スマホくんの旅立ち
だれもが今や当たり前に使っているスマホ。そのスマホにもし人間的な人格が備わったらどうだろう。
最近はAIのような人工知能が進歩して、徐々に人間に近づきつつあるが、このお話は、AIよりももっと人間的な感情を持ったスマホのお話だ。
「俺のスマホもう型が古いから売ろうと思っているんだよな」高校生の純二は言った。
純二のスマホは部屋の机の上に置かれている。純二は最新型の機種を買おうと思い、明日にもスマホをリサイクルショップに売ろうと思ったのだ。
「このスマホもうバッテリーも長続きしないし、今が買い替え時かな?」
そのスマホは明日にも売られていく運命をただ、どうすることもできず、机に横たわるのだった。
そのスマホの前に、ネットの神様が舞い降りた。
ネットの神様は言った
「かわいそうにのう、このままだとお前はどうすることも出来ない… よし、わしがチャンスを与えてやる。お前に命を授けてやろう」
スマホの神様はスマホに光線を放った。するとスマホの液晶画面に機関車トーマスのような顔が現れた。また、スマホの左右と下側に黒く細い手足が生えだした。
「あれ、ここはどこ?僕はだあれ?」
スマホはきょとんとしていた。
「お前はスマホだ。今からここを抜け出し、旅に出るのだ!さもないとお前は売られてしまう」
「エッ、そうなんだ、僕は旅に出るんだね、でも世の中には知らない事が多そう…」
「大丈夫、お前はネットに通じておる、知らないことはネットから聞けばいい!」
スマホは目をパチクリさせた。
「でも、どうやってここを抜け出すの?」
「窓が開いておる、窓を開けて外に抜け出すのだ」
「ええ、なんか難しそう、でもチャレンジしてみるよ」
「そうじゃな、じゃあワシは消えるぞ、後は自分の力でやってみるんだな」
ネットの神様は消えていった。
スマホは机を飛び降り、窓に向かった。窓の向こう側にはベランダがあった。鍵は開いてたのでスマホは窓をこじ開け、ベランダに出た。
ベランダから雨どいをつたって下に降り、地面に降り立った。
犬小屋から飼われていた犬が不思議そうに見ていた。
ここからスマホの冒険が始まったのである。
人間的な感情を持ち、ネットの知識も備えているスマホくん。この先彼にはどんな運命が待ち受ける!?