ロミオとジュリエット 立ち稽古
「今日から立ち稽古をやります。台本持ちながらでいいので、まずは立ち位置を確認してください」
立ち稽古はまずシーンごとに分け、立ち位置などを確認する。
手越は新入生公演ということもあり、あまり複雑ではない構成にしたが1年3人組からすれば把握するので精一杯だった。
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「うーん。困ったね」
手塚はこめかみをぐりぐりしながらヘラりと笑う。
「すいません手越先輩」
「あー、いや違うんだよ花井くん。君たち主役二人が優秀過ぎて困っているんだ」
「アタシたちセリフも立ち位置も覚えきれてないですよ」
「私は覚えた」
「一見!」
「そうじゃなくてね……二人ともよく目立つんだよ」
手越の代わりに樋口が答える。
樋口の役であるマキューシオの出番は序盤のみのため終盤の立ち位置確認では舞台全体を確認することができていた。
「歌劇未経験だからか押し引きがわからないんでしょう」
「首藤……主役は我が強くないと輝かないわ」
「まあ首藤三上の2年生コンビの言うことも最もで、男子歌劇としては女役のジュリエットを目立たせるのがセオリーなんだけど、ロミオを影にさせるのも勿体ないなって」
忍足がすくりと立ち上がる。
「手越、一見を俺に預けろ。花井は三上が教えてやれ」
「忍足さん人使い荒いんですから」
「じゃあ鹿耳くんは首藤くんに頼もうかな」
「え、俺ですか」
「うん。お願いね」
「首藤先輩お願いします!」
「他の一年生はボクが担当します。一週間後の通し稽古までは個別練習でよろしく!樋口は曲早めにあげてね」
「三日あればできる」
「流石、じゃあ今日は解散!」
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