利夫さん
お姉さんは朝からお化粧をしていた。お姉さんはルンルン気分だった。
「スマホくん、どの服が似合うかしら?」
「グーグル検索で最新のファッションを調べてあげましょうか?」
こんな会話を交わしながら、お姉さんはスマホくんをカバンに入れて、意気揚々と外に出て行った。
駅前のバス停で降りて、10分程歩き、コーヒーショップに着いた。スーツを着た若い男性が座っている。お姉さんは手を振った。
「待った~?」
「いや、さっき着いたばかりだよ」
お姉さんは笑顔で言った。
「今日は利夫さんに見せたい物があるんだ!」
お姉さんはカバンからスマホくんを取り出し「ジャジャーン‼」と言った。
「どうも初めまして。」
利夫さんは目をまるくして「あれ、喋った、手足もついてる」
「どう、びっくりしたでしょ 「これってAIロボットじゃないんだろ?」
「僕はネットの神様より、命を授けられたスマホなんです」
「スマホくんていうの、可愛いでしょ?」
利夫さんはしげしげとスマホくん見つめた。
「ネットの神様~?そんなのがあるのか?」
「信じられないかも知れないけど、実在するんです、僕はSIRIさんとも親友であらゆるネットの情報網に通じてるんです。なんでも聞いてください」
「へぇ~、それって本当なのか!」
利夫さんは苦笑した。
「ああ、それから僕の存在は誰にも秘密、てことでおねがいします」
利夫さんは信じられない、という顔をした。
「私の大切なお友達なの。可愛がってあげてね」
「わかったよ」
利夫さんはコーヒーを飲みながら不思議そうにスマホくんを観察した。