三章四話 竜と封印
「そういう訳で、西の地にいる封印の魔女を倒して欲しい。」
どういう訳かは知らんが、またカナデがやってきて仕事を置いていった。
「わかった、任せろ。で、どういうやつなんだ?」
話によると、封印の魔女というのは太古の昔、封印の魔法を研究し、色々なことをしていたやつらしい。具体的にいうと傭兵だな。こう聞くと俗っぽい感じがするが、邪教徒に雇われたり、昔の聖騎士団に雇われたり、のらりくらりと中立を貫き利益を得る者らしいが、その正体は不明。複数人いると言われたり、孤高の魔法使いと言われたりしているという。
「そんな都市伝説じみた奴、捕まえられるのか?」
「ああ、西の地にいるのは明らかなんだ。なぜならあそこの辺りに文献に残る魔法陣や魔力波長を確認しているからな。理由はわからないが、西の地の資源のほとんどを封印して回っているみたいだ。私の部下も調査をしているが、先の奴隷騒動に大半の人員を割いている上に西の地にはやくざ者が多くてな。聖騎士団の調査に協力してくれる者が少ないんだ」
「その点俺達は調査がし易い立場にあるし、戦闘能力も期待できる。だから俺達に頼んだって訳か」
「そういうことだな。頼んだよ」
事の顛末は理解した。誰を派遣しようか。不安だし、俺もついていこう。教師を雇ったから屋敷を離れても大丈夫だからな。
カナデは依頼が終わると子供達と交流を始めた。交代でイザベラが菓子を持ってセノと入ってきた。
「アッシュ君。カナデったら、またなにか仕事を持ち込んできたの?」
「ああ、少し出かけることになりそうだ。」
「本当か、お兄さん!私も連れて行ってくれ!」
セノか…こいつは戦闘能力も申し分ないし、連れて行っても大丈夫そうだ。
「そうか。じゃあ荷物をまとめておけよ。あと、ミスジとヘルメスにも声をかけておけ」
「よっしゃ!わかったよお兄さん!」
元気いっぱいのセノは窓から部屋を去っていった。
「あの子は凄いね、アッシュ君。私が元奴隷だったらあそこまで元気にはなれないわ」
「まあ、育ちがいいからな」
「ふふ、自信満々ね」
「まだまだ元気になってない奴らもいるからな。もっと頑張るぞ!」
ーーーーー
魔女は森に建てた小屋のテラスで嗤っていた。
「フフフ、これで振り向いてくれるかしら…」
すると、西の地に強大な存在が入ってくるのを感じた。
「な、何これ。何このエネルギーの塊…化け物?」
さっきまでの余裕が一瞬で尽きた。
「あんな奴に暴れられたら…不味いわね。止めなければ」
『封印魔法:全力発動!』
その結果とは…
ーーーーー
旅人の格好をして西の地に向かっているが、何か視線を感じるな。
今日のメンバーは、セノ、ヘルメス、ミスジ。そして…
「凄いわ、こんな旅初めてよ。アッシュ君!」
イザベラである。実は…昨日の会話の後。
『西に出かけるのね。あそこはいい服がたくさん売ってるのよ』
『へえ、そうなのか。行ったら少し見てみるか』
『…………』
『……一緒に行くか?』
『あら、誘ってくれるの?仕事もほとんど引き継いだし、暇だったのよ。是非一緒に行かせて、アッシュ君』
ということがあったのだ。
「ふん、まぁ俺達は旅っていうジャンルにおいちゃプロだからな。」
「頼もしいわね」
「もう少しでウェスト・シルヴァーにつきますぜ」
名前にウェストとつくくらいだから、西部劇のようなところなのかと思ったが、そんなこともなさそうだ。原っぱが広がるのどかな場所だった。
「おかしいわね、封印の魔女の魔法でこの辺も砂漠みたいになっていたはずなんだけど」
「え?でも、牧場でも作れそうな土地だけど…」
その刹那。上空からこちらに向かってすごいスピードで魔法が飛んできた。
「危ない!お前らどけ!」
咄嗟に前に出てしまったが、なんかこれ…防げない。
意識が保てない。これは…人間の姿になったときみたいな感じだ…
ーーーーー
目を覚ますと、見覚えのあるテントの中だった。
「目は覚めた?貴女、名前は分かる?」
イザベラがそう微笑んできた。どういうことだ?
「ん?何だ急に?イザベラ、無事で良かったな」
「………え?」
「なんでそんな顔してるんだ?」
「もしかして、アッシュ君?」
「そうだけど…何かおかしいことでも?」
「ミスジ!鏡持ってきなさい!」
ミスジが外から鏡を持って慌てて入ってきた。
「どうしたんだ、イザベラ様?」
「この子、アッシュ君よ」
「えええええええ!?」
何の話だ?っていうか、俺の手ってこんなに華奢だったっけ?
「旦那。これ、見て下さいよ」
鏡に映っていたのは…俺と同じの黒髪を背まで伸ばした少女だった。
「これが…俺?」
「おいおい、アッシュのダンナ、すげえ姿だな。ハハハ!こりゃ傑作だ!あんなバケモノと渡り合うようなやつが…今は蚊も殺せなさそうな感じになってるぜ」
悔しいが、身体の魔力反応が低くなっている。原因はおそらく…
「封印の魔女の仕業か?」
「そうっぽいわね…」
「お兄さん、可愛い〜!」
セノにそういわれた。嬉しいんだか嬉しくないんだか、複雑な気分だ。
「とりあえず、この魔法を解除出来るか?」
「無理そうよ。だってこの魔法、とんでもなく難しい術式で発動してるもの」
ふむ…まあそう一筋縄でいく話ではないだろうな。
「ヘルメス、お前は屋敷に戻って報告をしてきてくれ」
「わかったぜ、お嬢様…ブフッ」
こいつ、あとでシメてやる。
「俺達は最寄りの町までいくぞ、聞き込みくらいなら出来るだろう」
しかし、この選択がちょっとした後悔を呼ぶのを俺はまだ知らない…
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