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二章二話 竜とおぞましき遺物

拘置所から出ると町が見えてきた。中世の街並みといったところか。しかし魔法で建造物は構造を強化されており、その強度は前の世界の家を優に超えていた。というか家にしてはオーバースペックではないか?

「おい、そこのお前」

振り向くと、そこには俺を護送した騎士のおっさんがいた。

「ああ!やっぱりお前だ、無実だったのか」

と気さくに話しかけてきた。そこで俺も笑顔で

「無実でした。この前の約束、忘れてませんよね?」

「勿論だ、飲みに行こう。今日は非番だしな、拘束してここまで連れてきてしまったのを詫びたかったんだ、俺のおごりで頼むぜ」

と、こんな感じで日中は街で日用品の調達を手伝ってもらい宿も紹介してもらった。そして夜。

「乾杯!」

これが酒…はじめて飲むぞ。意を決してぐいと飲んだ。

喉を通る熱くヒリヒリとくる感じ、これは…

「美味い!」

「ん?あぁ、そうか?そんなに美味いか?普通の酒だがな」

「いや俺、酒は初めて飲んだんですよ。故郷ではあまり食卓に出なかったもので。それにしても美味いですね、酒って奴は」

「本当か?無理するなよ、そいつは飲み過ぎると酔って気分が悪くなったりするからな」

アルコール、俺に効くのだろうか。今のところ酔いそうな感じはしない。

とりあえず頼んだ鳥肉のグリルに手を出した。これもかなり美味い。スパイスでくせになる味付けにしてあったが、これがまた酒に合う。

そうしてその騎士から色々と話を聞いて、その日は朝まで飲み明かした。

そして次の日。旅の準備もできたから町を出た。


「お、アッシュじゃねえか、もう出てくのか?」

あの騎士隊長だ。

「ああ、世話になったな」

あの日仲良くなって、タメ口で話すようになったのだ。

「そうだ、この都市の近くには邪神の死体の一部が埋まってるから、不死者(ミュータント)が徘徊しているんだ。気を付けろよ。」

「わかった。注意しとくよ、あんたも元気でな」

そう言って俺は町を出た。いい町だったな。

数時間歩いていると、何か人影が見える。

「グギッ!ギィィィィ!」

不死者(ミュータント)だった。人型だが顔が少々、いやかなりグロテスクだ。

とりあえず持ってる剣で応戦したものの、斬った箇所はすぐつながって再生してしまった。魔力によって体がリンクしているようだ。それを断ち切ってみるか。

体内からエネルギーを剣に流し、収束させた斬撃。

「ハハ、やられてやんの。ってなんだ!?キモっ!?」

綺麗に切断された体はそれぞれ足りない部位を再生させ、不死者(ミュータント)は二体に増えた。

どうやったら死ぬんだ?こいつ。そういえば聖水がいるとか言ってたな。やっべ、買うの忘れてた…何か代替案はないものだろうか。聖水だから、聖属性の性質の水か。それなら俺のエネルギーを直接ぶっかけてみるか。

魔法を発動するためには、無属性のエネルギーが必要である。アッシュはドラゴンで、魔法的エネルギーの扱いに長けているはずだが通常の魔法が行使できなかった。何故なら彼の魂から発生するエネルギーは聖の属性に傾いたものだったからだ。そこで師匠(コーラル)は属性変換という技によって彼のエネルギーを無属性に変換するすべを身に着けさせたのだが、この場合…

「オラ!聖属性ボール!」

ネーミングがあれだが、効果は的面だ。不死者(ミュータント)は溶けて気化していった。それにしてもこいつらはどこから出てくるのだろうか。邪神の死体の一部から湧くというが、どこにあるんだ?

試しに地面の邪気の濃い方を魔法で探知して辺りを捜索してみた。一番邪気の濃いところに来てみたが、不死者(ミュータント)でいっぱいだ。周りのやつを一掃した。無限に湧いてくるな、ええい面倒くさい!辺り一帯聖属性まみれにしてやる!

アッシュがエネルギーを注入すると地面が脈動し、大きな魔属性エネルギーが凄い勢いで迫って来た。そして地中から出てきた赤黒い液体は固体化し、ゴーレムのような恰好になった。

どうやらこれが邪神の死体が魔物化したものらしい。

「グギャオオオオオオン!」

「でっか…」

すると無数の触手が俺を絡め取った。エネルギーを吸い取ろうとして、消滅した。当たり前だ、俺は聖属性だからな。

「うおおお!汚物は消毒だァ!」

とかどこかで聞いたような台詞を吐いて一気に距離を詰める。そして大量の消毒薬大量の消毒薬(俺のエネルギー)を叩き込んだ。

たちまちの内に魔物は溶けて、まばゆい光を放った。

「うわ!眩しい!?」

おぞましい化け物から出てきたのは結界に包まれた美しい少女。銀髪に青いメッシュが沢山入っている綺麗な髪をもち、光を放ちながら出現した姿はまさに女神そのものであった。





こんにちは、一介です。今回もお読みいただきありがとうございます。面白かったら是非感想をお願いします!


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