殺人事件
次に日、お姉さんは送信先のアドレスから動画を引き出せないかとパソコンで四苦八苦していた。
「ああ~、だめだわ、ブロックされている」
お姉さんは残念がった。
「ちょっと他のアプリにも痕跡がないかチェックしてみるわ」
お姉さんはカチャカチャとキーボードやマウスを操作し始めた。
お姉さんはマイピクチャをクリックし、スライドさせた。数ある写真の中に、お姉さんがある男性と写っている写真があった。
「誰なんですか?この人」とスマホくんが訊いた。
「ああ、この人、龍彦さんよ。私の元カレ、プログラマーしてたの」
「どうして別れちゃったんですか?」
「ああ、あのね…」
その時固定電話機が鳴った。お姉さんは受話器を取った。
「もしもし」
「ああ、俺だ」利夫さんの声だった。
「殺人事件だ、女性の遺体が川で流されていた、どうやらレッド・ドーンで拷問された女性らしい」
「エエーッ!」
「今警察が調べている。千秋、お前も危ない、警察に保護してもらったほうがいい!」
「わかったわ!」
お姉さんは警察に通報した。暫くして川野と名乗る刑事が来た」
「あなたはレッド・ドーンという宗教団体に拉致されてそこから逃げ出してきたんですね」
「そうです」
川野は一言二言質問した。
「わかりました、私たちが責任を持って保護致します」
「ありがとうございます」
お姉さんは礼を言った。
その夜お姉さんは怖くてなかなか眠れなかった。
「スマホくん、なにかあったらあたしを守ってね!」
「ハハ、僕なんかがお役に立てるかどうかわかりませんが…」
スマホくんは自信なく答えた。