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クォーター  作者: トーニ
開かれた扉
21/42

バスストップ

エピソード3


ここは、ドット団の新しいアジトである通称『石の城』である。


この地域に住む人間ですら、いつからそう呼ばれていたのか、誰も知らない…昔この場所に国があったのか?もしくは、城の建設中に断念したのか?何処にも情報が存在しない…



城といっても、城らしい建造物は全くない。ただただ巨大な石が無造作且つ広範囲に置いてあるだけなのである。


この国の国民は、古い物には疎い。だが新しい物には目がないのだ…



チョコは今現在アジトの牢屋にいる。牢屋に監禁されて5時間が経っていた。


チョコが監禁させている牢屋は。牢屋といっても鉄の格子は無い。元々何も無かった場所に、手作りの木の格子を備え付けたのだった。



何とかこの状況を打破したいと考えたチョコは、改めて冷静になって考えみた…



ー この状況で役にたちそうな物を考えた…その結果、使えそうな道具が二つあった。一つは護身用の折り畳みのナイフだ。


折り畳んだ状態のナイフは色々な場所に隠すことが出来るのだ。今現在は、上着のインナーに隠している。このナイフの存在は、まだ誰にもバレた事はない。


二つ目は左ポケットに入っている赤い筒だ!これはバスの中で見つけた物である。しかしチョコは使い方を全く理解していな為、赤い筒の使用方法や使用タイミングに頭を悩ませていた…



ー チョコ達が乗っていたバスは最新型のバスらしく、乗車するのに、かなりの値段を取られたのである。


なので、チョコ達以外のバスの乗客は、ほとんどお金持ちである。きっと、最新型のバスのためドット団に狙われてしまったのであろう。



ー チョコは新しい物が好きであり、珍しい物にも目がなかった…


今回は四日間のバイトで予想以上の稼げたので、奮発してこの最新型のバスに乗車したのであった。


ちなみにチョコは、ほとんどのバイトをタロウに指示していただけである。


赤い筒は最新型のバスには全て備わっている物らしく、バスに乗車する前に運転手から説明があった。運転手によると、バスにトラブルが発生した時に煙を出現させる物らしい。


チョコは運転手の目を盗み、ちゃっかりバスから拝借していたのである。


冷静になったチョコは、赤い筒が煙を発生せる装置である事を思い出した。


「この赤い筒を使って煙を出せば」「何とかドット団の注意を弾くことができるわ」チョコは煙を出すタイミングを窺った。



一方、ドット団の幹部達は強奪したバスの中にいた。


バスの運転の操作方法を、バスの運転手を脅しながら何回も教わっていた。

そんな中、事件は起きた。なんと、謎の赤い煙が牢屋の方角からモクモクと立ち込めていたのであった…



赤い煙に驚いたドット団の幹部3人は、たまらずバスの外に飛び出していった…


その一瞬の隙に、バスの中で一人になった運転手はバスに備え付けてある謎のボタンを押した。


そして、一目散にバスから逃げ出したのであった。



「ボス!」「運転手が逃げたでガス」細男のドット団No.2のガスが逃げる運転手を指差していた。

「そいつはもういい!」「運転の仕方はある程度覚えたからな」「それより、あの赤い煙の方が優先だ」鉄仮面のドスは、幹部二人に牢屋を見に行く様に指示した。



牢屋の前では、赤い煙から逃げる様に大勢の人質とドット団の団員が一斉に飛び出してきた。


ー 少し時間を巻き戻そう…


牢屋の中にいたチョコは、赤い筒の使い方を探り探り行っていた。筒を上下に振ったり、地面に軽く叩いたりしてみた…


すると、それを見ていたドット団の下っ端が牢屋に入ってきた。


「そこの女!」「何をしてる?」無能だったドット団員は最初は持ち物検査で赤い筒の使い方が理解出来ずにスルーしていたが、流石にチョコが怪しい動きをしていたのは理解出来た。



「その筒をこちらによこせ!」ドット団の下っ端は牢屋の鍵を開け、牢屋の中に入ってきた。そして、チョコが持っていた筒を無理やり奪おうとしてきた…しかしチョコは、筒を離さなかった。


