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クォーター  作者: トーニ
憎まれっ子世に憚る
24/42

別々

エピソード4


一人の少年が、だだっ広い会場に取り残されていた。


少年の名前はタロウ、彼はガーデンの街で行われている武道大会『キャラバン』に参加しているずだった…


この少年タロウは誰も居ない会場で一人取り残されていた…しかも頭に大きなタンコブを作り、うつ伏せの状態で倒れていた。


するとそんな少年の元へ、大会実行委員会の一人が駆け寄ってきた。

「大丈夫かい?少年?」男は倒れている少年の肩を揺らし、意識を確認した。



するとタロウはゆっくり目を開けた…


「いてぃてぃてぃてぃ…」


タロウは、蹲ったまま立ち上る事が出来ずにた。「

くっそーアイツどこ行った」タロウは自分をこんな目に遭わした奴を目で探し始めた。



タロウは叫びながら周りを見渡した。すると周りには、タロウと実行委員会の男性二人だけであった。


「みんな5分前には、ここから出てっちゃったよ」「君も早くしないと、次の予選に通過できなくなっちゃうよ?」

男性は、スタート出来ていないタロウを強制的に立たせようとした。



 「イテテ」「無理に動かすなよー」無理やり動かそうとする男性に、タロウは思いっきり睨みつけた。


「そう言えば俺は、どこに向かえばよかったんだけ?」説明を聞いていなかったのか、頭に出来たタンコブの影響か。タロウは目的を忘れてしまった。



すると大会委員会に男性は呆れながら教えてくれた。「いいかい」「君はこの街の何処かにある」「『羽の生えた男性の像』を探しに行くんだよ」


「そうだそうだ」「忘れた」「あはは」タロウは、相変わらず能天気だった。


「我々は忙しいんだよ」「もう行くから」「さっさと出て行ってくれるかな?」実行委員会の男性は文句を言いながら、会場の中に消えて行った。



それを見ていたタロウは、早く立ち上がろうとしたが、一向に全然起き上がれる気配は無かった…




一方その頃…


ジロウはというと。タロウとは離れ離れになってしまったが、サイゼとは一緒に行動出来ていた。


ジロウとサイゼは、昨日が初対面であった。二人は食事をしながら、お互いの話を聞き合った。


ジロウの目的は、父親を越すほどの力を手に入れる事。


サイゼは、自分が3年前にこの大会に参加して。世界の秘密や強くなる方法。そして知恵を与えてくれた’場所’にスカウトしてくれた、白装束の話をした。



ジロウは、胸を高鳴らしながらサイゼの話に耳を傾けた。



チョコ・タロウ・ジロウ・サイゼはお互いの目的を共有し、一致団結していた…


話は戻り。ジロウとサイゼは、走りながら作戦を立てていた。

「今行われている競技には、2つのポイントがあるんだ」


「①50人以内に目的に着く」

「②1時間以内に目的地に着く」「例えば」「目的地に一人しか到着していなくても、制限時間を過ぎてしまえば一次予選通過できない」



サイゼは、頭の中で整理した内容をジロウに話してくれた。


「何となく分かってきた」「ゆっくり探すなんて出来なそうだな」ジロウはやっと今回の目的を理解出来た。


「……」

「そう言えばタロウのやつ大丈夫か?」「会場で逸れちまったけど」

ジロウの言葉で、サイゼは少し悩んだが、現実を呑み込みこんだ。


「とりあえず俺たちだけでも、ゴールを探そう」「早く見つけて」「アイツに知らせてあげよう」


二人は、今の所ゴールを探す事を重要視した。


さっきまで会場にいた、1万人の大会参加者は。街の中央にあったコロッセから分散して散らばった。


ジロウは、走りながらサイゼに質問した。「アンタは前回の大会に参加したんだろ?」「これって前回もあったのか?」


「いや」「前回はこんなレース無かった」


「実行委員会のやつが言っていたが、今回の大会は参加者の人数が多すぎるって」「だから人数を減らすために新しく考えられた競技だろう」サイゼは、実行委員会の発した言葉から大会競技の変更理由の予測を立てた。


続けてジロウはサイゼに質問をした。「


それなら…」「ゴールの『羽の生えた人間の像』の場所知らないのか?」「アンタここに来るの2回目だろ?」


「それが全くし知らないんだ」「前回、初めて来たこの街を1日中歩いて観光したが、そんな像は見当たらなかった」


「……」「俺はこの街が3年ぶりだから」「3年前に出来たのかも?」


サイゼの話を聞き、ジロウは一旦黙り考えた。そして纏まった自分の考えをサイゼに語り出した。


「そう言えば、参加者の人数って分かったのって昨日だよな?」「今回は人数が多いから急遽、新しい競技を追加したんだろ?」「それで、大会実行員会の奴らは参加者の人数減らしたいんだろ」「オレ達に嫌がらせをするために」


コロッセ出発から20分経過…むやみに街を走り回っていた二人…


ジロウの話を聞き、サイゼはもう一度考えを整理した。




ー 急に決まった競技…嫌がらせ…街から飛び出す…1時間以内…


『キッキー』  サイゼは、急に走るのをやめた。

「どうした?」「何かあったか」ジロウは、急に止まったサイゼに驚き自分の足も止めた。

「やられた!」「アイツらにやられた!」サイゼはジロウの手を取り、走っていた方向と逆の方向に走り出した…


一方、一次予選が開始されて30分が経過してもコロッセオから動けないタロウがそこにはいた。


するとそこへ見知らぬ大会参加者が現れた。「君大丈夫?」「助けてあげようか?」そこには、全身に白い布を被った顔が見えない男性らしき人物が立っていた。その人物は170cmくらいで体の線が細い印象だった。



