表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/58

四章四話 宝神の降臨

空中で行われる格闘。

竜と勇者は宙を蹴り、攻防戦を繰り広げていた。ド派手な魔法攻撃の中で綱渡りのようなギリギリの争いをしている。

「なんじゃあれァ!ダンナがとんでもない敵と戦ってるぞ!」

「兄ィ、あれは絶対に干渉できないよ。どうする?」

騒ぎを聞いて辺りを調べていたミスジとマルタはその超常の戦いを見てそう叫んだ。

「シッ!静かにしな、アンタ達!」

「お前は…キャンディスか、何でこんなところにいるんだ。留守番だったんじゃねぇのか?」

「ついさっき上で戦ってるエネルギーバカに召喚されたよ。一応主従契約を結んでたからね」

キャンディスは数刻前に援軍として召喚された。

「アンタ達、今アッシュが戦ってるのは召喚された勇者なんだ。アイツはあそこで守られてる教会の長老ジジイに支配されてる。大体そういう魔法は術者を殺せば解けるから…」

「あの野郎をぶっ飛ばすんだな?よし!」

「待ちなさい!アイツは勇者に守られてる。あのエネルギーバカが押さえつけてる内に奴に私が魔法封じを掛ける。そこを殺して、いいわね?」

「分かったぜ。マルタ、支援を頼む」

「うん、任せて!」


ーーーーー


ハァ…コイツ、本当に召喚したてなのか?

魔法も剣術も銃も効かねぇし、おまけにあっちの攻撃は簡単に通る。

「ふざけんな!」

ヤケクソで銃を放り投げて殴りつけようとした。

すると…避けた。

「え?」

まさかこいつの弱点は…?

『キャンディス、コイツの倒し方がわかった。準備してろ!』

俺は魔法攻撃をやめた。そして放出していたエネルギーを全て体循環に戻し、その速度を上げる。

それは全身に大きな負担がかける。しかしこの体はそれに対応し始め、体の要所から鱗が発生し、人と竜が混ざったような姿になった。

知覚、膂力が段違いに上がる。

"人竜融合形態アラヒトノリュウ"

「仕切り直しだ」

テンションが上がってカッコつけたことを言ってしまった。

かつてない速度で空を駆けり、勇者を殴りつけた。いや、もはやパンチという技の範疇は出ている。

すぐさま反撃に移った勇者だったが、その地力と能力に頼った攻撃は通用しない。大剣ごと踵落としで撃ち落とされ、地面に沈む。

「大人げないかもしれないがな!」

殴る。

「お前には話があるから!」

殴る。

「倒されてもらう!!」

勇者の服を掴み、地面に叩きつけた。式典会場は粉砕され、更地となる。その時、動き出したのはキャンディス達だ。

キャンディスは俺が作った新たな武器、杖型魔法狙撃銃ケイン・スナイプを構え、撃ち放つ。

即席封印弾カーステイクアモマジック

その肩に弾を命中させられた長老は異変に気づいたが、もう遅い。

縛糸ワイヤートリック!」

マルタがワイヤーで脚を封じた。

そして、全速力で魔力を迸らせ走ってくるのは…猛牛。

「なんか卑怯な気がするが、くたばれ殺戮ジジイ!我流:闘牛鐘鳴拳ブルズ・ゴング!」

完璧な構え、完璧な打点、長老の頭はミスジの一撃でこれでもかというほどひしゃげてしまった。医者でなくてもわかる位の即死だ。

「勝った…」

俺は今日ほど無事で良かったと思ったことがあったろうか。

イザベラ達も式典会場に戻ってきた。

「アッシュ君、私は二人倒したわ。他は?」

「私とベルさんで二人倒しましたよ!」

この四人と、さっきミスジ達三人が仕留めた一人を合わせて五人。

するとオロコが長老の首を一つ持って来た。

「全員で長老は八人じゃろ?生きてる気配はしないが、あと二人何処におるのじゃ?」

「探しているのは身共が討ち取った此奴のことかな?」

予想外にもこの前知り合った侍、早乙女水之助が死体をもってきた。綺麗な切り口だ。やはり相当の使い手だろう。

「ご協力感謝する」

「何、邪魔をしたため斬ったまでよ」

カッコいい、コレが武士か。

あと一人の長老は何処なんだ?

