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第12話 情報と賢者、それと再会


 メニア街


 ここは大都よりかは賑わってないがそれでも大きな街である。


 そこに来ていたのは亜留だった。


 (沢山の人達、街は賑わっていて私も自然と頬が上がる)


 亜留はアンドロイドだが人間に最も近い様に作られているので顔や足も触れると人間らしい感触がする。

 普通の者はアンドロイドとは判断無能な程にだ。


 「あ~亜留ちゃん、また来たのね。

 はいこれ」


 突然声をかけられる亜留、そこにはいつものおばさんが居た。

 亜留はここで作られたのだ、おばさんは私を子供のように接してくれたいい人。


 渡されたのはリンゴだった。


 「ありがとうございます……」


 「いいのよ、それよりも街の方がヤバいって聞いたよ?

 何でも闇の扉が開いたって、本当なのかい?」


 「はい」


 「まぁ、そうかい。

 これは一大事だね、博士に言ってきてあんたを強化しておくように言っておくよ。

 夕方頃にまた私のお店に来ておくれ」


 「分かりました」


 「それじゃあまぁ、警戒しつつ街をぶらぶらしておいで」


 「はい」


 亜留はおばさんに言われ街をふらふらと歩く。

 目的地は無い……ひたすら歩き見回りをする。


 亜留は図書館にたどり着き中に入り本を黙読した。


 亜留はこの図書館が好きで色んな情報を得られるのでよく通って居る。


 「亜留ちゃん、火蓮ちゃんや他の皆は無事かね?」


 本を読んで居ると声をかけてきた、それは図書館の司書のおじさんだった。


 「はい無事です。

 生体反応もあります」


 「そうかい、それよりも今回の異変の者らしき人物が捕まったそうだぞ?」


 !?


 亜留は驚いた顔でおじさんの方を向く。


 「情報屋と仲良くしておいたから仕入れられてな。

 何でも国王になる後継者が元凶の一人らしい、2人居たが一人は女性、もう一人がその後継者らしい。

 女は逃げたそうだ、後継者を見捨ててな」


 「それはいい情報、ありがと……おじじ」


 「いいや気にするな。

 ワシにとって異変は起きてほしく無い、この街の過去を知っている者なら尚更じゃからな」


 

 「………」


 「それはそうと扉の件じゃ、何でも冒険者が白い扉を閉めたと情報が入った。

 それと巫女が冒険者達と闇の扉を封じるアイテムを手に入れるために街を周っているそうだ」


 「よかった、これで増援は減る」


 「そうじゃのぅ、じゃが天空の大陸……あそこに向かわんといかんからのぅ。

 過去の場合と同じじゃとな」


 「天空の大陸、どうしたら行ける?」


 「それは巫女達が集めているアイテムが全て揃って初めて光の階段が出来る、それ以外では天空の大陸には行けん、飛行魔法を使ったとしてもな」


 「なら、巫女の手伝いをすれば良いってこと?」


 「そうなる、各色玉を手に入れなければならない。

 この街にもある?」


 「ある、亜留だけに」


 「………どうしたら良いのでしょうか……こういう場合」


 「………微笑んでくれたらいい………ごほっ、まぁ色玉を集める、大陸に行くにはそれしか無い」


 「ほれ、これが色玉じゃよ」


 !?


 おじじは真っ白な玉を渡してきた。


 「どうして持っているの?」


 「ワシはこの街の町長じゃからのぅ、管理も任されておるんじゃ。

 亜留よ、決してあの時の結末を迎える訳にはいかん。

 ワシも2度も同じ事はみとうないからな」


 「うん、お話でしか知らないけど私、頑張る」


 「任せたぞ、亜留よ。

 お主がこの街の希望じゃ、あの者の跡を継ぐものじゃからな」


 「はい……行ってきます、博士の所に」


 「ああ、頼むぞ」

 私は見ていた本をおじじに渡しておばさんの所に向かうのでした。

 

 (私は、この街の為に戦う……それが私……戦闘型アンドロイドだから)


 ・・・・・・・時を同じくしてセラス街にたどり着く者。


 氷火と暴剣だった。


 「ふっ、街を見てると安心するぜ」


 「そんな事より、鈴風って言う人が居るのよね?」


 「だから、いるかも知れないってわけだよ。

 それに居たとしてどうするんだよ」


 「カリン……って言ってたでしょ?」


 「ああ、言っていたな」


 「それ、私の幼い頃に仲の良かった子なの。

 私をいつも助けてくれて、俺が必ず助けてあげるって言って居て……でも」


 「でも、どうしたんだよ?」


 「ある異変で離ればなれになって、そしてもう会えてないの。

 死んでいるのか、それともまだ生きているのか……」


 「何年前なんだそれは?」


 「私はコールドスリープさせられていたからあんまり分かんないけど、50年前くらいかも」


 !?


