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二章六話 竜の蹂躙劇

蛮族の拠点は山の中である。今日は比較的賑やかであった。

「今回の襲撃は豊作だったな」

「へへ、夜が楽しみだぜ」

宴の準備をする者たちを見ながら見張りの男達は話していた。

「おい見ろ、何か飛んで…」

振り向いた男は戦慄した。話しかけてきた男は首がとんでいたのだ。山の縁に置いていた人質はいなくなっていた。 

門の前には剣を持った男が一人。

「て、敵襲だぁぁ!」

角笛を鳴らすと、中から兵が出てきた。

「なんだお前、一人で何しに来やがった?まあいい、殺された奴もいるし、捕まえてけじめつけさせろ」

「けじめ、ね。お前らは人間を何人殺した?俺はお前らを皆殺しにしに来たんだよ」

「こいつ、一人できて何言ってやが…」

消し飛んだ。

「反省してくれなくていいんだ。お前らは俺の大事な仲間を傷つけたけど、今から死んでもらうからな」

「テメエ!やりやがったな?お前ら、かかれ!」

そして飛びかかった戦士は、またも跡形もなくなった。そして、赤くおぞましい雨が降った。

「わかったよコーラル。俺は、竜だ。欲望のままなんだよ。

世界というものはこんなにも残酷で、人間はこんなにもあっけなく死ぬ、こんなにも脆弱な存在なのに」

蛮族の精鋭戦士は顔を青ざめさせた。

「殺したくて仕方ないんだ。これが逆鱗か。すごいよお前ら、こんな気分は初めてだ」

殺意とともに放たれた干渉波が人間に触れた瞬間、断末魔をあげて爆散する。

やがて姿を現したのは一柱(ひとり)の竜だった。

魔法陣が展開され大きなエネルギーの奔流が山へ放たれた。

山に拠点を構えていた蛮族の一団は山ごと消滅し、辞世の句を言うことすら許されず生命を奪われた。逃げることは許されない。蛮族達は既に結界の中に囚われ殺されるのを待つことしかできなかった。

恐慌状態に陥った者は人間を追尾するように襲う火球によって焼滅させられ、竜に立ち向かうものはその圧倒的な暴威によって八つ裂きにされた。

まさに地獄。審判を待つことしか許されぬ罪人たちは、泣き叫ぶ。

そして、静かになった。人型に戻ると、アッシュは辺りを見回した。すると、小さな女の子がやってきた。

「おにいさんが、みんなをころしたの?どうして?」

「………なんだよ、それ」

後ろで馬を駆るおとがした。

「アッシュ……」

やってきたのは、ベルと先の女騎士だった。

「ベル、俺はどうすればいい」

「キミは罪を犯したと思っているのかい?」

「そうだな」

「じゃあ僕が許そう」

「どういうことだ?」

「忘れてるかもしれないけど、僕は神なんだぞ?キミは僕を救ってくれたんだ。それにここの奴らを放って置けば、キミが奪ったものより多くの命が失われただろう、それを鑑みればキミは放免に値するよ」

「だが…」

「うるさい!帰るぞ。早くメシを作れ、腹が減ったぞ。」

「ふっ。なんだよ、それ」

「笑うなよ!いや、元気づけようとしたからそれで正解だけど…」

「わかったよ、俺はその審判を受け入れる。この力は、もっと考えて使うと誓おう。俺の思うままにな」

「それで構わないよ、くれぐれも人類を滅ぼすような真似はよしてくれ」

「町に戻るか」

「勿論!」

「待て!」

「「え?」」

俺達を止めたのは、女騎士だった。

「その前に、話を聞かせてもらおうか」

取り調べか。色々と暴露してしまったから、根掘り葉堀り尋問されるにちがいない。

「えーと、めんどいからパスでー!」

ベルを担いで空を走って逃げた。

「速すぎる…」

女騎士のその言葉だけがそこに残った。

こんにちは、一介です。今話はいかがでしたか?

次の話に続きます。不定期ですが、次も是非読んでみて下さい

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