「私の赤い筒を盗もうなんて!させないわ」チョコも負けじと、筒を奪われない様に必死に抵抗した。


チョコとドット団員が筒を取り合いをしている最中に事件は起きた…ドット団員が持っていた筒の一部が『スッポッ』と抜けてしまった。



筒を無理に引っ張ってしまったドット団員は、筒を引っ張った勢いそのままに後ろに倒れ込んでしまった。


倒れたドット団員の手には、分離した筒の⅔を持っていた。そんな筒の先端には見知らぬ茶色い薬品が塗ってあった。



ドット団員が後ろに倒れた時に。木で出来た格子に、筒を持ったままぶつかってしまった。


すると、次の瞬間。トッド団員が持っていた筒の先端と木の格子がぶつかり、筒の先端から赤い煙が出現したのであった。



「何だこれはー?」「黒魔術か?」「俺は死にたくない」筒からすごい勢いで赤い煙が立ち込めた。赤い煙を目の当たりにしたドット団の団員は、初めて見る光景に驚きそのまま走り去ってしまった。


「!」


「そうだ!今のうちよ」「みんな」チョコは、開けっ放しになった牢屋をすぐに理解し、同じく捕まっていた市民を速やかに牢屋の外へ逃がした。


チョコ達は、石の牢屋から逃げ出す事に成功した。するとそこには幹部を含めたドット団が全員集合していた。


「チョコ〜!」「またお前か」「お前と会ってから、ろくな事が起きねーぞ」


団長のドスは、鉄仮面を被った状態でも憤激しているのが伝わった。


「今回はもう容赦しねーぞ」「アイツを殺してもいい」「お前達やっちまえ」ドスの合図でドス以外の団員がチョコに飛びかかった。


するとその瞬間!上空から聞き覚えのある声がした。


「落ちるーー」



何と二人の少年が上空から地上に向けた勢いよく落下してきたのである。


偶然か必然か?チョコに飛びかかったドット団員の真上に落ちてきたのであった。


「ドッカーーン」ドット団員に二人の少年が勢い良くぶつかった。数人の団員以外は、ぺちゃんこに潰されてしまった。

空から落ちてきた少年の一人を団長が見つけると、そこには団長のドスが今最も憎んでいるタロウがそこに居た。タロウの顔を見た途端、陥没した頭がズキズキ痛みだした。



「お前ーー」「あの時のガキじゃねーか?」「何処にもいねーと思ったら」「お前の方から俺に殺されに来てくれたとわな」「今日はお前の命日にしてやるぞ!」



ドスは、殺したい相手であるタロウに会えて。怒りを超えて喜びを感じていた。



タロウは周りにいるドット団の面々を凝視すると


「あー!お前達」「この前、俺をこき使ってくれた奴ら」「ムカつく盗賊団だな」


すると、タロウの後ろにいたチョコがタロウ達に声をかけた。「あんた達ー」「来るの遅すぎよ」「一体あれから何時間経ってると思ってるのー」


チョコは両腕を動かしながら、怒りを表現した。


「わりー」「寝坊した」チョコは、タロウのあっけらかんとした態度に拍子抜けしてしまった。

「まあいいわ」「そんな事よりも」「あんな奴ら」「とっとと!やっつけちゃって」チョコはドット団を指差し、タロウと一緒に空から落ちて来たジロウに命令した。



「今のオレたち、メチャクチャ元気だから」「こんな奴ら一瞬だ!」二人は残りのドット団に向かって突進していった。


最初にジロウが、素早い動きでドット団員の後ろに回り込んだ。蹴りやパンチで相手の急所を確実にヒットさせていった。。気付いた頃には敵3人が気絶させたいった。


体力の無いジロウは、いつも通り両膝に両手を置き肩で息をしていた。


ジロウがが前線で戦っている間にタロウは、自慢の角笛でメロディーを奏でていた。


『ズバババ〜』


いつも以上に広範囲の衝撃波が周囲を切り裂いた。

するとタロウの目の前には、大男のダス。ジロウの前には細男のガスがやって来た…


ドット団のダスは、長い竹で出来た『竹槍」持っていた。一方のガスは、両手にナイフを一本づつ持っていた。


ダスは、竹槍を水平に振り回し、タロウと距離を取りながら、竹槍をブンブンブン振り回してきた。


ガスは、両手を巧みに使いナイフでの連続攻撃を仕掛けてきた。


タロウは、ダスの大振りの攻撃のせいで角笛のメロディー攻撃は出せずにいた。


