬した時、僕の体に温もりを感じた。
小さい頃姉に後ろから抱きしめられたそんな感じを……だから僕には姉が憑いている、だから僕は姉と共にこの世界を守る。
そして毎年、姉の墓に行く……決めたんだ」
「……名前を聞いてもいいですか?」
「ユーナ・アメニオン、そういう名だよ」
「ユーナさん、俺も天雨さんと共に世界を守ります」
「きっと届いているよ、さぁ暗い顔せず目的の為に頑張ろう」
(アメニオン……天雨さんの名前は〇〇〇〇・アメニオンって事か。
アメニオンって何処かで聞いた事あるような)
そう思う氷火だった。
「さてと、まずは破壊されたギルドを直そう。
鈴風、雷土、氷火……手伝えるか?」
「はい!」
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