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クォーター  作者: トーニ
旅立ちは、当然に
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結託

エピソード1


どんぶらこ

 どんぶらこ

  どんぶらこ

ビュー ビュー 強風が吹き荒れる今日この頃… 


この世界は広い…広大な土地…どこまでも続く海…そして空。


今、大海原に一隻の舟が船路を走る。


マストが張られた中型船。最高で60人は乗れるでろう、この船で一人の少年が船の雑用に追われていた…


「あー腹へった」「腹減ったよー」


ツンツン頭でオールバック。黒髪。身長は130cmくらい。歳は12歳前後…


そして首に <鎖> のある一人の少年が、お腹を空かせながら、船内をデッキブラシで清掃としていた。


「なー」「なー」「飯まだ」


少年が近くにいる鞭を持った男に声を掛けていた。


「うるせーな」「1時間前に食わしただろ」鞭を持った男が、少年の質問に対して鞭を地面に叩きつけ答えた。


「大体、奴隷の分際で、オレに意見するな」


「そもそも」「お前はこれから金持ちの奴隷として飼われるんだ」


鞭を持った男は少年に、これからの現実を突きつけた。

「じゃあ!死んじゃ困るだろ」「もっと優しくしろよ」少年は強気に答えた。


男は少年にペースを握られ心の中で悔しがっていた… 



ー こいつ〜。ボスから許しを得たら、ボコボコにしてやる。男は確実にイライラしていた。


「お前なんでそんなに余裕なんだよ。「普通、売られるんだからビビるだろ」


「オレは元々あのジャングルから出るのが目標だったから」「今目標は達成した訳なんだ」「だからもう怖い物なんてないさ」「あと絶対ここから抜け出すから」少年は真顔で素直な気持ちを男に伝えた。


男は呆れた表情で答えた。「まず逃げれねーよ」「こっちは味方が30人もいるんだぞ」「お前なんかに太刀打ち出来ねーよ」


「まー見てろよ」

「取られた’アレ’が戻ればお前らなんか…」「簡単にぶっ飛ばせるさ」「あと、逃げるチャンスはいくらでもあるよ」


少年の迷いのない強気な発言に男は少し動揺した。


「ま…まあ」「いくらでも強がれがいいさ」


ー そして時間が流れ…夜になった。船は錨をおろし、海上で一晩を過ごすのであった。


皆が寝静まった頃…少年は狭い牢屋でスヤスヤ寝ていた。


『トン!トン!トン!』

牢屋の前から檻を叩く音はした…


「……」「何?なんだ一体?」「誰だ?オレを起こす奴は?」

少年は目を擦りながらゆっくりと起き上がった。


檻の外から女性の声が聞こえてきた…「あなた、よくベットの無い海の上で気持ち良さそうに寝るの?」


「お前は、ジャングルにいた女じゃないか?」「なんでお前が、檻の外にいるんだよ?」


なんと檻の外には、ジャングルで黄金の針を探していた。チョコが謎の少年の前に立っていたのであった…


「ちょっと!お前はやめてくらない?」「私はチョコ!」「ピチピチの女の子よ」

チョコは、少年に自分の名前と若さを主張した。


「あなたは気絶してたから知らないでしょうけど」「私は奴らの仲間になって、あなたについて来たの」


「お前」「悪いやつか!?」少年はチョコを睨みつけた。


「今はね」「だからって、そんな睨まないでよ」


「あのね!大きな声で言えないけど」「あなたと一緒にここから逃げ出すつもりよ」「あなた別に行き先も目的もないんでしょ?」「他の下っ端が言ってたわ」


「今下っ端を言いくるめて二人っきりになれる時間を作ったのよ」「やっとよ」「分かる?苦労したんだからね!」


少年は少し安心した表情をした


「なら敵じゃなくて仲間だな」「初めて出来たよ」


「仲間!」


少年の純粋な言葉に少し照れた表情のチョコであった。「だったら、あなたの事教えて!」「そういえば名前は?」


「オレの名前は…」『タロウ!』


「タロウ?」「珍しい名前ね」


チョコは聞いたことのない名前に少し驚いた。


「シロが付けてくれたんだ」「人間によくある名前なんだって」

「シロって誰なの?」


「呼び捨てだし、親御さんじゃなさそうね」


チョコは率直な疑問を聞いた。「シロは、ヘビだよ」「白いヘビだがらシロらしいんだ!」


その話を聞いたチョコは頭が混乱した。

「へ、ヘビに育てられたの?」「そんな事ってあり得るの?」


「オレがまだ、もの物心つく前に拾われたんだ」「まー育ての親だな」

タロウは、平然とレアの体験を話した。


チョコは冷静になるのに必死だった。「ちょ!ちょっと待って」「蛇に育てられた、あなたは!何で人間の言葉が喋るの?」


「私達が知る蛇は、喋らないわ」「もしかして…」「私達が知ってる蛇も実は喋れるの?」


タロウと名乗る少年は、迷いのない表情で答えた…「シロは他の動物と一緒で喋らないよ」「シロだけは、オレの頭に言葉を流して来たんだ」「いつかお前は人間の世界に帰らなくちゃいけないから」


「それまでにワシが人間のルールや言葉を教えてやる!」「って言われて、長い時間をかけて人間の言葉なんかを教え込まれたんだ」「あとジャングルの動物達と戦えるように」「戦い方も教えてもらったんだ」「この前の戦い方もシロや他の動物達と戦って編み出した…」「オレ独自の戦い方なんだ」



