第13話 同意と闇の使者
その頃
セラス街近くの平原
凍りずけになっている者が居た。
パプル。
その氷が溶け
パリン!!!
「うぐぅ!……クソ、私を氷漬けにさせるなんて………うん?」
!
そこに居たものは黒い長い髪の女性が居た。
服装は真っ黒の服に剣を装備している者が。
「貴方、誰?なぜここに?」
「私はマール、世界の闇を排除する者」
「ふ~ん、くっふふ〜あの、私は〜」
「知っているよ、闇の使者、パプルでしょ」
!?
(な、なぜ!私の名前を!?)
「驚いているわね、だけど安心しなさい私の目的はただ一つ……あの子を取り戻すだけ」
「あの子?」
「パプル、貴方は私の奴隷として動いてもらうわ。
私の目的の為に」
「誰があんたn!?」
マールの持つ剣がパプルの首筋まで迫っていた、一瞬で間合いを詰められここまで出来るなんて。
「死にたいのね?まぁ、死にたいならいいけど」
「……何?その子を手に入れたら私は解放されるの?
それとも殺される?」
「殺しはしない、私の目的はその子だけ。
手にしたら貴方には用は無い」
「そうなんですね〜くっふふ〜あの〜私達の目的の為に手伝ってくれませんか?
貴方の目的を叶えるために」
「お前らの目的は地上の支配でしょ?私は危険に巻き込まれるのは好きじゃない」
「いいんですか〜もしも、私の仲間が貴方の子に危害を加えたら」
!
「分かった、その代わり先に私の目的が先だからな。
いいな?」
「くっふふ〜わかっていますよ〜」
(これはいい獲物が手に入ったわ〜これなら巫女も奴も、あのガキも!)
「それで、障害と成りうる者……巫女と賢者だろ?
言っておくが手を出さないほうがいいぞ、巫女もそこそこだが賢者は別格だぞ」
「くっふふ〜知ってますよ〜でも奴らは民を第一に考える。
人質を取ってしまえばこちらのもの、結局賢者も情があるんですよ」
「さぁどうだか……まぁあの子が先だからな。
それで大都はどこだ?」
「大都ですか〜、それならかなり遠いですがどうします?」
「金ならある程度ある、馬車やら飛行能力とかでいけるだろ」
「ふふっ、私はこの姿だとバレますし………はああ!!!」
パプルは目を閉じて力の集中させる……すると
!
「お、おい!お前、ガキになっている!」
パプルの姿は小さな子供への姿へと変わった。
「ふふっ、これならバレません。
それじゃあ近くの馬車に乗って行きましょう」
「ああ」
(闇の使者はこんな能力を持っているとは……だが目的はあの子だけ……生きているといいけど)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃
次の街を目指していたミナミ達、一つの玉を手に入れて針の刺す方角へと向かう。
その道中
「ねぇねぇ、闇の使者ってどんな人達なの?」
私はおもむろに聞いてみる。
「私がお答えしますね、闇の使者とは元々現世のこの世界と闇の世界を行き来して情報を交換して友好関係を築く者達の事なんです」
「え?でも襲ってきたよ?」
「それは遥か昔、闇の世界の王が変わった事が関係しています。
その頃の王はこちらの世界の者達と関係は良く、こちらの人間達も闇の世界へ行き、貿易をして色々と情報を交換したり、友好関係を築いたりしていたのです。
しかし、次期王のマニュバス王は違いました。
地上の世界を侵略するのが趣味らしく、争い事を起こしていたのです。
そして50年前、闇の使者を連れてこちらの世界に攻め込み、世界を破滅させようとしました。
その頃の闇の使者の言動とかを知っている者が居たのですが迷いがあるような感じの動きだと言っていました。
多分、王が何かをしたかと………そして我々は窮地に陥った時、救世主が現れ闇の使者や王達を退けました。
そして賢者と私の母……つまり先祖巫女が闇の扉を封じて今まで平和を築いてきたのです」
「な、なるほど………つまりその王が行けないって訳って事?」
「そうなります、今も各地では争いが起きており冒険者達が立ち向かっていますが長く続けばこちらが窮地に陥ります。
なので速く扉を閉めなくてはならないのです」
「ミナミ、何だかとんでもない事に巻き込まれてるね。
冒険者となってあまり日は経っていない……それにあの天空に浮かぶ大陸……鈴音さん、あの天空大陸はどこから現れたのですか?」
「闇の扉から現れたのでしょう、圧縮させた状態で持ち出しこの世界で圧縮を解いた……と思われます」
「あそこには何があるんですか?」
「あそこには神殿があります、近くには街や村も」
「え?闇の人達って事?」
「はい」
「危害を加えてくる?」
「多分ですが、あちらも状況に把握をしている頃でしょう。
アイテムさえ手に入ればあの大陸も圧縮して扉の向こうに送るつもりですから」
「鈴音様、ヨウコ様、ミナミ様……街が見えてきましたよ」
!
