レッドドーン
レッドドーンとよ呼ばれる宗教団体が最近ネット上で動画やサイトを作り、宗教活動をしているのが見受けられ、巷の話題となった。赤い法衣を纏った男性が術をかけると、車椅子の病人が急に歩けるようになったり、目の不自由な人が、手をかざすと急に目が見えるようになったりと、そんな動画が出回っているのだ。
お姉さん宅に荷物が届いた。開けてみると加湿器だった。
「ありがとう、スマホくん。スマホくん推薦の加湿器だけあってさすがに高性能で低価格だわ!スマホくんがちゃんと予約、注文してくれたもんね」
「僕はちゃんとネット上でどれが一番お得かリサーチしてありますから、僕にお任せください」
するとタブレットくんが「お姉さんのお気に入りの映画のジャンルはちゃんと僕が把握してありますからね!」と言った。
「お姉さんのバイタルチェックは僕にお任せください!」とスマートウォッチくんが胸を叩いて言った。
「3人に大事にされて私は本当に幸せだわ」とお姉さんは微笑んだ。
「ところでお姉さん。今話題のレッド・ドーンの事でネットの神様がみんなに話があるそうです」
「ああ、あれね、なんだか眉唾もんだわ」
「なんか動画を見た人を催眠にかけて、信者を獲得しているみたいな…」
「例のアプリをタップしてネットの神様と交信ができるんでしょ?」
「はい、僕よりも画面の大きいタブレットくんの方が適役かと思いますので」
「分かったわ!」
お姉さん、スマホくん、スマートウォッチくんの3人はタブレットくんの周りに集まった。ネットの神様が画面に現れた。
「おお、久しぶりじゃのう、元気にしておったか」
「はい、この通り元気ですよ!」とお姉さんは言った。
「おお、それは良かった。さて最近巷で話題になっておるレッドドーンの事じゃが、あれはワシの弟分であるレッド神が裏で突き動かしておるのじゃ」
「レッド神!?」
「レッド神とはワシがネットを良き方向に持っていこうとするのを、あやつはネットで人の心を欺き、悪い方向に持っていこうとする邪な勢力なんじゃ。レッド神はあるハッカーに乗り移り、ネットで人の心を操作し、それを大衆に広めていこうとするカルト集団を作り上げているのじゃ」
「それを僕たちにどうしろというのですか?」
「出来ればその活動を阻止して欲しい。これにお姉さんを巻き込むわけにはいかん、スマホくんとタブレットくん、スマートウォッチくんの3人でやってくれ」
「いえ、私、お手伝いします」お姉さんは言った。
「いや、あなたのような若い女性をそんな危険な事に関わらせるわけにはいかん、ここはどうか遠くで見ているだけにしてくれ」
「じゃあ、少々のお手伝いはします」
「すまんのぉ、こんな厄介ごとを持ち込ませてしまって」
「私だってスマホくん、タブレットくん、スマートウォッチくんの保護者、ていうか、所有者ですよ、それなりのお手伝いはします」
「分かった、分かった。くれぐれも危険な真似はせんでくれ。じゃあワシが支持出すんでお前さんたちはその通りに動いてくれればいい、さらばじゃ」
ネットの神様は画面から消えていった。
「なんか厄介な事案がでてしまいまいましたね」スマホくんは言った。
「でもなんか面白そうだわ!」
お姉さんは意気揚々と言った。