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二章四話 竜と神子の二人旅

「おいアッシュ、そろそろ野営しよう。僕は疲れたぞ」 

「後一時間はいけるだろ、歩け」

「そんなあ…」

ベルは女神だが今は人間並の性能(スペック)しかない。仕方ないだろと思うやつもいる思う。だけどな?

「お前、日中も二時間はおんぶしてやっただろ…涼しくなってきたからもう少しがんばれよ」

「ちぇっ、アッシュのケチ」

「今日の夕飯は回鍋肉(ホイコーロー)にしようかな」

「よし!頑張って歩くぞアッシュ!」

実は最近、なんちゃって中華料理に挑戦している。調味料は前の町でそれっぽいのを調達していたのだ。元高校生のくせに何で料理できるかって?そりゃ親がよく家を空けてたからだ。それとどっかのエルフがよく料理にケチをつけたせいでむきになって練習したのである。その中華料理にベルはどハマリしたというわけだ。

ということで。

「いただきまぁーす!」

「たんと食え」

昔店で食べるものには及ばないものの前の世界の調味料よりクセが強く、それが逆に美味しい。この世界の食事は前の世界のレベルほどではないが、如何せん素材の味が段違いなのだ。

「ごちそうさま、アッシュ」

「お粗末様でした」

美味そうに食べてくれるからこっちもやる気が出るな。

「明日も歩くぞ、ゆっくり休めよ」

そう言って作った風呂に入った。俺が出るとベルが入ろうとした。

「ええええ!?」

という叫び声が聞こえる。

「どうかしたか?」

「こっちを見るなバカ!裸だよ!」

桶を顔面にぶつけられた、痛くはない。とりあえず見えない位置にいって改めてどうしたのか聞いてみた。

「何で聖水で風呂に入ってるんだ!?」

はあ?またそれか?だから聖水なんて…

「そんなわけねえだろ、アレは高いんだぞ?」

「もしかしてキミから漏れ出したエネルギーがこれを…」

「俺は漏らしてねえよ!?」

「そういう意味じゃねぇよ!ハァ、失敬。」

まあ俺はドラゴンだしエネルギーの総量がでかいからだろう。前風呂に聖水が入ってたのはそういうことか。

「まあ俺ってエネルギッシュな人間だから、そういうこともあるだろ」

「百歩譲ってそういうことにしておくよ…で、話が変わるけどキミ、このまま町にいったらボロがでてヤバイ奴扱いされるよ?」

た、確かに…

「僕はエネルギーが足りないんだ。分けてくれればこの現象は抑えられると思うけど?」

何だと、そんなことができるのか。それはありがたい、是非やってもらおう。

「乗った。後でやろう」

「そうこなくっちゃ!」

ベルが風呂から出ると、俺に手を差し出した。

「手を握って、そこから少しずつエネルギーを流して」

言われた通りにエネルギーを循環させるイメージで送った。

それにしてもこいつの手、すべすべでめちゃくちゃ柔らかいな。と、ボーッとしてたらエネルギーを出し過ぎた。

「ちょっと!?ストップストップ!流し過ぎ!うわあ!」

「わ、わあ…」

ベルから溢れ出したエネルギーが服を爆散させた。高校生くらいの全裸の少女と手を繋ぐ男、誰がどう見ても犯罪者である。

「このバカ!こっちを見るな!」

「すまんっっ!」

「全く、わざとやってるのかい?」

テントからつまみ出された。服を着て、俺をテントに呼び戻すとベルはこう言った。

「エネルギーの最大値は確かに少し戻ったよ、今日から毎日コレを頼むね」

「毎日服を飛ばすのか?」

「違うわ!ちゃんと調整しろ、バカアッシュ!」

初めての試みだったのにバカとは手厳しいな。まあ毎日こんな感じではわざとだと思われてしまうし、練習するか。

そして一週間が経った。かなりゆっくり進んだが、そろそろ着きそうだ。この一週間俺はベルに料理を振る舞っては褒められ、ベルの服を消し飛ばしては怒られた。

「やっと上手く調整できるようになったね」

「凄いだろ?褒めてくれてもいいぞ」

「僕の服を五着も飛ばしてるくせに」

「そ、そんなことよりもうすぐ着くぞ、楽しみだな」

「うん、僕も人間がどのように進歩したか楽しみだよ」

そういえばベルから聞いた人間のイメージはほぼ原始人と

言った感じだった。どんだけ昔だって話だが、さぞ驚くことだろう。 

「見えてきたぞ、アッシュ!」

「長かったな…」

砦町(フォート・タウン)、中が見えないほど大きな壁。なぜか前の町より警備が厳重だな。入場時に門番に聞いてみるとこの辺は蛮族のデカい拠点があるそうだ。なんでも資源が豊富な土地を占拠していて、輸送まで妨害されるため他の町よりいろんなものの値段が高いらしい。迷惑なもんだな、蛮族ってやつは。

「ぶっ飛ばすか?多分俺ならボコボコにできるぞ」

「野蛮だなぁ、そんなの面倒な目にあうだけさ。色々聞いたけどあいつら、他にも多数繋がってる拠点があって賞金首みたいなシステムまであるみたい。目をつけられたら一生狙われるよ」

「じゃあゆっくりここで金を稼いで馬車を手に入れるか。そろそろ徒歩は飽きてきたところだしな」

ということで俺達はこの町で馬車のためにお金を稼ぐ事にした。求職者組合(ギルド)という日雇いの仕事を斡旋してくれる場所があったので、とりあえず登録し依頼を受けることにした。

こんにちは、一介です。お読みいただきありがとうございます。今回の話はいかがでしたか?ベルさんはメスガキにしようと思ったのですが、ツッコミが板についてきてしまいました。

意見や感想があれば投稿の励みになります。次話も不定期更新ですが是非読んでくださると幸いです。

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