「本当か?」「すぐに助けくれー」タロウは、命令口調で白服男にお願いした。

「ちょっと待って」「君!言葉遣い良くないよ」「育ち悪いでしょ?」男は、すぐにタロウの言葉遣いを注意した。




「悪かった」「オレ蛇に育てられて、言葉の使い方知らないんだ」

タロウの言葉に白服男は一瞬固まった。

「…」


するとタロウを身体をいとも簡単に、一瞬で起き上げると「ならしょうがないね」「今度、僕が教えてあげるよ」と言って、コブが出来ていたタロウの頭を軽く撫でた…


「アレ」「体が動く?」「頭も痛くない」タロウは自分の体を触り、異常がないか確かめた。


「痛み!取れてよかったね」「僕はもう行くよ」立ち去ろうとした白装束の人物にタロウは、チョコから教わったお礼の仕方を実践してみた。



「ありがとうございました」タロウは大きな声で深々と白装束にお辞儀をした。



「…」それを感じ取った。白装束の人物は立ち去る足を止め、タロウの方へもう一度歩み寄った。



「君出来るじゃないかい?」「知らない言葉、多いんじゃないの?」白装束は、タロウに対して新しい疑問ができた。



「友達のチョコに教わったんだ」「そいつもオレと一緒で、色んな事を勉強したいって言ってたぞ!」「だから今度俺たちに勉強教えてくれよ」タロウの純粋さに白装束は、心を打たれてしまった…



「…」「そうだね」「この大会が終わったら、君の友達にも会ってみたいね」



一旦話が終わると、白装束はタロウの手を取り歩き始めた。「そうだ」「もうすぐ時間だから」「一緒に会場に向かおうよ」


「ちょっと待った」「会場はこの外にあるんだろ?」タロウは驚いた表情で白装束に質問した。


「外じゃないよ」「…この中だよ」男は地面に指を差した…


二人は、コロッセオのメインフィールドに立っていたが、建物の外周部分にある空洞のスペースに入っていった。


この空洞のスペースは、コロッセオのフィールドを一周できる構造になっていた。



タロウは、先に歩いている白装束の後を追いかけた。白装束はそのまま外に出ず、今いる場所から右回りに歩いて行った…


白装束が急に立ち止まると、そには…今いる場所から地面へ続く階段があった。



タロウは階段の前で立ち止まった。「地面に続く道があるなんて」「ワクワクするなー」タロウは改めてジャングルから脱出して良かったと思えた。



「これ地下室っていうんだ」「この施設が出来た100年以上前から」「あったらしいよ」

白装束は階段を降り、その先にあった扉を開けた…



すると中には、メインフィールドの半分ほどの広さの空間が現れた。その空間の一番奥に、『羽の生えた人間』の像が神々しくそこに存在していた…



すると、地下フィールドの真ん中には。タロウが倒れていた時に話しかけてきた大会実行委員会の男が立っていた。その他の大会実行員会のメンバー4人を入れた計5人が、タロウ達を待っていた。


「おめでとうございます」「白服の方が一着」「黒髪の少年が二着でございます」

委員会の男たちは、拍手で迎え入れてくれた。


「あー」「さっきのオッサン…」「ここに居たのか」タロウは面識のあった委員会の男を指差した。


「また会いましたね」「ちなみにコロッセオから出て行かなかったのは、作戦ですか?」気になった疑問をタロウにぶつけた。



「タンコブができた事以外は、偶然だよ」タロウは笑顔で答えた。



すると委員会の男も笑顔で答えた。「あなたは運が良いのか悪いか…」「不思議な人ですね」


するとそこに。ジロウとサイゼがやって来た。「おータロウ」「先に来てたのかー」ジロウはタロウの肩叩き、タロウを祝福した。タロウとの再会を喜んだジロウは、サイゼがいる後ろを振り向いた…



すると、何やら神妙な面持ちで白装束と会話をしているサイゼの姿があった。


会話が終わると白装束は、サイゼから離れて行った。壁際まで歩くと壁にもたれ、座り込んだ。



「サイゼ!どうかしたか?」ジロウはサイゼの元へ駆け寄った。


「……」ジロウからの問いかけに3秒ほどサイゼは反応出来なかった。



「あー悪い」「どうかしたか?」サイゼは明らかに動揺していた。

「知り合いか?」「あと何喋ってたんだ?」

「あの人、オレの知り合いだった」「……」「悪い」「話の内容は今は言えない…」

サイゼの思い詰めた表情に、ジロウは何も言わずに、タロウの元へ歩み寄った。



「タロウ!」「よくこの場所が分かったな?」



「運が良かっただけだ」「スタートの合図があった時に、周りの奴らに揉みくちゃにされて」「そのまま、転んで頭を打った!」「で!ずっと気絶してた」「まー色々あって」「白い服の人に助けられて、そいつについて来たら」「ここに着いた!!」


タロウに起きた出来事を聞かされて、ジロウは自分たちの苦労は一体何だったのかと考えさせられた。


二人が話している間に、数人の大会参加者が室内に入ってきた…あっという間に予定していた1時間が経過していた。


「ピッピーー」


大会実行委員会の一人が笛を吹き、制限時間の終了を知らせた。


実行委員会の男が、参加者を集め。参加者に一次予選終了を知らせた。

「第一予選お疲れ様でした」「ここにいるのは…」


「16名の方々ですね」「こちらの予想よりも多かったですね」

「これよりこの会場で、第二次予選を開始いたします…」



果たして、決勝戦へ進むことが出来るのは誰なのか?熱い戦いが、今始まる…

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