メリアに言われそちらの方を向くと海沿いの街が見えた。
「シーサイド街です、海の食べ物が豊富な街です。
海の守り神のシンが祀られている場所でもあります」
(神……シン……まさかね〜)
「じゃあ早速行こう〜」
「オー!」
私達は早足で街へと向かうのでした。
(ふ~ん、あれが巫女と冒険者ね〜楽しめそうわよん)
数分後街へとたどり着く。
海から潮風が吹いてきて心地良い。
海に来たのはいつぶりだろうか。
私達は針の刺す方角へと向かう。
それは街の中心部に向いていた。
「鈴音さん、ここには何色の玉が置いてあるの?」
「ここは青色ですよ、海街なので」
「ふ~ん」
そうして中心部まで来ると針がクルクルと動き出す。
「近いのかも」
辺りを見渡す……すると!!
「あ、あれ!!」
私は指差す。
そこには海の守り神のシンの銅像の手に青色の玉があった。
「あれだ!」
「代表の者に会いに行きましょう、そして貰いましょう」
鈴音が言う。
「どんな人なの?」
「お酒好きな人ですよ」
鈴音はそう言い酒場へと向かうのでした。
私達も後を追う。
ギー。
扉を開けて中に入る私達。
そこには沢山のおじさんが居てお酒を飲んでいた。
私達を見るなり
「がはは!!!ガキがこんな所来るんじゃねぇよ」
そう言われた。
「あらら、お酒は飲みすぎてはいけませんよ」
後ろから鈴音が入ると男たちはぴくっとして
「す、鈴音さん!?え、えっとこの方達は?」
「私の護衛の方です、ガキとは失礼ですね。
私も小柄なのでガキと言う事ですか?」
「い、いえ!滅相もございません。
それで巫女様が何用でしょうか?」
「シンの銅像に付いてある青色の玉……それを渡してほしいのです」
鈴音が言う。
すると奥から
「おうおう!玉って聞こえたが玉をどうするつもりだ?」
奥から出てきたのは三下みたいな男だった。
「おい!巫女だぞ!失礼すぎる!」
他の男が男に向かって言う。
「あらあら?三下の外道には用はありません、青色の玉をくださいなって事です」
「三下だと!!!舐めるな!!!」
男が剣を構え巫女に斬りかかる。
その時
「やめろ!!!」
突然のドスの聞いた声で男の剣が止まる。
立ち上がる片目が真っ白の男。
「でも!!こいつは!俺を三下って!」
「黙れ、斬り殺されてぇか?」
「ひぃ!い、いいえ」
「鈴音、玉をどうするつもりだ?これは街の象徴でもある。
筋の通る理由を言え」
「闇の扉……そう言えば分かりますか?」
!?
「闇の扉!?」
男は驚く。
「え?闇の扉って」
「おいおい」
他の男達もざわつく。
「確かに最近騒がしいと思っていたが扉が開かれたのか」
「はい、閉じるためには色玉が必要でして……しかも天空大陸も現れました」
「天空大陸!……噂程度で聞いたことあるがまさかそんなもんまでこの世界に」
「お願いします」
巫女が頭を下げる。
「鈴音、扉の事なら渡すしか無いだろ?お前も巫女としてやっているみたいだしな」
「ふふっ、後でお酒をついであげますね」
「いいね〜!そこの仲間は水でいいか?メイドは酒、飲めるだろ?」
「まぁ、嗜む程度にはですが」
「青色の玉はやるよ、ちょっと待ってろ」
そう言い男は外に出て数分後戻ってきた。
片手には青色の玉が。
「ありがとうございます」
鈴音は受け取り、ポケットにしまう。
「さてと、お酒ついでもらうぜ」
「はいはい」
鈴音は頷き、私達を近くの席に座らせ奥へと行ってしまった。
「さてと………巫女の付き添いの者たち……何が目的だ?」
「は?」
私達はぽかんとする。
「巫女の命でも狙うつもりか?」
「え?あの、なんの事ですか?」
「とぼけても無駄だ、メイドにガキ2人……怪しさ満点じゃねぇか。
殺戮メイドか?お前は?」
「何を言って!」
メリアが声を荒げる。
「うん?……おい、お前達は巫女に頼まれてアイツと共に居るのか?」
「はい、そうですよ!私達は鈴音さんがいいって言ったので付いてきています。
別に命を狙っている訳ありません!」
「くっははは!そうかそうか、それはすまなったな。
なにぶん、ここいら不穏な感じだからよ。
巫女について行っているガキとメイドってはたから見たらおかしいだろ?
