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二章十八話 新たなる同乗者

女は昔の記憶を思い出していた。

そこは宮殿だった。

「おい、――――。こちらへ来い」

「竜帝様、なんの御用でしょうか」

「お前はやりたいこととかないのか?まあここで俺に仕えている内に何か見つかると思うけどな」

「いえ、妾にしたいことなど…恐れ多いです」

彼女は竜帝に忠誠を誓っていた。

「堅いなぁ、おい。しかし――――よ、なにか自分の信念や夢を持っておかなければいつか狂ってしまうぞ。生きとし生けるものは全て、なにか目的をもって生まれてきているのだからな」

「は、はあ…」

「予言しよう。俺は次の戦いで息絶えることとなるだろう、お前は次代の竜帝を育ててやれ」

「そんな!縁起でもない、私は竜帝に忠誠を誓ったのではなく、()()()に忠誠を捧げているのですよ!?」

「お前や他の臣下たちを俺の戦いの犠牲にするのは俺の本意ではないのだ。わかってくれ」

「しかし、妾は…」

「おそらくあの宝神と協力したとしても、死は免れられぬだろうよ」

そして魔神との戦争が始まり…予言通り竜帝は魔神とともに戦死した。

世界の安寧は守られたものの、彼女は失意の底に洞窟に籠もってしまった。

しかし…いま目の前にいる男の魂には。

「おい、聞いてるのか?」

かつて竜帝に見た輝きを垣間見たのだ。

「ああ、妾はやはり竜帝というものに魅せられているのじゃな…」

「…?何言ってんだ?」

「わかった。連れて行ってくれ、妾もその一行に参加しよう」

「え?あ、はい。よろしく」

何だかボーッとしたと思ったら同意を示した。既に小咲さんには許可をとってあるので皆に紹介することにした。

「そういう訳で新しい仲間の…」

「妾は自分の名前を忘れてしもうた。どうとでも呼ぶがいい」

「ずいぶんボケて…」

「あ?」

「いや、なんでもない。じゃあ新しい名前を考えてやるよ」

やっぱりモチーフは蛇だろ?こいつは瞳がすごくきれいだしな…

「よし決めた!お前は今日から蛇ノ目オロコな、拒否権はあるぞ!」

「ほう…?いいではないか。では妾は今日から蛇ノ目オロコを名乗ろう。では皆、よろしく頼む」

気に入ってくれてなによりだな。俺のネーミングセンスも成長しているようだな。

「こいつ、危なくないよな!アッシュ!」

「嫌な気配は感じねえし、俺は構いませんよ。ダンナ、いい仲間を連れてきましたね!」

「宜しくお願いします、オロコ様」

賑やかな宴の中、俺達旅の一行はオロコを加えて五人となった。

そして次の日。

「先日はどうもありがとうございました。何かお礼をさせていただけませんか?」

出発の準備をしていると、小咲さんが来てそう言った。

「うーん、そうだな…財宝とかお金はなんか怖いからやめてね?」

「そうですか…ではこちらはどうでしょうか?」

そう言って小咲さんは部下に樽を四つ、俵を四つ持ってこさせた

「この二つには醤油が、この二つには味噌が入っています。先の食事会で大変気に入っているように見受けられたので用意しました!後こっちは米です。異次元の収納を持っていると聞いたので、いかがですか?」

女神だ、この人。どっかの水神より女神してるわ。

「ありがとう、貰っていくよ。こんなにいいのか?」

「勿論です!」

「アッシュの兄貴、ありがとうございました!」

龍巳が走ってきてそう言ったので俺は小声で

「お前、色々と頑張れよ」

といった。

「はい、兄貴も達者で」

竜人達に見送られて、俺達は隠れ里を後にした。


ーーーー


「ウーノ!」

人も増えたので馬車の荷物は全て俺の空間収納にしまい、テーブルを置いた。今は俺が前世のカードゲームを再現して、それをやっている。

「もう!あと一枚だったのになんでまた八枚も増えるのさ!」

ベルは勝つと調子に乗るので皆に妨害されるのだ。

「ウーノ。ふむ、今回はアガれそうじゃ」

「俺もウーノ!」

「全然手札が減りません…誰か色を変えてくださいよ」

何気ないこんなひとときに何故か貴重さを感じる。そんな雰囲気を噛み締めていると

「ダンナ、なんか人が倒れてますよ。見た感じ、意識がなさそうだ」

ここは一応道として開拓されているから旅人が通る。人が倒れているとしたら急病人か乞食か…

「ミスジ、馬車を止めろ」

近くに寄って様子を見ていると…

「腹が…減ったァ…」

「う、飢えてるのですか?この人…?」

とりあえず味噌とおにぎりをお湯でといて食わせた。一口口に入れるといきなり起き上がってあげたお椀にがっついた。そうして全部食べてしまうと、

「ぷはーっ、助かったァ!飢えて死ぬところだったぜ!」

「何でキミはそんなところで飢えてたんだい?」

それもそうだな。強盗にでも遭ったのだろうか。

「あァ、紹介が遅れたな。俺様はヘルメス=アルセーヌ。天下の大怪盗さ!」

「へえ、じゃあ捕まえるか」

「おい待て待て!俺様はもう怪盗稼業からは足を洗ったんだよ。それで働き口もないから冒険者として各地の依頼をこなして回ってたんだがな、つい食料を買い忘れちまってここで限界を迎えてたんだ」

なるほど、馬鹿なのか。

「妾はこんな愚か者は初めてみたぞ。こやつ、どうするんじゃ?」

「おほっ!いい女だな!てかアンタ、こんなに女を連れて何をしてるんだ?隅に置けないね」

「いちいち要らんことを言うやつだな、お前これからどうするつもりだ?」

と一応聞いてみた。

「そうだな…こんなザマだし俺様には冒険者は向いてないのかもな。そこでお願いなんだが。俺様を仲間に入れてくれないか?雑用でも何でもするからさ!」

「……断る」

当たり前だ。こんな犯罪者予備軍を仲間にしていたらどんな面倒に合うかわからない。

「頼むよ!俺様は職業柄色々できるんだぜ?掃除、聞き込み、交渉、変装、後は…詐欺、スリ、強盗とかな!」

なんか余計に不穏なワードを引き出してしまった。掃除すら犯罪関係に聞こえるほど心配な奴だな。

「お前ら、どうする?」

「僕は反対だね、アッシュ。怪しすぎるよ!」

「妾が見張っておく、勝手にするが良い」

「ダンナ、コイツ胡散臭いですよ。まあ俺はダンナに従いますけどね」

「確かに怪しいですが、助けてしまったが運の尽き。ここで見捨てるのも可哀想な気がします」

どうしたものか。可哀想なことも可哀想だが、余りにも信用に値する材料がなさすぎる。

「じゃあ、仮の。仮の仲間な。ついてきたいなら役に立つと証明してみな」

「やったぜ!よろしくなあ」

実際変なやつではあるが、不安な感じはしない。とりあえずお試しで仲間ということにしてやろう。

こんにちは、一介です。今回の話は面白かったですか?

この物語が好き、このキャラが好きという方は是非いいねや感想、お待ちしています。有識者や先輩ユーザーの方々もアドバイスお願いします!では、また次回お会いしましょう。

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