レッド神に憑りつかれる
お姉さんは、USBをパソコンに差し、中に保存されている情報をネットに拡散させようとした。
スマホくんは突然、よろめきだし、なにかよれよれと歩き出した。
「お姉さん、すみません、もし良ければその動画を僕に送ってくれませんか、僕が拡散させてあげます」
「分かった、じゃあ送るわよ」
お姉さんは送信ボタンを押した。メールがスマホくんに無事届き、着信音が鳴った。
スマホくんは急に驚き、キョロキョロと周りを見回した。
「あの、僕、今まで何をしてたんですか?」
「エッ、スマホくんが拡散させてくれるんじゃなかったの?」
「し、知りませんよ、僕は!」
「どういうこと?スマホくん、さっき送った動画見せて!」
「そんな動画僕の体内にはありません!」
お姉さんは急にソワソワした。
「僕の体内に動画の送信履歴があります、見知らぬアドレスです!」
その時タブレットくんが言った。「もしかしたらスマホくん、レッド神に操られていたんじゃ」
「そうかも知れません」
「ということは、あの動画はレッド・ドーンに送られた、ていうこと?」
「そうに違いありません!」
「あ~あ、残念だわ、利夫さんもガッカリするわ」
「申し訳ありません、僕がレッド神に乗り移られた為に…」
「いいのよ、スマホくんのせいじゃないのよ、私もうっかり送信ボタンを押しちゃったからいけないのよ」
「そうですよ」とタブレットくんとスマートウォッチくんもスマホくんを慰めた。
「ありがとうございます…」とスマホくんは呟いた。