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クォーター  作者: トーニ
キャラバンにはスカウトがつきもの
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最高の出会いは最低な出会いでもある

エピソード5


ここドーナツ島は、ガーデンの街の海岸から約115キロ離れたところにある。島の広さは855km2程ある。


この島は、ほぼまん丸である。島の周りは、全て砂浜に覆われている。砂浜を少し歩くと、そこには大きな木々に囲まれたジャングルが待ち構えている。ジャングルには、入り口らしきトンネルが三つある…


そのどれか、ひとつ選ぶだけでその人の運命は大きく変わる…と言っても過言では無い。


そして、冒険者タロウは、どんなルートを選んだのか…


タロウは、ウネウネと曲がる道をひたすら進んでいた。するとタロウの周辺から、様々な動物の鳴き声が聞こえて来た…


タロウは、無性に冒険心を掻きたてられた。ウズウズして来たタロウは、堪らず右側の茂みに飛び込んでしまった…


一方その頃…タロウとは別の入り口を二人男性が、警戒しながら探索していた。


二人も、タロウよりも前に島に上陸していたのであった。慎重な二人は、どんな生物がいるか分からないこの島を、時間をかけ探索し。


道なりに進んでいたのであった。そんな二人の目の前には、二つの分かれ道があった…二人はどちらの道に進むか揉めていた。


「絶対に右だ…」「いや左に決まっている…」二人は顔を近付けながら、自分の意見を押し通していた…


そんな二人とは対照的に少年タロウは、一見安全そうな道を自分の意思で外れ。危険なジャングル自ら飛び込んで行ったのである。


タロウは、自身の身長と同じ長さの草をかき分けながら。ひたすらに鳴き声がする方向へ直進していった…


すると、目の前に開けた空間が出現したのであった。


タロウは、自分の目を疑った…そこには全て同じ大きさの生き物同士が。戦争の様な戦いを繰り広げたいた…


タロウの目の前には、身長170cmほどあるチンパンジーと。それと同じ大きさのダンゴムシが、いがみ合いながら戦っていたのだ。


この島の生き物は、明らかに他とは違った。特に、虫や爬虫類といった本来は小型な生き物が。体を巨大させ、多種族の生き物と縄張り争いをしている事だ…



そして、このジャングルに生きている植物達も。本来の大きさよりも、明らかに大きく育っていた。


ジャングル育ちのタロウでさえ、ドーナツ島のスケールの違いを見せつけられ動揺てしまった。


しかし、次第にタロウはこの空間にいる生物達と戦いたくなった。


『ゴッコリ』タロウは、生唾を飲んだ。


「……」

「よし!行くか!」タロウが自分の腕を振り回しながら、動物達に向かって突撃をした。そして目の前に現れた一匹のモヒカンのゴリラに標準を合わし、振り回していた拳をそのゴリラに喰らわそうとしたその時…



タロウの目の前に、離れ離れになっていたゼントが颯爽と登場して来たのであった。


「だめだよ…」「君じゃまだ、チャンプには早すぎる」「君はまだ死んじゃいけないよ…」


そう言って、タロウの腹を一発殴り意識を消失させたのであった…


『ザー』『ザザーーー』


タロウはまた、水の流れる音で目が覚めた。


そこには、タロウの横で体育座りをして。地面に座っているチョコの姿があった。


「チョ…チョコか?」タロウは、先程の光景が夢だったんだと一瞬考えた。なのでチョコがいる今現在が、現実なのだと思い込んだ。「さっきのは夢か?」「おはよう!チョコ?」


「…え?何?」「おはようじゃ無いわよ」「これは現実よ!」チョコは、タロウの意識が戻った喜びよりも。ツッコミを優先してしまった。



「タロウくんは、とても危険な地域に足を踏み入れちゃったみたいよ」「だから、あの場所からタロウくんを逃す為に、しょうがなく気絶させたみたいよ」チョコは、ゼントの代わりに先程の行為の理由を説明してくれた。