 「お前!コールドスリープって言ったな!?」


 「え、ええ言ったけど」


 「そうか………ああ、良かった……目を覚ましていたんだな」


 暴剣はそう答えた。


 「な、何よ!急に女々しい感じになって!」


 「お前が言うカリン………間違いなく、会える。

 そして生きているぜ」


 「ほ、ほんとに?」

 疑う顔で見る氷火。


 「ああ、お前がコールドスリープって言ったからな。

 まぁ、おじさんくらいにはなっているよ」


 「ふ~ん、まぁあんまり期待しないけどね」


 「それにしても、お前の他の奴は?」


 「他のヤツ?」


 「ああ、俺はお前がコールドスリープしていた事を知っている。

 それに他のやつも、男が後2人居るだろ?少し大人のガキと子供のガキが」


 !


 「あ、あんたがコールドスリープを!?」


 「いいや、男は俺じゃねぇ。

 他のヤツだ、未来にこんな事が起きても直ぐに対処できるようにな」


 「でもこのありさまだけど?」


 「被害は最小限に抑えている、各地に強い冒険者も居る。

 巫女や賢者も動いてくれているはずだからな」


 「巫女?賢者?」


 「ああ、扉を管理している者達だよ。

 賢者にはほとんど会えないがな、巫女も賢者の指示がない限り見る機会もない」


 「そうなのね、私も昔の記憶にそんな事を言われたような気がしたわ」


 「フッ、そうかい。

 それでどうするんだ?鈴風に会うのか?」


 「当たり前よ、もしもカリンなら私の事を覚えているはず。

 ずっと一緒に居た仲だもん」


 「火蓮が取るかもな?」


 ?!


 「か、火蓮!?誰よそれ!」


 「あれ?アイツのこと知らないのか?………まぁ、見たら思い出すんじゃね?」


 「……」

 何だろう……火蓮って言葉を聞いた瞬間、何だか心がモヤモヤする。


 ギルドに着いた2人、しかし他の冒険者達は居なかった。


 「あれ?他の冒険者達は?……居ないんだけど」


 「ホントだな、おい受付嬢。

 人が手薄過ぎないか?」


 「皆さん、他の街に派遣されて行きましたのでこの街にはほとんど冒険者はおりませんよ」


 「ちょ!この街が被害に遭ったらどうするのよ!」


 「氷火、落ち着け。

 何か策でもあるのか?」


 「セラス街には人の魔力を糧としてバリアを展開出来る。

 これを知っているのは受付嬢の私とギルドマスター、それと巫女や賢者くらいしか居ないわ」


 「人の魔力!?そんな事してその魔力を与えている人間はどうなるのよ」


 「魔力が尽きれば、死ぬ……そして次の者がバリアを展開する為の糧となる」


 !


 「おいおい、とんでもないものを持っているんだな、このセラス街はな。

 そんなもん、使わせるとでも?覇神が許すとでも?」


 「許すわね、そしてシステムに入る人間も決まっている」


 「何!?」


 「魔神よ、あんた達なら知っているでしょ?」


 !


 「魔神だと!そんな事させるとでも!魔神は俺達の仲間だ!

 渡せるかよ!!」


 「じゃあ、貴方達がさっきまで魔神を見たことある?」


 何!?


 (ま、魔神?こ、これも二つ名なんだよね?)


 「まさか!」


 「そうよ、今はバリアを展開する必要が無いから魔力は消費されていない。

 賢者達が彼女と共に居るわ、だから何処を探したとしても会えることは無い」


 「クソやろ!!!お前、人の命を何だと思っているんだ!!!」

 暴剣はセリーナの胸ぐらを掴む。


 「彼女、いいえ魔神………まぁ本名、ハーベル・アマン。

 彼女はこの事をしてもいいと言っているわ」


 「何!そんなはずは無い!賢者やお前が、脅しているんだろ!!」


 「ちっ、離しなさい!」

 セリーナは暴剣の手をどかす。


 「私や賢者は脅してなんて居ない、これは彼女がやりたいと言った。

 ギルドマスターから聞いたから私は知らないけど、娘……居たそうね、彼女に」


 !


