スマホくん、埋められる。
次の朝、お姉さんの姉一家がやって来た。小学生の甥っ子さん二人が可愛い豆柴を連れていた。
「お姉ちゃん久しぶり~」
「千秋少し瘦せたんじゃない?」
姉妹二人は再開を喜び合い、近況を報告しあった。
庭では二人の甥っ子さんがワイワイ騒ぎながら、豆柴のゴンと遊んでいた。
スマホくんは、お姉さんのカバンに入れられていたが、カバンからソーっと抜け出し、外の状況を確認しようとした。
窓が開いていたので、スルリと地面に降り立った。するとゴンがスマホくんの前に立ちはだかり、いきなりスマホくんをくわえた。
スマホくんはびっくりしたが、なにも抵抗できず、ゴンにくわえられたままだった。
ゴンは地面に穴を掘り、その穴にスマホくんを落として土をかけた。そのままゴンは何食わぬ顔をして、その場から去っていった。
地面に埋められたスマホくんは、手足をバタつかせながら、土を掻き揚げた。
やっとこさの思いで、地上に出ると、フラフラしながら、家に戻ろうとした。そこに雨が降ってきた。スマホくんの体は防水タイプだったのいで、大丈夫だったが、それよりもなによりも充電が切れかかっていた。
そこへ男の子が立ちはだかったので、スマホくんは急いで手足を絞まった。
「アレッ、これ叔母ちゃんのスマホじゃないか?」
男の子はスマホくんを拾い上げた。
「叔母ちゃーん、スマホが落ちてたよー」
「あらまぁ、泥んこじゃないの」
お姉さんは急いでスマホくんを拭き取り、充電してやった。
「スマホくん、駄目じゃないの、大人しくカバンの中に入ってなきゃ」
「どうも心配おかけしてスミマセン」
スマホくんは苦笑しながら言った。