プロローグ
ミナミ・サーラス・・・茶髪の女の子、魔法の宝箱に入っていた禁忌の闇玉によって黒髪へと変わる。
臆病な性格で争い事は好きではない、闇属性の魔法を使えるようになった。
ハーベル・アマン・・・森の中で暮らしているおばさん、茶髪ショートヘア、黒いフード付きの服を来ていて家の中には沢山の本や色んなアイテムが置いてある。
数年前は街で暮らしていて娘が居たようだが?
グレン・キャニッス・・・金髪ショートヘアでヤンキーっぽい感じの男の子。
正義感が強く、ミナミの事をよく見守っている。
ミナミにとってグレンは心の拠り所でもある。
ここは平和な大陸、クルック大陸。
そしてここはクルクック村。
そこにはひ弱な女の子が居た。
「おいおい!ざーこ、ミナミはざーこ!」
「おらおら!やり返してみろよ!!!」
「痛っ!いや、やめて、やっ!嫌」
複数の男の子や女の子に痛めつけられる少女。
「ふん、お前は陰でコソコソと貧乏らしく暮らしているんだな!
雑魚が生きるなよ!!」
「………」
「ふん、行こうぜ」
少年少女達は去って行った。
倒れるミナミ。
(痛い……嫌、もう行きたくない……)
私は服に付いた土を手で払い室内へと入る。
中は数人しかおらず、私が入ってきたのを見ると中に居た少女や少年らは部屋を出ていった。
そして私は1人となる。
(そうだよね、私が居ると邪魔だよね……)
コツコツ。
「なぁ、やり返さねぇのかよ?」
?
顔を上げると金髪、ショートヘア、短パンの少年が居た。
「グレンには分かんないよ………怖いし、何されるか分かんない。
だから歯向かわない…、耐えるだけ…、」
「そうかよ…………だけどいつか、耐えられなくなっておかしくなるぞ。
もしも、辛かったら俺に言え」
!
「どうして私に優しくするの、グレンもいじめられるよ」
「ふん、あんな奴ら怖くねぇーよ。
大人の方がもっとこえーし」
「ふふっ」
「何笑ってるんだよ」
「何でもない」
「そうかよ、俺は帰る。
気をつけろよな」
「うん」
そうしてグレンは室内を出た。
「おい!おい!やり返してみろや〜!!!」
「痛っ!いや!やめて!」
私はまたいじめられていた。
髪を引っ張られ、顔を殴られる。
私は抗おうと考えるが
「おら!」
ボコ。
「がはっ!」
腹を蹴られ吹き飛ぶ。
「おい、コイツの長い髪切ろうぜ」
「ああ、見づらいから見やすくしてやるよ!!」
「嫌」
私は痛む体を動かすが直ぐに捕まり、手や足を他の少女らに捕まれ
そしてチョキチョキ。
「いやー!」
私の茶髪のロングヘアはショートヘアまでされてしまった。
「ほらよ、お前も男だ。
ざまー見ろ!」
ボコボコ。
私はまた痛めつけられる。
苦しい……でも、やり直したら何されるか。
「やめて」
「おらおら!!!くらえ!!最強パンチ!!!」
「がはっ!」
男の子のパンチがもろに腹に直撃し口からゲロを吐く。
「うわ!きたねぇ〜!ゲロミナミだ〜」
少年少女達はどこかに行ってしまった。
コツコツ。
「あら?汚いねぇ〜、ミナミさん!綺麗にしておきなさい!!貧乏なんだから!」
先生が頭に雑巾を投げてきた。
「はい………先生」
私は自分の出した物を後始末する。
私はそしてトイレに向かった。
私が口の中を綺麗にしていると
「むぐっ!?」
後ろから首を絞められる。
!
鏡越しに気の強い女の子が締め付けてきた。
「うぐっ!くる……しい」
「へぇ!このまま眠りな!!!」
「うぐっ……やめ……」
バタリ。
私は気を失い、倒れる。
「ふん!後は水遊びしてやるよ!」
バシャ。
女の子はバケツに水を汲み思いっきり私にかける。
……、。
「雑魚は引っ込んでなさい」
私は背中を蹴られる。
……、。
………。
……………。
数日後
私は目を開けるとそこは森の中に居た。
「あれ?ここ、どこ?」
私は辺りを見渡すが暗くてよく見えない。
「どこなのここは」
私が不安そうに辺りを見渡していると
グルルル!
!
草むらから魔物らしき声が聞こえた。
(ひぃ!)
