一章五話 竜の旅立ち
魔法修行の日々もニ週間が経ったある日、青髪で長身、眼鏡をかけた知的な雰囲気の女性がやってきた。彼女が例の従者らしい。
「お久しぶりでございます、我が主様」
「久しぶりだね、サファイア。元気だったかい?」
「お陰様で。早速作業に取りかかりましょうか?」
「うん、たのんだよ。」
サファイアさんはもの静かだった。すぐにメイド服に着替えて掃除を始めた。
とんでもない手際で、家の汚れという汚れが消滅した。
それに収納もすごく綺麗になって、まるで俺がサボっていたかのように見違えた。
「貴方、掃除苦手なんですか?」
なんとなくイラッと来る言い方だが、ぐうの音も出ない。
まあ俺がいなくても大丈夫そうだな。
数日後俺は、ここを発つと伝えた。
「そっか、じゃあ明日準備をして明後日でなさい。」
意外とあっさりしているな。
そして俺は荷造りをはじめ、覚えた魔法の一つである空間収納に魔法書やもらった本、様々な状況に対応出来るように色々な物を入れた。この魔法は自分の肉体の体積分の空間にものを入れられるというものだ。にしては色々入れ過ぎだろって?それは俺も気になって調べてみたが俺の空間収納のサイズは竜のときのサイズが適用されるようで、クローゼットというか蔵だった。便利だな、自分の体の大きいのに助けられたのはこれが初めてかもしれない。
「おーい、ご飯の時間だよ。」
お、もう夕飯の時間か、明日ここを離れると思うと時間が早く感じるな。
サファイアさんがご馳走を作ってくれた。
食卓を囲んで話をする。ここが俺の家なんだと再認識した。
旅立ちの日。
「今までお世話になった、ありがとう。」
「どういたしまして。じゃあ、旅立つ前にいくつかプレゼントがあるんだ。受け取ってくれるかな?」
「もちろん。貰えるものは貰っていこう。」
なんだろうか、少しワクワクしているとコーラルは二つの木箱を差し出した。
「どちらかをくれるのか?」
「どっちもあげよう。」
お、太っ腹だな、後で開けるとしよう。するとサファイアさんが何か持ってきた。
イヤリングだ。コーラルやサファイアさんがいつも着けているアクセサリーに似ている。
俺がそれを着けるとコーラルは、
「うん、似合ってる。じゃあ最後に、君に名前をあげよう」
そういえば俺は名前がない。
「かっこいいのを頼むよ。」
コーラルの雰囲気が変わった。
「貴方の力は世界の運命に大きな影響を及ぼすことでしょう。この私、コーレイア=ダイアモンドの名の下に宣言します。
貴方は今日より、アッシュ=ダイアモンドを名乗りなさい。
貴方の行く末に多くの幸あらんことを祈っていますよ。」
かくして俺は旅に出た。
俺の名前はアッシュ=ダイアモンド。
俺の運命にはどんな行く末が待っているのだろうか。
こんにちは、一介です。
この作品を読んでいただきありがとうございます。
不定期更新ですが今後も投稿していくので読んでいただけると幸いです。