 「娘?魔神?あの!なんの事何ですか?」


 「貴方は誰かしら?」


 「私はマリンよ、二つ名は氷火」


 「そう、それじゃあ私はこの後仕事で忙しいの。

 構ってられないわ」


 「待てよ!このまま、仲間を失わせる訳にはいかん。

 お前を脅して、魔神の居場所を聞く」


 「場所?それは私にも分からない、連れて行ったのは賢者達。

 無駄よ」


 「貴様!!!!俺がお前の首を斬り落としてやる!!!」


 暴剣は剣を構え斬りかかる。


 その時


 「やめろ!!」


 !?


 声に振り返る2人、そこに居たのは

 しっかりとした制服を来た男だった。

 髪は金髪ショートヘア、目はキリッとしている。


 「あんたは………誰だ?」


 「俺は賢者の一人、ヴァグラス・メニア」


 !


 (け、賢者!?この人が?!いいえ、それよりも一人って事は他にも居るの!?)


 「魔神を連れ去ったのはあんたなのか?」


 「まぁ他の賢者達も一緒だがな」


 「なぜ!魔神はこんな事を望んでない!!生きていたいはずだ!」


 「………俺は理由を聞いてない。

 だがヤツが自分の意志で望んだ事だ、仲間なら押し出してやるのが普通だろ」


 「ふざけるな!!!姿もあまり見せない賢者はそれだけ薄情な奴ら何だな!!!」


 「神の御前!!!」


 !?


 「ぐわあああ!!!」


 「な、何!?」


 突然空気が代わり、私の目の前には暴剣が押し潰されそうになっている。


 (圧力!?この圧は)


 「薄情だと?我々賢者は人間のより良い生活の為、色々と考え今まで色々としてきた。

 それを薄情だと!」


 「ぐわあ!お、俺は仲間を……魔神を死なせたく……ない!これが仲間……だ!!」


 「解除!」


 !?


 (圧が消えた!?)


 「……何も魔神を殺すまでやらん、受付嬢……あんたは何を言ったんだ?」


 「ふふっ、盛りすぎました?」


 「え?は?」

 暴剣と氷火は状況を察せずは?となっている。


 「暴剣、それと女。

 確かに魔力を全て使えば人は死ぬ、だが入るのは奴だけでは無い。

 魔力がアホみたいにある賢者も入るから奴が死ぬ事は無い。

 安心しろ、殺しはせん」


 「ほ、本当ですか!」


 「ああ、賢者が嘘を付くとでも?」


 「………申し訳なかった」


 「ふっ、気にする必要は無い。

 仲間の為に賢者に歯向かうものはこの世にほとんど居ないからな。

 安心しろ、お前はやるべきことをすればいい」


 「分かった」


 「受付嬢、巫女は?」


 「冒険者達と共に出かけて行きました、多分ですけど扉を封じる為のアイテムを取りに行ったかと」


 「そうか、俺も巫女の近くに居る者の強い力を感じる。

 しかもその力は闇の力と呪いの力を駆使しているようだな」


 「なぜ分かるのですか?」


 「俺は賢者だ、感じる事など朝飯前だ」


 「そうですか、それでこちらに用があったのですか?」


 「ああ、地下に案内できるか?」


 (地下?このセラス街に地下があるのか!?)


 「分かりました、お二人はコチラで休憩しててください。

 仲間の方も戻ってこられると思いますよ」


 セリーナはそう言い賢者を連れて奥の部屋へと向かった。


 

 「氷火、地下………一体何があると思う?」


 「知りませんよ、知ったら何かまずい事のような気がしますし」


 「まぁそうだよな、賢者が出入りしている所に入るのは禁忌になるからな。

 待ってたら仲間が来るだろ」


 「そうですね」


 ギ〜。


 入口の扉が開く音。


 「あ、暴剣…」


 「お!鈴風か」


 !


 (鈴風!?この人が!)


 「よお、無事なようだな」


 「鈴風、頑張った。

 鈴風、覇神に救ってもらった、暴剣……隣に居る女は誰?」


 !


 「私は氷火、本名はマリンよ。

 覚えてる?カリンよね?」


 すると鈴風は首をかしげ


 「マリン?……う〜ん、僕は知らないよ。

 それで何で僕の名前を知っているの?」


 !?


 「え、忘れちゃったの?………ずっと一緒に居たよね?」


 「鈴風、覚えてないか?こいつが言うには過去の異変の時にこいつと離ればなれになったそうだが」


 「………!あ、思い出した………マリン……」


 「記憶が曖昧なのか?」


 ばふっ。


!?


 マリンは鈴風に抱きつく。


 「し、心配したんだから!!私はあんたと離ればなれになってもう会えないって思った、あんたの事大好きなのよ!!」


 「……ごめん、マリン……元の鈴風じゃなくていい?」


 「いいに決まってる!あんたを今度は私が守る!」



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