私は慌てながら無闇に走る、走る……そして走る。
そうしている内に小さな家?らしき建物を見つけた。
私は外に居るよりも中に居たほうが安全と考え不安ながらも建物の中に入る。
「あ、あの〜」
声をかけるが反応は無い。
(入っていいのかな?)
私は室内に入ると扉の鍵がかかる。
!
私は扉を開けようとするが全く開かない。
「クククッ!」
!?
声がして振り返るとフードを被るおばさんが出てきた。
「ひぃ!!」
私は怖くなり必死に扉が開かないか取っ手を動かすが全く開かない。
(嫌!嫌!何で私だけこんな目に………)
私は崩れるようにへにゃりとしゃがみ込む。
(襲われるなら、人間の方がいいよね……こんな私でも奴隷くらいにはなるかな?)
私は後ろから歩いてくるおばさんに襲われると思っていたが
「お嬢さん、どうしたんじゃ?」
?
優しい声に振り返ると優しそうな顔のおばさんが居た。
フードで顔が隠れていたから怖かったのかもしれない。
「ひぐっ!うぐっ」
「まぁ、まずは椅子に座ってティーでも飲もうじゃないか」
そう言いおばさんは奥の部屋へと向かった。
「優しい人?」
私は言われた通りに椅子に座る。
奥からいい匂いがしてきた。
(何だろう美味しそうな匂いがする)
「さて、これをお食べ。
容姿をみる感じ、お腹が空いてるだろうからね」
おばさんはパンとティーを持ってきてくれた。
パンの上には焼けているハムが乗っていた。
「食べていいの?」
私は不安そうな顔で聞く。
「いいに決まっとるじゃろ?お主の為に作ったんじゃからな」
「ありがとうございます」
私は涙ながらパンを頬張る。
(おいしい……とっても)
「ふふっ美味しかったみたいだね。
落ち着いたらお話してくれるかい?
それと私の名は、ハーベル・アマンだよ」
「私は、ミナミ・サーラスです」
「ミナミだね、行く当ても多分無さそうだしよろしく頼むよ」
「はい」
私は頷く。
(このおばさん……いい人……とっても優しい人)
(あの子、腕やら足にアザが多いね……まさかと思うが捨て子かもね?
私が何とかしてやらんとね)
数時間後
「落ち着いたようだね」
「はい」
私はもうリラックスした状態になる。
「何があったんだい」
「それは……」
私はこれまでの事を話した。
辛いことや悲しい事、嫌な事、そして優しかったグレンの事とかを話した。
「そうかい、それは辛かったね。
そのグレンって子は多分あんたの事を守っていたんだろうね。
それに心配してくれている、どうだい?あそこに戻りたいか?」
「ううん、戻りたくない。
ここがいい……ここは落ち着くし安心する」
私はそう答えた。
「そうかい、まぁ私は特に困る事は無いから気にしてないけどね。
それよりもお父さんとお母さんは?」
「パパとママも帰ってこない……どこかに行っちゃった」
(こりゃ、親も最悪だね)
「それなら、お前さんは力を持っているかい?ここは森の中の家だから魔物が襲ってくるかもしれない。
力や魔力はあるかい?」
「うーん、多分持っていません」
「そうかい、ならこっちに来な?」
私はハーベルに連れられて奥の部屋へと向かう。
そこには真っ黒の宝箱が置いていた。
「これ、何?」
「宝箱だよ、まぁ見た感じやばいじゃろ?触れてみたいかね?」
「触れたら何かあるんですか?」
「…………何も無いよ。
中身が重要だからね」
私は宝箱に触れる。
しかし特にこれと言って何もないので開けてみることに。
ギギギ。
?
箱の中には真っ黒の玉があった。
漆黒のような綺麗な黒、何も通さない程に。
「それは闇の玉さ、どうやらお主にはそれが必要なんじゃろう。
体に押し当ててみるのじゃ、お腹辺りでいいぞ」
ハーベルに言われ、私はそれをお腹に押し当てると
ズズッ。
!?
何と玉がゆっくりと私の中に吸い込まれていく。
「な!?なにこれ!」
「大丈夫じゃ、落ち着け」
ハーベルは私の手を握る。
(何だろう、私の中に何か強い流れのようなものすごく強い何かが流れてくる。
苦しくもない、辛くもない………何だろう、心地良いような)
「終わったぞ」
「うん?」
ハーベルは手鏡を持ってきた。
!
