二章十七話 臣従大蛇
「…………」
大蛇の飼い主を捕まえ、皆を待っている間にこいつを尋問にかけることにした。
「おい、質問していいか?」
「じゃあこの縄をほどけ」
「えぇ…やだよ」
負けたというのに横柄な言い方だな。
「というか、無言で妾で色々と縛り方を変えて遊ぶのはやめよ!ほらァ!それ痛いから!」
縄で人を縛ったことなどあまりないから色々な方法で緊縛していたのだ。縄の結び方や結ぶ位置を変えると体勢がかわったり縄で模様が出るのが面白い。あとエロい。
「こっちを緩めればいい?」
「そういう問題ではないわ」
「じゃあどう…」
「ほどけっつってんじゃろ!?わからんか童ァ!」
そのツッコミはとても迫力があるな、殺意がこもってるみたいで…
「じゃあ質問の答え次第でほどいてあげるよ。だから、ね?」
めちゃくちゃこっちを睨んでるが、相手の返答はいかに。
「わかった、訊くがよい」
怒りが籠もってるな。まあいい、質問するか。
「じゃあ始めまーす。お前ってなんでこんな所にいるの?」
「妾は昔、竜帝に忠誠を誓っておった。彼は天地を揺るがすほどの力をもっていた…じゃがその竜帝は先の魔神戦争で邪悪なる神を相手して不覚をとり、命を散らしてしまわれたのじゃ。妾は戦争の後失意のうちにこの洞窟に引きこもり、長い年月が経った…」
「つまり、この里ができる前にここにいたってわけか?」
「そうじゃ。この隠れ里が周りから認識されにくいのは目立ちたくなかった妾の幻術によるものじゃからな」
へえ、里の奴らが張ったのかと思っていたが、そうだったのか。
「ところで童、名をなんと言うんじゃ?」
「俺はアッシュ=ダイアモンドだ」
「ダイアモンドじゃと!?」
何故か凄く驚かれた。なんとなく既視感があるが、俺の師匠はやはり有名な人なんだろうか。
「かの宝神に気に入られるとは…お主も数奇な運命を歩んでおるのう。人間か?」
あまり言いたくなかったが、情報をこっちから与えても大きなリターンが返ってきそうだ。
「いや、違う。特別に教えるけど俺はドラゴンだ」
「竜!?まさかお主は、竜の神子…?」
神子…俺が?ベルと同列なのか。
「何故嫌そうな顔をしておる?」
「俺って神子なの?」
「コーラル殿は教えてくれなんだか…そうじゃ。竜の神子というのは、神の卵。つまり、お主は次代の竜神候補じゃ」
ん?ということは…
「ベルってまだ神じゃねーのか!?」
「ベル?あぁ、水神ヴェールのことか。彼の者は面識はないが、転生を繰り返しておるからな。大方魔神戦争で弱って転生したのじゃろう」
なるほど、死んで神の座を退いたものもいればそうでない者もいるということか。
「話を戻すぞ。妾が昔臣従しておった竜帝は竜の神子じゃった。神子というのは、元になった種族の特性に付随して、先天的に神の如き力を持つ者のことじゃ。その種族にちなんで犬の神子と呼ばれたり竜の神子と呼ばれたりしておる」
「お前は神子じゃないのか?蛇の神子とか…」
「妾をただの蛇扱いするとは失敬な。妾も竜の一種じゃ、そして竜の神子は複数生まれぬ。これでわかったか?」
この口ぶりだと他の神子は複数生まれることがあるようだな。すると、入口のほうで声がする
「ただいま参りました!大丈夫ですか!?」
姫、もとい小咲さんのようだ。
「来たようだな、後でまた話を聞くから今は取り敢えずいくぞ」
俺は女を担いで洞窟の外へ歩き出した。
「あの、アッシュ殿」
「ん?なんですか?」
「龍巳は…本当にヤツを討ったのです?」
信じられないといった様子だな。咄嗟に龍巳に掛けた強化魔法が思ったより効果的だったのが勝因だろうけど、それは言わぬが花かな
「はい。少し手を貸しましたが、間違いなく彼の手で大蛇は討たれていますよ」
「……やるじゃん、あいつ」
「む?」
「いや!なんでもないです!」
小咲さんは急に顔が紅潮した。まさか…龍巳のやつ、ワンチャンスあるのか!?
城に戻って来ると、龍巳が男たちにかこまれていた。どうやら称賛されているようだな。自分の力だけで帰ってこれた訳ではないということを龍巳は誰よりも理解していた。だから絶妙な顔をしてその称賛を聞いているようだ。修行してその称賛に見合う男になってほしいものだ。
俺?俺は…強いからオッケーってやつだな!
その夜は里を上げての宴が開かれた。
「君はすごいな、アッシュ。どこに出しても恥ずかしくないどころかなんでも解決だなれ」
ベル…お前はいつ俺の保護者みたいになったんだ?
「流石ですね、アッシュ様。あの女の縛り方はともかく、あのような強者を捕まえるのも簡単にこなしてしまわれるそのお手際に感嘆致しました」
少しエロい縛り方をしたのをなじられたが、大体褒められているようだな。
「ダンナ、あの女は城の地下牢に閉じ込めてあるそうです」
あいつはこの先どうなるのだろう?まあ本人に相談してみるか。小咲さんはどっちでも構わないといった雰囲気だったし、悪いやつではなかったし仲間にして連れて行ってしまったほうがこの里にはいいかもしれないな。
「俺はあの女と話してくるから」
「何か気になることでも?」
「なんか俺にゆかりがありそうだから情報を聞き出す」
「なるほど…縁がありそうってなんですか?」
「まあともかく行ってくる」
「わかりました、じゃあ困ったら俺達を呼んでください」
ミスジは妙に賢くなったよな。
地下牢に行くと、そこに女が座っていた。
「お前、これからどうするんだ?」
「勿論機を見て逃げるだけじゃ」
こいつ、当然といった表情で言いやがる
「その後はどうするんだ?」
「ええと、その…」
「決まってないんだな?」
「ふむ…そうじゃな」
こんなやつを放置したら何かどこかで問題が起きそうだ。
「じゃあ、俺達と来るか?」
「お主らと…?」
「ああ。どうせやることもないなら俺達に付き合ってくれよ。お前は強いし役に立ちそうだ、それにそのうちやりたいことも見つかると思うぞ」
女の表情が変わった。
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