二章八話 竜と娯楽の町
「姉さん、あっしと一杯どうですか?」
「ふふ、駄目よ。もっと若い子と遊んで来なさい」
屈強な男を軽くあしらったその女性は水晶を片手で撫でながら酒を飲んでいた。その紫の瞳は、何を見通しているのだろうか。
ついに見えてきた次の町は大きな壁に囲まれていた。この構造は何故か人を外に出さないようなつくりになっており、巡回する兵が見えた。
「なんだか物々しいつくりの町だね、アッシュ」
「そうだな、ここは立地上平和そうだしなんでこんなに警備が厳重なんだ?」
「門につきましたぜ、旦那」
とりあえず町に入ると、街の中は歓楽街のような雰囲気で比較的賑やかだ。酒場や賭場が数多くならんでいる。
安全な宿をミスジが見つけたからそこに泊まることにした。
「一泊銀貨一枚と銅貨五枚です」
少し高いか?するとミスジが睨みながら
「俺達から余計に金を取るのか?」
と威圧した。すると萎縮したのか店員は
「滅相もない!銅貨九、いや八枚で構いません!」
安い宿なら一泊銅貨五枚だが、ここは犯罪率が高いからか安全な宿は割高に設定されていた。
「ちょっと周りを散策してくるから、部屋で待っとけよ」
ミスジにベルの護衛を頼んで、街に出てみた。
歓楽街の一角に、女皇の箱庭という酒場があった。いい雰囲気だったので入ってみることにした。
「いらっしゃいませ」
内装はきらびやかで、前の世界のキャバクラ?みたいなイメージだった。お酒を一杯たのんで、カウンターに座った。周りの席では、やはりキャバ嬢のような女の人たちが男の相手をしていた。
「あれ、お客様。その耳飾りは…?」
とバーテンダーが聞いたのははコーラルから貰ったイヤリングだった。
「これは、師匠に貰ったやつだ。中々お洒落だろ?」
「そうではなくてですね、ええと…」
何気なくつけていたが、なにか珍しいものなのか?
「その師匠の名前をお伺いしても?」
「俺の前ではコーラルと名乗ってたな。知り合いかなんかなのか?」
「お客様、こちらへお願いします」
そう言ってバーテンダーは店の奥に俺を誘導した。
そこにいたのは綺麗な女性だった。黒髪に紫の瞳、長身でお姉さんといった雰囲気だ。
「ええと、こんばんは?」
「こんばんは、坊や。名前を聞かせてくれるかい?」
「アッシュ=ダイアモンドだ。何か用か?」
「ダイアモンド、ね。あんたが例の弟子か、アッシュ君。コーラル様は元気にしていたかい?」
「何で俺がコーラルの弟子だって知ってるんだ?」
「私がコーラル様の下僕だからだよ。で、コーラル様は元気にしてたのかい?」
「あ、はい。もうそりゃあ超元気だよ」
「適当な答えだね、まあいい。時にアッシュ。この町から出る方法を知ってるかい?」
出る方法?
「そんなの、門から出るだけだろ。流石に迷子なんて…」
「違うわ!この町のから出るには税が必要なんだよ、わかる?」
「へええ」
「知らなかったのか…困ったもんだね。ひとり金貨十枚だよ、払えるかい?」
十枚!?それって…今の所持金の二十倍以上だぞ?
「うーむ、無理!」
「………ハァ」
ため息をつかれてしまった。はて、どうしたものかな…
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