「遅れました!」

モノ、セノ、ラムダが何か黒い塊を担いで走ってきた。後ろには真紅の髪をなびかせた美女。風貌でいえばロックバンドのような恰好で、耳にはダイアモンドのイヤリング。こいつはまさか…

「お初にお目にかかります、アッシュ=ダイアモンド様。アタシ…ワタクシ主神コーレイアの"宝石"の一人、ガーネットと申します。」

やっぱりか。ガーネット、というとこの式典の招待状に長老達と連名で載ってた名だな…

「おまえもこの長老たちの仲間なのか?」

「違います。ですが少し借りを作っていたのでその返報に名前を貸しました」

コーラルの部下である"宝石"達はシルヴァー王国の歴史で度々登場する。今でも影響力を持っており、老いた貴族や勤勉な者達の中にはその存在を知っている者もいる。

「このクーデターに関与している訳ではないんだな?」

「はい、無論です。ですが私の名が使われているということは私の責任、いかなる処罰も受け入れます」

「処罰はいい、どう考えてもこの長老ジジイどもが悪いからな。むしろ最後の一人を仕留めてくれてありがとう」

「勿体なきお言葉。流石は金剛ダイアを受け継ぐ者」

なんかその呼び名恥ずかしいんだよな。

それにしても…

「こいつ、力が抜けないけどどういうこと?魔法は解除されてるだろ?」

この勇者、長老を殺した後もずっと抵抗している。

「ずっと抑えてたから気になってたけど、そうなの?私に見せて」

キャンディスが来て、解析し始めた。そして顔を青ざめさせて突然叫んだ。

「全員散開しろ!」

確かにヤバイ気配を感じたので皆瞬時に散開し、警戒モードに入った。

俺だけが広場の中心で勇者を抑えつけていたが、どんどん力が強くなっている。そして勇者は地面に魔法を放ち、隙間を作って拘束を振りほどいた。

「条件発動の魔法か、面倒くせぇ真似しやがる」

どうやら長老は自分の死をトリガーにした魔法を忍ばせていたらしい。

術式名は魔法陣の構造や相手の様子をみると、暴走させる効果があるみたいだ。

とんでもない量の魔法を後先考えず撃ってくる。それにあの体、放って置くと膨大な魔力の暴走に肉体が耐えられず死んでしまいそうだ。

もし死んだら…その魔力は解き放たれ、爆発する。そうなればおそらくもっと人死にがでる。魔法を解除する術は見つからない。

「どうする…?」

全力で打開策を考える俺。こうしている内にも味方が倒れていく。

『手伝ってあげようか?』

逼迫した状況の中、突然天から声が降ってきた。

そうだ、俺には師匠がいる。付けていたダイアモンドの耳飾りが煌めいていた。

「頼む!」

「アッシュ、何言ってるんだ?アレは流石に僕でも…」

空気を読まないベルはさておき、空中に扉が現れた。

開いたところから出てくるのは、白銀髪の美少女とも形容できるエルフ。

「コーレイア…様?」

ガーネットは驚いた。

どんなに困った事があってもちっとも手伝ってくれなかった自分の主が、弟子一人のために演算することの多い面倒な空間魔法まで使って駆けつけたのだ。

「これ、止めればいいの?」

「出来るならやってくれ。俺達には少し…いやかなり厳しい」

コーラルは魔法についてよく知っているようだし、なんとかしてくれるかもしれない。

「殺すのが一番簡単だけど、何か止め方にご希望は?」

「勇者を呼ぶために沢山の人が命を奪われてしまった。彼女のせいではないけれど、その命を無駄にするのは良くないと俺は思う。よって、生かして解放してくれ!」

「わかった、弟子の頼みだからね」

そう俺に微笑みかけて、コーラルは突然姿を消した。

『"盗まれた視線(アメジスト)"』

勇者も俺もどういうことか、何故消えたのか、何処へ消えたのか飲み込めないまま呆然とした。

すると、勇者の背後に突然コーラルが姿を現した。

『"凪いでいく海(サファイア)"』

コーラルは勇者の背に手をかざし、そして勇者は倒れた。

必死に何が起きているか調べたが、何もわからない。ただ勇者の暴走するエネルギーは安定し、支配・暴走の魔法効果が元から無かったかのように痕跡すら残さず消えた。

「終わったよ、安心して。きっと勇者このこも大丈夫」

慈母の如き表情。この場にいる全員が、彼女を神仏の類いだと確信した。

「あんたには敵わないな、コーラル」

ふとそんな言葉が口から零れ出た。

「ふふ、真似できそう?」

「そのうちしてやるさ」

それは久しぶりにする、師弟の会話だった。

用が済んだコーラルはガーネットと近くで監視をしていたブラックオパールを連れて帰ってしまった。

「何はともあれ、俺達の勝ちだ!」

俺たちの力ではなかったけれど、俺たちは勝鬨を上げた。

こんにちは、一介です。今回の話は面白かったですか?

この物語が好き、このキャラが好きという方は是非いいねや感想、お待ちしています。有識者や先輩ユーザーの方々もアドバイスお願いします!では、また次回お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