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二章三話 竜の邂逅・水の神子

邪神の死体から出てきたのは結界で保護された少女だった。かなりの美少女だ。綺麗で派手な衣装をまとった少女は着地し目を開けるなりこう言った。

「ありがとう!凄いぞ、キミは神を救ったんだ!」

む?なんか、急に胡散臭い感じがしてきた。

「褒めて遣わすぞ!僕は水の神子ヴェール・アムール・ウンディーネ。祈りを捧げて敬うがいい!」

と笑顔で言われた。

「え…神?」

「なんだい、その顔。何か不満でもあるのかい?それより、キミは誰だ、名を名乗れ!」

「あ、はい。アッシュ=ダイアモンドです」

「そうか、アッシュか。アッシュ=ダイア…ダイアモンド!?」

何故か胡乱な目で見られた。解せぬ。

「もしかしてキミの名付け親は…」

「コーラルっていう森の魔法使いだけど、知ってるのか?」

「知ってるも何も、ソイツは大昔の勇者だよ!」

「ええ?!」

「キミって奴は、感の鈍い男だね。大体わかるだろ、普通の魔法使いにしては強すぎるし知識を蓄え過ぎてる。」

女神にしては言葉遣いが荒いな。

「そういえばお前は何で邪神の死体の中から出てきたんだ?」

「急に話を変えるな…って、いい質問だね。僕は大昔から生きているのだけど、ある邪神との戦争に巻き込まれてしまってね、奴に対して十数柱(じゅうすうにん)の神で挑んだんだ。余裕でボッコボコにしてやったさ。でも僕は疲弊しすぎてね、休眠のため自分を封印したんだよ。でもあの代の邪神、暴食っていう原罪に属していてね、屍になってなお僕を喰おうと取り込んだんだ。」

壮大な話だな、本当か?

「キミ、疑ってるだろ。本当の話だよ。で、気づいたら邪神の死体の中にいたんだよ。変に術式を歪められて中からじゃ出られなくなってしまったんだ。しかも休眠どころか侵蝕されないように結界を維持してたせいで今もすっからかんさ」

「そうか、大変だったんだな」

「そうさ」

「………………達者でやれよ」

「え?」

「ん?」

「置いてくの?ここに」

「お前も帰る場所があるだろ、帰ったらいいじゃないか」

理解できないといった表情。

「あの、えーっと…」

「なんだ?」

「帰る場所ないし世話して欲しいなー、なんて」

「断る」

「なんだと!?ちょっと待ってくれよ!」

断固拒否だ。旅が始まった矢先厄介事を背負うのは考えものである。

「僕は神だぞ!?養って悪いことなんて何もないだろ!」

とんでもねえ発言だな、こいつ。

「ふざけるな。じゃあ聞くがお前を連れてってなんかメリットがあんのか」

すると少し狼狽気味に、

「えーっと、可愛い?」

「じゃあな」

そう言って立ち去ろうとすると、足に縋りついてきた。

「わかった!ごめん!謝るから!何でもするから連れてって!キミも助けた人が野垂れ死んだら後味が悪いだろ!?」

「お前は神なんだから死んだりしねえだろ!」

「僕は弱ってるんだ!今は人間レベルに弱体化してて人間みたいに栄養を摂らなきゃ死ぬんだよ!頼むから置いていかないで!」 

涙目で懇願されて、なんだか可哀想に見えてきた。これが駄女神というやつだろうか。仕方ない、少しの間世話してやるか。まあ俺は色気もないし、生きる術が見つかればすぐ離れていくだろう。

「分かった、じゃあとりあえずついてこい。俺も特に目的のある旅じゃない。俺の気分で動くが、いいか?」

「勿論さ!ありがとう!ご飯は三食用意してくれたまえ」

「お前、少しは働いてもらうからな」

「え?じゃなくて、うん。分かってるさ、僕だって雑用くらいできるよ」

「じゃあ、行くか。えーっと、なんて呼べばいい?」

「ベルで構わないよ」

「ベル、よろしくな。俺の事はアッシュでいい」

「よろしくね、アッシュ」

こうしてベルが旅の仲間に加わった。なんだかんだで、仲間が増えればにぎやかになるだろう。楽しみだ。

こんにちは、一介です。今回も読んでいただきありがとうございます。

初のヒロイン枠であるベルさんを仲間に加えたアッシュですが、面白かったでしょうか。

次話に続きますので、是非読んでみて下さい。

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