二章一三話 思わぬ再会
馬車はカタカタと音を立てながら軽快に進む。
今俺達は王都への道のりの途中にあるグエルという町に向かっていた。どうやらここらで信仰されているシルヴァー教の聖地らしい。道の所々には祈祷用の神像が設置されていた。
この神像をみると、懐かしい感じがする。どこかで見たような…
「あ!コーラルじゃねぇか!」
あースッキリした。これがアハ体験…違うか。
「ア、アッシュ様!?神像への侮辱はご法度です!聖騎士に見つかれば成敗されてしまいますよ!」
新しく仲間になったアメリがそう警告した。
「そうなのか、忠告ナイスな」
「はい」
なんか顔を赤らめたな、なんか俺おかしいこといったのか?
神像の近くは魔物が寄らないとのことなので休憩していると、神像の耳にピアス穴を見つけた。周りに人もいなかったからコーラルにもらったピアスを外して神像につけてみた。
その時、辺りが光に包まれた。
「ダンナ!?なにしてるんですか!?」
「これは、強力な神聖力…?」
「なんだか感じたことのある気配だね」
すると頭に直接語りかけるように思念が伝わってきた。
『誰かな、この魔法を起動したのは?』
伝わってきた声色はコーラルにそっくり、というかコーラルだった。
「もしもしー、聞こえますかー?アッシュ=ダイアモンドです」
『もしもしだって?その独特な通話の掛け声はもしかしてアッシュ?』
「よくわかったな。久し振り、コーラル」
『元気にしてる?』
そのまま色々と話をしていると
「ストーップ!アッシュ様、誰とお話しているんですか?!」
「信じられないかもしれないが、俺の師匠と話しているんだ」
「もしかしてコーレイアかい?今のは。君はアイツの弟子だったのか、通りで変なやつなんだな…」
失礼なやつだな。
事の詳細を、俺が転生者であることなどは濁して三人に説明した。ベルは面識があるようで、他の二人に説明してる間楽しそうにコーラルと喋っていた。
話が終わるとアメリは
「もっと積もる話もあるでしょう?私達はあっちで待っておきますね」
といって離れていった。
「コーラル、そっちはどうだ」
『毎日サファイアに怒られっ放しだよ』
「ハハ、元気そうで何よりだ」
『次は何処にいくんだい?』
「王都を見に行くんだ。」
『面白いよ、あそこは』
その後も少しやり取りすると
『じゃ、そろそろ掃除してくるよ。サファイアに叱られちゃうからね』
「じゃあな」
『あ、そうだ。少し東に逸れると良いかもね』
む?なんか天啓みたいなものを寄越してきやがった
「それってどういう…」
『またね』
「おい!」
声は聞こえなくなった。ピアスを回収して皆の所に戻ると、もう準備は済んでいた。
「もう休憩はいいのか?」
「はい、アッシュ様。出発できますよ」
「…ミスジ、少しルートを変えよう。東にそれたルートをとるぞ」
ミスジに地図を見せながらそう頼んだ。
「え?はい、わかりました」
しばらく進んでいくと小さな森に入った。何かあるならここだと思うがな…
「アッシュ、なんかそこにいるぞ」
「ダンナ、あれは…?」
そこにあったのは、黒焦げて横たわる何か。まさか、人間…?
「これって、人間ですか?アッシュ様」
近づいてみると、コヒューと音を立てて息をしているのがわかった。
「こいつ、生きてるぞ!?」
とりあえず助けねば。いろんな種類の魔法を掛けて治そうとした。一瞬治るのだが、一瞬で焼けて壊死してしまう。四肢も無く、今にも死にそうだ。どうする…?考えろ!今持ってる魔法では治せなかった。では今創ってしまえば…?
「ベル、アメリ。こいつを全力で延命しろ。なんとかするから」
「わかった。でも、持っても一時間が限界だぞ、アッシュ」
「お、お任せ下さい。なんとか保たせます!」
人を救う為に、今創るのだ。自己流魔法を。
基本魔法陣構築、魔法創作開始。
………
紡がれていく魔法陣。その技術は師匠直伝だが、その方式はアッシュが研究の末編み出した最適化された魔力回路。
基本一つの魔法陣には一つしか入らない魔法を立体的に組み合わせることによって複数組み込むことに成功していた。この技術はこの世界を震撼させるほどの魔法革命なのだが、彼はまだそのことを知らない。
………
不具合除去完了。
あらゆる呪いや病を解析し治すことができる領域型の魔法。
集中治療領域
それが彼の、最初の自己流魔法だった。
「アッシュ様!もうヤバいです!もう死にます!!」
「よくやった、後は任せろ」
「集中治療領域ッ!」
人らしきボロボロの何かは黒い膜に包まれて消えた。
「消えたぞ、アッシュ」
「どこに行ったんですかい?ダンナ」
「アレは安全な所に転送したよ」
そして俺はイヤリングを外して魔力を込めた。
『コーラル、聞こえるか?』
『おやおや。アッシュじゃないか、聞こえてるよ。どうやってこの秘匿回線に繋いだんだい?』
『それは頑張った。で、本題に入るが構わないか?』
『うん、言ってご覧?』
『そっちに瀕死の人間を処置して送ったんだ。後の色々を頼めるか?』
『わかった。どうせ暇だし世話してあげるよ』
『ありがとう、助かるよ。じゃ、またな』
これでなんとかなった。予期していたのか、快く承知してくれた。よかった…
「これで一件落着。さ、行くか」
「なんか色々納得できないけど、わかったよ」
俺達は旅を再開した。明日にはグエルに着くだろう。
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