三章二話 竜のお仕事
「ええ!結婚したのか!?好きな俳優だったのに…」
「元から熱愛疑惑はあったから不思議ではなかったけどね」
カナデに俺が異世界転生であることを伝えて、色々と話している内に話が逸れていた。
「そうだ、仕事の依頼をしに来たんだった。で、奴隷解放の仕事、受けてくれるか?」
「まあいいよ、俺達に任せとけ」
「ありがとう、騎士団では手が回らなくてな。助かるよ」
そういうと、もうひとしきり前の世界の話をしてから帰っていった。
「モノ、ヘルメスを呼んできてくれ」
「かしこまりました!」
しばらくするとヘルメスが入ってきた。
「俺様に何の用だ?」
事の顛末を伝えて、調査を依頼するとヘルメスはすぐ了承した。
「わかったぜ、俺様に任せとけばチョチョイのチョイよ!」
「油断するなよ、結構な規模の組織が絡んでそうだ。」
ヘルメスは準備をすると、すぐに出ていった。
ちなみにヘルメスは引っ越しの時に正式に国の役人として雇った。
他の奴らも雇ったので、給料が税から出る。子供たちには俺がお小遣いを出している。俺の収入は税収と、たまに来る魔物討伐の報酬だ。
それらはほとんど趣味とお小遣いに溶けていくのであまり貯金はない。
なのでこうやって、国から来る仕事を受けて更に収入を増やそうという訳だ。
そうは言っても政治などに関する勉強が足りなさ過ぎる。毎日イザベラに教えてもらってはいるものの難しいな。
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着替えて外に出ると、セノが待っていた。
「お兄さん、早速お願いします!」
結界を張ると、セノは武器を構えた。
得物は…銃だ。
俺が魔法を駆使して擬似的に作ったものだが、それを見つけたセノが一目惚れして使い始めたのだ。
魔力で弾を生成して使う方式で、形は短機関銃を模している。
名前は安直に魔法式短機関銃だ。セノは二丁持ちで扱う。反動制御も魔法で正確に行うため、そこらの兵器よりも断然強いのだ。しかもこの武器、弾の生成術式を変えて色々な種類の弾を撃ち出せるから汎用性が高い。これをイザベラに見せたら、
「こんな危険なもの作って、絶対に作り方を教えたり売ったりしちゃだめだからね?」
と咎められた。それは確かにそうだ。前の世界でも銃が本格的に登場した戦争では人死にが桁違いに増えたんだっけ。
ちなみに威力でいえば、竜である俺でも魔法なしでは防げない。何なら魔法ありでもダメージを負うことがあるくらいだ。
我ながらヤバい物を作ってしまったな。
「おりゃぁ!!!」
セノは容赦なく乱射する。これ、割とエネルギーを使うから普通の人ならそんなに連続で撃つことはできないのだが、セノはエネルギーの総量がデカいのでそんなことはお構いなしだ。
「よく狙えよ、正確に落ち着いて撃てば当たるぞ」
「はい!」
いろんな方向から撃ってくるが、俺には届かない。俺の技術を高めるために、なるべく避けるようにしている。オロコに教わった歩法で回避すると、隙ができにくい。
「痛っ…」
「やったぁ!当たったぞ!」
「じゃあ今日は終わり。俺と敵以外には撃つなよ」
「わかったよ!お兄さん、ありがとう!」
結界から出ると、子供たちが並んでいた。
「「「………」」」
「わかった!順番な!」
今日はこれだけで一日終わってしまいそうだ。次からはオロコに任せよう…
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次の日。昼に牛丼を作ってみんなで食べていると、ヘルメスが帰ってきた。
「終わったぜ、アッシュの旦那」
「仕事が早いな、牛丼でも食えよ。話はそれからにしよう」
「俺様の気持ちがわかってるな、ありがとよ。いただくぜ!」
つゆだくの牛丼を食うだけで懐かしく、涙が出そうな気分だ。
マジで美味い。
昼飯が終わると、ヘルメスは報告を始めた。
「色んなところで聞き込みをしてきたが、王都の地下の八ヶ所に奴隷市場があることがわかったぜ。都中見てきたけど、王都郊外にも奴隷を集める施設があって、複数の裏社会の組織が主導してるみたいだな。借金のカタに家族を引き渡すヤツとかがいるからか順調に儲かってる様子だったぜ」
必要な情報をリストアップして、文字起こし、地図起こしした物を渡しながらそう教えてくれた。
「御手柄じゃないか。ご苦労さん」
「言ったろ?俺様にかかりゃあ楽勝立ってなァ!」
「はいはい、報酬は部屋に置いておいたぞ」
「よっしゃ、ガキ共ついてきな!俺様が美味い菓子をやるからよ!」
コイツは意外と面倒見が良い。しかし甘やかし過ぎるのが玉にキズだ。
「モノ、俺は散歩してくるわ」
「はい、わかりました。行ってらっしゃいませ」
外に出るとすぐにあるのは建設中の店だ。実はベルが店をやると言ってミスジと一緒に建て始めたのだ。なんでも飲食店をやるそうで息巻いている。
「やぁアッシュ。工事は順調に進んでるよ。設計師を呼んできてくれてありがとう!」
「ほら、弁当だ。今日は昼食ってないだろ?」
「うわぁ、牛丼じゃないか!懐かしいなあ。初めて食べた時は飛び上がりそうになったっけ」
喜んでくれて何よりだ。ベルの笑顔はいつも無邪気だからか、女神には見えない。この元気な雰囲気なら、店を開いても繁盛するだろう。
アメリは王都の大学に通わせてもらえるようになったし、みんな充実した暮らしが出来ているようで俺も嬉しい限りだな。
さて、俺も仕事に行くか。奴隷市場の様子を見に行くとしよう。
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