「そうだったのか…」「…いてててて」「まだ痛いよ!腹が…」助けてくれたとはいえ。こんなやり方は、もう2度とごめんだとタロウは思った。


「ん?」「夢じゃ無いなら」「ここは何処だ?」「また入り口か?」「あと、この島はどこだ?」チョコは、頭の中に様々な疑問が流れ込んできた。


「あーここね?」「目的地のドーナツ島よ!」「そして、ここはゴールの…」


タロウは、チョコの話の途中で目に止まった光景に驚いた。「ここが島なら…」「島の中に’島’があるぞ!」


そう!タロウ達の目の前に島があった!しかも海岸もあり、ヤシの木まで生えていた。


今、タロウ達がいる草むら後ろには。石の壁が一面にあり、草むらとジャングルを隔てていた。そしてタロウ達がいるその先に池?もしくは湖?があり。


その中央に島があった。そして、島の中央には40メートル程の高さの石で出来た『塔』が聳えていた。


タロウは、海で遭難した事よりも。島の中に島がある事の方が動揺したのであった。


「まさか島の中央に、こんな空間があったなんてね」「驚きよね?」チョコは、殺気溢れるジャングルとリラックスムードが流れるこの場所の高低差にずっと慣れずにいた。



「ところでゼントは?」タロウは自分を助けてくれた、ゼントが何処にもいない事に気が付いた。


「あー彼なら」「すでに島へ上陸している」「ジロウとサイゼを探しに行っているのよ!」


タロウとチョコがそんな会話をしていると…今いる場所から反対側にある。石の壁に空いた三つの穴の一つから、ゼントと先頭にジロウ・サイゼが渋い顔でこちれへ歩いてきた…


「おーい」「お前達も無事に」「この島に着いたのか?」「よかった!よかった!」タロウは、他の遭難した仲間達との合流に喜んだ。


しかし、ジロウとサイゼの顔には合流できた喜びは無かった…

するとジロウが先に口を開いた。「こいつがビビって全然先に進もうとしなくてさ」「ゼントが助にくるまで、ずっとおんなじ所をグルグルしてたんだ」


二人は、ジャングルの歩き方で揉めていたらしい。


今度はサイゼが、ジロウの意見に反論した。


「元々お前が、俺の知らないルートに先走って進入しなければ」「こんな事にならなかったんだ」


「何言ってんだ」「こんなジャングルで」「<鎖>の模様が変わって強くなった、俺たち二人が」


「命の危険に晒されるなんて考えられないぞ」ジロウは、タロウと同じ考えだった様だ。そして、肉体的に強くなった事により明らかに調子に乗っていた。


「ふん」「すぐにその考え」「間違いだと気付かされるさ」サイゼは、最後に意味深な事を呟いた。


「まあまあ」「君たち」「喧嘩しないでよ」「これから嫌でも’アイツら’と仲良くしなくちゃイケナイんだから」


ゼントの言葉にサイゼは唾を『ゴクリ』と飲み込んだ。


「よし!」「やっと5人揃って」「僕たちの家に帰って来れたんだ」「早速家に入ろう」タロウ達はゼントの後に続き、草むらから島まで続く橋を渡り、4人が新しく生活するであろう島に上陸したのであった。


ゼントは、島の中央にある塔の入り口の前に立った。その入り口にある扉の前で大きな声で叫んだ…


「だだ今帰って来ました〜」「カーさん!遅くなってすみません〜」ゼントは急に叫び出し、塔の中にいる誰かを呼んだ…


ゼントが叫んでから5秒が経った頃…塔の中から誰かが移動してくる音が聞こえた。


『ドドドド』『バッタン』扉がものすごい勢いで開き、中から黒スーツを着た男性が血相を変えて飛び出してきた。


「やっと帰って来てくれたんだな…」「あんた…遅すぎるよ…」「あんたが遅いせいで」


「2人いた仲間が化け物に食われちまった…」「もうこんな島…」「仕事だとしても2度と来るものか…」


急に飛び出してきた男性が、ゼントに対して罵倒を吐き終わった瞬間。扉の向こうから包丁やフライパンが男性に向かった飛んできた…



と同時に誰かの怒鳴り声も聞こえて来た「お前みたいな雑魚」「こっちから願い下げだ」「2度と来るな〜」


その殺気じみた言動に、慌てて逃げていく黒スーツだった…


「やっぱりダメだったみたいだね」「僕の代わりは出来なかったみたいだね」「これだから休みが取れないんだよ!僕は」


サイゼは、ゼントの休みが3年ぶりだという事に、すんなり納得出来た。「やっぱりあの人は最強だ!?」


扉の向こうから、白い煙が見えた…「せっかくのタバコが不味くなっちまった」


扉の中からタバコを吸った、丸い鳥のような物体が出てきた。


『ドドン!』


「お前達か!」「新しい餌わ!」


タロウ達の冒険は始まったばかりである…


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