ダンス&ミュージック
エピソード1
「燃えろよ燃えろーよ」「炎よ燃えろー」
キャンプファイヤーを囲むように、ドット団の26人が酒を飲みながら宴を繰り広げていた。
「よーし」「そろそろ一発芸大会を開催するぞー」「優勝者には景品があるぞー」団長のドスは、上機嫌で自ら宴を盛り上げていた。
「じゃあ俺達から行かしてもらうぞー」
5人の男たちが前に出てきた。男達はバンド形式でパフォーマンスをするようだ。男達はあっという間にスタンバイを終え、演奏を開始した。
ー ♪〜♪〜 軽快なリズムがキャンプ場に鳴り響く。なんと、ボーカルの男性が演奏の中盤で音程を外してしまった…
するとその時、ボーカルの男性に頭に酒瓶が飛んできのであった…瓶は男性の団員の頭に命中した
『バリーン』
瓶は粉々になり、団員の男性は頭から血を流し。その場で倒れ込んでしまった。
バンドの演奏は止まり。キャンプ場は静まり返った…
「演奏は最高だったのに」「お前の歌は最悪だな…」「もういい」「次〜」
今の光景を目の当たりにした誰もが恐怖心から手を上げようとしない…
すると「じゃあ次は俺ダス」ドット団のNo.3大男のダスができてた。
「俺の一芸はこれだ!「炎を食べるでゲス」
「おー」
お題の発表に周りの団員はかなり盛り上がった。
「食べることが大好きな俺が、なんと炎までも食べちゃうダス」
ダスはキャンプファイヤーの中に事前に用意した細い木を突っ込み、木の先端に火を灯した。
「今からのこの炎を熱がらずに食べるダズよー」ダスは足を開き、口を大きく開け、上を向いた。
「ふん」
ダスは燃える炎を自分の口に突っ込み、口を閉じた…
口を閉じた瞬間、大きな歓声が鳴り響いた…そして、確実に盛り上げっているのは団長に伝わった。
「うーん」「どうでダスか?団長?」明らかに我慢して涙目になっていたダス…
団長のドスは、明らかにつまらなそうな表情に変わってしまった。すると、急に横になって寝っ転がってしまった。
「パッとしないな」
「50点!」
ダスの一芸は、団長の好みでは無かったらしい…
そして異常な緊張感の中、様々な芸が始まっては終わり、始まっては終わりを繰り返していった。
「もういねーのか」「俺が満足のいく芸が出来るやつは!」団長は、自分の胸が高鳴るパフォーマンス以外は認めない人間だった。
そんな最悪の雰囲気の中。チョコとジルが遅れてキャンプ場にやって来たのだ。
「団長!私たちも参加します!」
チョコは意気揚々と宴の参加者に名乗りを上げた。
「お前は確か!新入りの女だな」「ジルと一緒に参加か?」「ずいぶんと仲良くなったな…」「で、何を披露するんだ」
チョコは自信たっぷりに答えた「魂のこもった」「歌とダンスです」
「ほー」「歌とダンスか」
「いいだろう?」「俺は歌が大好きなんだ」「しかし」「少しでも納得いかなかったら、容姿はしねーぞ」
団長は終始ニヤニヤしながら酒を飲み始めた。
ー ぶっつけ本番だけど、やるしかない…チョコは場の雰囲気に呑まれないように自分に言い聞かせた。
チョコはキャンプファイヤーの前に立ち、目を閉じ集中した…
チョコは閉じていた瞳を開き、軽くハミングをした。
♪〜 そして口を開き、最初はスローテンポで歌い出した。
ー 家族の前以外で歌を披露するのは初めてのチョコ。緊張も相まって喉が開いておらず、出だしの声の通りが良くなかった…
それに対し団長は眉毛を動かした。明らかに周囲の人間に団長の怒りが伝わった。
次の瞬間…ジルが太鼓を鳴らし始めた…
『ドンドコドンドン』『ドンドンドン』
軽快なリズムが会場に鳴り響くと、それに合わしてチョコも踊り出した…
リズムが激しさを増す中、チョコは先ほどの緊張が嘘のように伸び伸びとしたダンスを披露した。
太鼓のリズムが落ち着いた頃…チョコがもう一度歌い始めた
「ラーラーラー」
伸びのあるキレイな声が島中に響き渡っり、島にいる人間の心を掴んで離さなかった…
気づいた頃には団長も団員もチョコとジルが奏でる音楽を楽しんでいた。
チョコたちの演奏が終わり…団員達は全員立ち上がり、拍手が鳴り響いた。
チョコは団長の顔を覗くと…
「お前達の演奏には魂が乗ってたよ」「文句なしだ」「……」「だから」
「今回の優勝は…」
「チョコ&ジル!!」「お前達二人だ」
『おめでとー』
『お前達のパフォーマンス!最高だったぞ』
他の団員から祝福を受け、チョコは気分が高揚した。
「そんなお前達には」「約束通り」「優勝賞品を授与する」「受け取れ」
チョコは団長から優勝賞品の角笛を贈呈された。
「やったー」チョコとジルはお互いを讃え、ハイタッチを交わした。
チョコ達は勝利に浸った…その後、楽しい宴は朝まで続いた…