そこには真っ黒の髪の私が居た。
体を見ると太ももに何やら紋章が描かれていた。
「な、なにこれ!ハーベルさん」
「大丈夫じゃ、これはお主に危害を加えるもんじゃない。
むしろ、お主の力になるはずじゃ。
体が少し軽くは無いか?何かが流れる感じは無いか?」
「感じます、何か私の体の中を流れる何かが」
「これは魔力がお前さんの中に流れたんだ。
しかも、この玉は違う………今のお前さんはかなり強い状態じゃぞ?」
「強い?私が?」
「ああ、試してみたいかい?」
「はい」
「それじゃあ外に出てくれるかい?私も来るからさ」
ハーベルに言われ私は家から出る。
少し家から離れ待っていると
ハーベルが出てきて、何やら地面に何かを置いた。
すると、その物から光が溢れて家や私、ハーベル、近くの木々に纏わる。
「さて、お前さんが得た力は闇属性の魔法を使えるようになっているぞ。
何か魔法を使ってみるといい、そうだな私の家に向かって使ってもらおうかね」
「え?!あの、魔法はあんまり分からなくてそれに家に使うのは」
「大丈夫さね、……そうね~ブラックボールを試してみて。
簡単な初級魔法だからね」
「こんな風に」
!
ハーベルの指先にはボールくらいの黒い玉がある。
魔力を帯びているのか、モアモアしている。
「やってみます」
「ブラックボール」
!
「あ!」
私の指先に小さな黒い玉が。
「クククッ、可愛らしい魔法だね。
まぁ練習すれば簡単に使えるようになるよ」
「むぅ〜!はあああ!!!」
私は力を集中させてみる。
!
(おやおやこれは)
すると小さかったブラックボールはどんどん大きくなっていきそして木々と同じくらいになる。
「ど、どうしよう!ハーベルさん」
「私に向かって撃ってきな!大丈夫だから」
「は、はい!」
えい!
私はハーベルさんの方に指先をぴゅとするとゆっくりとハーベルさんの方へと向かっていく。
(これは凄いブラックボールだね〜、もしかしたらこの子は凄い子になりそうだよ〜。
さて………軽く潰すかね)
ハーベルさんは大きなあくびをして、眠そうに。
「ブラックボール」
そう言い指をならすと小さなブラックボールが私のブラックボールに飛んでいく。
(え?ハーベルさんのブラックボールはあんなに小さい!あんなの飲まれちゃうよ)
そして2つのブラックボールが直撃した瞬間。
バシュ。
ブラックボールは消滅した。
「え?」
「これは見た目だけで大した事ないブラックボールだったね。
いいもの見せてもらったよお前さん」
「あの、どうしてブラックボールが消えたんですか?」
「それは私があんたの魔法を相殺させたのさ。
あんたの強力なブラックボール、そして私のブラックボールは小さい……けど、その中にはかなり魔力を込めさせていたの、しかも闇属性を弱める魔法を入れているから消えたのよ」
「相殺……」
「なんだい?相殺が気になるのかい?」
「うん、もしもの為に知っておきたいの。
駄目かな?」
「いいわよ、私も街に居た時お前さんのような娘が居たけど、………ごめんなさいね、教えてあげるわ。
相殺についてよね?まずは本があるからそれを読みましょう」
ハーベルはそう言い家へと入っていった。
(ハーベルさん、少し悲しそうな顔をしていたような)
私も家へと入り、ハーベルさんが持ってきた本を読み知識を得た。
そして他にも色んな事を教えてもらいました。
そして
「ハーベルさん、魔法を唱えてください」
「相殺させるのかい?分かったわ、はあああ!!!ブラックボール」
ハーベルさんの魔法が飛んでくる。
「大丈夫、やれる」
「ブラックボール!!」
私はブラックボールの中に相殺させる魔法を込め、撃つ。
2つの魔法はぶつかり
バシュ。
!
威力は弱まったが完全に相殺出来ずに私の横をブラックボールが飛んでいった。
「はぁ~駄目か〜」
「最初でそこまで出来たら大したもんだよ。
さてと、ご飯を食べるから入るわよ」
「はい」
私はハーベルさんの後を追う。
この後、私はハーベルさんの作るご飯を食べてお風呂に入り、ベッドで休む。
お風呂は外に置いてあるらしく、空を見ると夜空が綺麗で星がキラキラと光っていた。
私のこの先、色んな困難にあうかも知れないけどきっと私はこの魔法でやっていける気がする。
それに私の魔法はとても強い魔法らしく、普通の冒険者が驚く程の強さだとハーベルさんは言っていた。
私の冒険は始まりを迎える。
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