チョコは余計、頭がこんがらがった。「その白蛇が特殊ってことでいいよね」チョコは自分を肯定するのに必死だった。



ー チョコはヒューイとの会話を思い出した。ジャングルの伝説に白蛇が出て来たけど…もしかしてコイツの育ての親って…その白蛇じゃないかしら。


「もしかしてそのシロっていう白蛇」「病気とか治せたりした?」


タロウは記憶を遡った。


「そう言えばオレが毒キノコを間違えて食べた時に」「自分の鱗を器用に壁に擦り付けて」


「白い粉を作って、水と一緒に飲ましてくれた事あったな」「そしたらすぐに元気になったよ」


ー チョコは、万能薬の話は伝説じゃなくて実在したんだと確信した。



「やっぱり実在したんだ」「万能薬は」



チョコは、万能薬の事は一旦忘れ、一番気になっている質問をぶつけた。


「所で何であんたは、石になってたの?」


「オレの理由が知りたいんだ」「……」「オレを石にしたのは、シロなんだ」


チョコはまたしても頭を抱えた。




少年の名前は『タロウ』


盗賊団ドット団に捕まり、彼らの船の売り物兼奴隷として船に乗船している。


今現在タロウは、偶然ジャングルで出会ったチョコと名乗る少女と一緒に結託し。ドット団の船のからの脱出を計画しようとしていた…


「ちょっと待って」「あなたは、育ての親から石にされたの?」「急すぎて理解できないわ…」


タロウは食い気味に答えた。


「オレがジャングルから出たいって言い出したら」「お前を外の世界に出すわけにはいかない!って言われたんだ…」


「そして、目があった途端」「体が徐々に石になっていったんだ…」



ー 現実離れしたタロウの話も、初めて会った時に見せつけられた。凄まじい身体能力も急に出現した首の<鎖>などを踏まえて嘘じゃなさそうだとチョコは感じざるを得なかった…

  

「謎だらけのあなたの存在も、一旦考えるのを諦めるわ」


「でも、あなたがとても魅了的な人間だって事は理解できたわ」「ところで、あなた目的とか今後どうしたいかとかあるの?」


すると少年は、とびっきりの笑顔で答えた。


「何もない」「特にしたい事もないんだ」


「え?」「何もない?」チョコは、少年の拍子抜けした答えに耳を疑った。


「ジャングルを出て、知らない世界へ冒険するのが目的だったから」「それがもう叶ったから」「今の目標はない」



ー 彼には、見知らぬ土地への恐怖や不安はないのかしら…こんな純粋な人間と会ったこたがないわ…


チョコは少し考え込んだ…


「わかったわ」「あなた!私に協力して」「私はこの世界の秘密について調べてるの」「あなたの首に出現した謎の<鎖>のこととか」


「本にも載ってないこの世界の過去や歴史について調べるの」「あなたが私に協力してくれれば」「きっとあなたが楽しめる冒険になるわ」


「だから私の仲間になって!」


『キラン!』チョコの言葉に少年は目を輝かせた。


「よし分かった」「お前についてくよ」タロウは迷わなかった。気持ちのいい即答だった。


「あのね!私の名前はお前じゃないのよ」


「チョコよ」


すると、チョコはタロウに手を差し伸べた「よろしくねタロウ君」


「何だこれ?」


「手を握って!」「約束って意味」チョコが差し出した手に、タロウが手を合わせた…


今まさに二人は、牢屋の隙間から自分たちの手を出し…固い握手を交わした…そして二人は友達という名の仲間になったのであった。


握手を終えるとタロウが先に喋り出した。「とりあえず」「これからどうするんだ」


「この船には私を抜かして29人のドット団員がいるの」「そいつらをこの船から追い出せば一番都合がいいの」


「アイツらを追い出す何かいい方法ないかしら?」


タロウは一瞬考えた…

「オレはこのヘンテコな模様が出てきてから急に弱くなったみたいだ…」「けど、取られた’アレ’を取り返せば何とかなるよ」「アイツら全員倒せるぞ」


「そんな凄そうなもの持ってたっけ?」チョコは、記憶を辿ったが思い当たる物は無かった。


「オレが持ってた<角笛>さえ取り返せば」「誰にも負けない」タロウは自信満々の顔をした。


「もしかして細長い枝のこと」「あれ笛だったの?」チョコは角笛のことを枝と勘違いしていた。


「角笛は一角獣の角でできているんだ」「シロのアドバイスでオレが作った」「オレがまだ力も何もない時、角笛を使ってオレより強い動物を狩ってたんだ」


「一角獣?」


チョコは、タロウと出会ってから驚きの連続であった。


「この世の中には聞いた事のない動物がたくさんいるのね」

「やっぱり知らないことだらけよ!この世界は」


「チョコが角笛をオレのとこまで持って来てくれれば」「ここから抜け出せるし」「奴らも全員倒せるぞ」


「その言葉信じていいのね?」「ああ」「オレを信じろ!!」二人は、お互いを信じ合いタロウを檻から脱出させる


作戦の考えた。


チョコはタロウの一言で、勇気が出た。「タロウ君をここから出してあげる」「任して」「何とかするわ」


二人はこの日、同盟を結んだ。そしてこの状況からの打破を誓った…


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