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スマホくんの大冒険  作者: 船五郎
18/20

危機‼

 日が暮れ、夜になった。白石親子はスマホくんに釘付けになった。

 「わぁ~、面白い、ちゃんと顔もあるし手足も付いてる」と娘の方が言った。

 「お嬢さんお名前はなんていうんですか?」

 「ゆかりよ、白石ゆかり、ていうの」

 「ゆかりさんは何年生なんですか?」

 「中二よ」

 「へぇ~、幼くみえるんですね」とスマホくんと白石ゆかりは語り合った。

 「でもレッド・ドーンで拷問の餌食にされそうになったのは怖かったでしょう」

 「怖かった、あんな宗教団体イカサマよ!」

 「そこから逃げて来たのは正解です」

 その時インターホンが鳴った。

 「あれ、誰かしら」

 「迂闊に出ない方がいいかもよ」

 ゆかりの母親はインターホンの受話器を取った。

 「どなたですか?」

 「すみませせん、お届物です」

 親子は顔をあわせた。モニターに映ったのは眼鏡をかけた配達員の若い男だった。

 「利夫さんに何か届け物なのかも知れない、一応出てみるわ」

 ゆかりの母親は玄関のドアをおそるおそる開けた。すると玄関は強引に開け放たれ、外から男達がドカドカと入って来た。全部で3人いた。

 「神妙にしろ」と男の一人が言った。

 男たちは白石親子をねじ伏せた。

 「あなたたち、もう警察や利夫さんには通報しました」とスマホくんがいった。

 「ゲッ、スマホが喋った!」

 「もうすぐしたら警察が来ますからね」

 「何を、こうしてやるっ」

 男の一人がスマホくんを掴むと床に叩きつけた。スマホくんの液晶画面にひびがはいり、顔が消え、手足は引っ込んでしまった。

 「ああ、スマホくんが、スマホくんが…」ゆかりは叫んだ。

 「お前たちにはまた戻ってもらう」

 白石親子を縛り上げ、外に出そうとした。その時警察官が玄関からドッと押し寄せ、男たちに掴みかかった。

 男たちは手錠を嵌められ、白石親子は解放された。

 「間に合ってよかった」

 利夫さんが警察官たちに紛れ込んで出てきて、白石親子を宥めるように言った。

 「利夫さん、スマホくんが死んじゃった」

 ゆかりが泣きながら壊れたスマホを利夫さんに差し出した。

 「ああ…」利夫さんは残念そうに壊れたスマホを受け取った。

 レッド・ドーンと思しき男たちは、次々と警察によって連行されていった。

 「どうもご苦労様です」と利夫さんは警察官に頭を下げた。

 「友人から聞いたのですが、そちらの川野さんていう方にも捜査のご協力をされているとか」

 「川野、誰ですか?それは、うちの署にはそんなものはおりませんよ!」

 「エッ!」

 利夫さんの顔は引きつった。

 「ちっ、千秋が危ない!」


 

 お姉さんは洗い物をしていた。するとインターホンが鳴った。

 「はーい」お姉さんは受話器を取った。

 「夜分遅くにすみません、川野です」

 お姉さんは玄関のドアを開けた。すると缶ビール2本を持った川野が立っていた。

 「すみません、近くを通りかかったものですから」川野はお姉さんに缶ビールを差し出した。

 「一杯やりましょう」

 「ありがとうございます」とお姉さんは礼を言った。

 川野はテーブルに置かれている花を見て目を丸くした。

 「綺麗な花ですね、お仕事は何なさってるんですか?」

 「フラワーショップに勤めています。

 「どおりで。フラワーアレンジメントの心得がおありでしょう」

 「資格を持っています」

 「素晴らしい!」

 お姉さんと川野はテーブルに座った。お姉さんはコップにビールを注ぎ、グーっと飲んだ。

 「花への憧れは子供の頃からあったんです。あたし成績は良くなかったけど、美術だけは得意でした。綺麗な色彩を見ていると、なんだか心が吸い込まれそうで…」

 「でもあなたは立派に夢を叶えていらっしゃる」

「いえいえ、あたしなんかはまだまだ修行中ですよ」

 その時お姉さんは急激な眠気に襲われ、テーブルに顔を伏せて眠ってしまった。

 

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