だから疑ったんだよ、まぁお前らは悪そうに見えないし問題ないだろう。
悪かったぜ、飲み物は奢ってやるよ」
「そうですか!では一番高いお酒を奢ってもらいましょうかね!」
メリアは頬を膨らませ言う。
「けっ、こいつはヤバいもんに喧嘩売っちまったな!」
「あはは!」
他の男たちが笑う。
「まぁいい、少し話をしたいからな。
直ぐに飲み終わってもつまらんだろ?」
「まぁそうですね」
「さてと、何か聞きたいこととかあるか?」
「闇の世界には何があるんですか?」
「ふっ、闇の世界にもここと同じ様に同じ物が建てられているぜ。
別の世界みたいだし、結構暗いぜ。
一度行ったことがあるがその時は直ぐにこっちに戻されたからあんまり見れてないが少し気味が悪い感じだ」
「へぇ~」
「メイド、お前は聞きたいことあるか?」
「私ですか?………扉……扉を閉めればこの異変は解決するのですか?」
「解決する方向に向くと思うが、今回は天空大陸までもが出てきているんだろ?だとすると中々ヘビー級だぜ」
「何がヘビーなんですかね」
「………まぁ、闇の使者はほとんど出てきていると思うが勿論アイツもここに来ているはずだ。
天空大陸にいると思われる、間違いないぞ」
「アイツって?」
「そりゃ勿論、向こうの王に決まっているだろ?」
!
「何でそれを知っているのですか?」
「オヤジから聞いた事があるからな、まぁ俺自身は見てないから何とも言えんのだがな」
「天空大陸に迎えばいいのでは?」
「残念だがそれは無理だ」
「え?だって空を飛んで行けば行けるんじゃないんですか?」
「無理だ」
「何でよ」
「あの大陸の周りには瘴気が漂っている、触れたら死ぬ」
!?
「じゃあどうしたら!」
「だから玉を集めるんだよ、古い本にこう書かれている。
玉を全て集めしもの、神聖なる神殿にて力を得るだろう。
それは平和にも出来る、災厄にも出来る力だ……とな」
「何よそれ、でも王がそこにいるんじゃ奴に取られるんじゃ」
「大丈夫だ、王は目覚めていない。
なぜなら封印されているからな、それを解放するには玉がいる。
こちらにあれば復活は阻止できるって訳よ」
「へぇ~」
「お酒持ってきましたよ」
鈴音さんがお酒を持ってきた。
「ありがとよ鈴音」
「その力ってなんですか?」
「さぁ俺も知らんし、オヤジも何も言っていなかった。
平和や災厄って言っているならとんでもない力じゃねぇのか?」
「ふ~ん」
私達は水を飲み鈴音さんはお酒を汲んで居た。
その時
「貴方達には死んでもらうわよん!」
!?
突然入ってきた女、その手には杖が。
「爆ぜろ、爆破!!」
!?
ドカーン!!!
大きな爆発を起こす。
「うわあ!!!」
私達は吹き飛ばされる。
「ふふっ、おわりね」
………
「うん?」
レイは何かの気配を察知し警戒する。
「闇の使者の一人ですよね?」
!?
後ろから声がした、振り返るレイ。
そこには巫女の鈴音が居た。
「ふふっ強いのね、ワクワクしてきちゃったわよん。
他の者達はボコボコになっているけど大丈夫なの?」
「ええ、この人達はこのくらいじゃ死にませんので。
それで狙いは玉ですか?」
「勿論よん、それと貴方の命よん」
「そうですか、私は死ぬわけにはいきませんので邪魔をしないでください」
「ふふっ、爆ぜろ!!!大風鈴!!!」
!?
突然のサイクロン、とてつもない風で吹き飛ぶ物や人達。
「死ね!!!大落雷!!!」
ドカーン!!!!
鈴音が居た場所に直撃し大きな爆発を起こす。
それは街の中心がえぐれるほどに。
「ふふっ、巫女も呆気なかったわね。
あ、玉は大丈夫よねん?」
………。
…………。
……………え?
目を丸くするレイ。
それもそのはず、そこには無傷の鈴音が居たのだ。
「突風ですか?今日は騒がしいお天気なんですね」
(な!?無傷!?ありえないわよん!私の魔法は一級レベルなのよん!)
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