一方のジロウは、ガスの両手を使った連続攻撃を間一髪であるが全てかわし、攻撃のチャンスを窺っていた。


なんとタロウは、ダスの大振りの攻撃を何発も喰らってしまった…気づいた頃には、壁際に追い詰めらてしまった。

ダスは、ここぞとばかりに竹槍の突き攻撃でタロウを仕留めに掛かった。



「喰らえダス」「渾身の突き攻撃!!」ダスは全身を使い、体重を乗せた一撃をタロウに放った…


『グシャ』ダスの突き攻撃は、紙一重でタロウに避けられ、脆い石壁に竹槍が刺さってしまった。


タロウはダスの攻撃をジャンプで避け、壁に刺さった竹の上に立った。この後のタロウの動きに、ダスは全く反応出来なかった…



竹槍を持ったままにダス。タロウは、そのダスの竹槍の上を一直線にダスに向かって走った…


ダスは持っていた竹槍を、危険を感じ手から離した…タロウは、ダスが竹槍を手を離すと少し前に竹の上から上空へジャンプをした。


竹本来のしなりを利用して、普段より高く飛んだタロウ!「この高さなら、アレが出来るはずだ!」


タロウは空中で両膝を曲げた。そして、ダスの真上でピタッと止まった。次の瞬間!曲げた膝を伸ばすと同時にダスへ向かって一直線に落下した。


「泣き虫ハヤブサの逆襲!!』


タロウは、ダスの頭を思いっきり踏みつけた!『ペシャー』ダスは頭を踏まれた衝撃で脳震盪を起こし気絶した。


タロウは、日に日に自分の動きのキレが元に戻りつつある事に胸を高鳴らせていた…


一方ジロウは、ガスに付けられた細かい切傷が目立つ様になっていた。予想以上に、細男であるガスの攻撃が止まらない。


ガスは、ドット団のNo.2を実力で勝ち取った男なのだ。体は細いが体力ならドット団一である。


ジワジワと追い詰められて行くジロウ…



ー ジロウは、自分自身に苛立ちを感じていた。頭では解っているのに体が追いつかないのだ…もどかしい…早く強くなりたい。


そんな時、大っ嫌いな父親の顔を思い出す…


そしてジロウは、父親の言葉も思い出してしまう。『相手から目を逸らすな』『相手の動き一つ一つに、相手の個性が出る』『その個性を利用しろ』



ジロウは命の危険が訪れると、本能的に父親の助言を実行してしまう身体になっていた…


ジロウは、ガスの動きがいつもワンパターンである事に気がついた。


右手、左手、また右手。普段から慣れたモーションにより、無駄な体力を消費せずに動けているのだと予想出来た。




ー 相手の攻撃タイミングに合わせる事が出来れがカウンターを入れられる。そう!ジロウは相手の動きから目を逸らさなくなった。いち・にい・いち・にい……



「今だ!!」ガスの右手の攻撃から、左手の攻撃に移る時に出来るスキ。その隙をついてジロウはガスに向かって突っ込んだ。

そして、手刀でガスの喉を突き刺した…「グッワッ!」



ガスは突撃された衝撃で、そのまま後ろに倒れてしまった。


「はあ」「はああ」ジロウの体力は、もう限界だった…


「お前!本当は両利きじゃ無いだろ」「良く見たら、左手の動きだけブレがあったぞ」ジロウは、ガスの両手による連続攻撃の最中。隙がある左腕の動きに合わせてカウンタを決めた!


ジロウは、見事苦手なスタミナタイプの人間に勝利する事が出来た!


「…」


「また親父の力で勝っちまった…」「早く…自分の力で勝ちた…い」


「…」バッタン!


見事ドット団幹部の二人を倒す事に成功した。あとは団長のドスただ一人…



ー ほんの少し前…タロウ達がドット団の幹部二人を倒す目前に…ドスは、タロウとジロウの暴れっぷりを目の当たりにして閃いた。



ー …ここは逃げるが勝ちだ。ドスは倒されていくドット団員を尻目に全力で盗んだバスがある方角に走っていった。

あっという間にドスは、バスに乗り込み。運転席に座ると扉の『閉める』ボタンを連打した。



ダスを倒したタロウは。逃げるドスに気づきドスを追いかけたが、タロウがバスに着いた頃にはバスの扉が閉まってしまった…



ドスはバスのエンジンを起動させ、勢い良くアクセルを踏んだ。



『ブーン」「ブーーーーン」



ドス一人を乗せた大型バスが、物凄いスピードで荒野を走りだしてしまった。


「くっそー」「逃げられた」「あの筋肉バカめ」タロウ達の元へ、ドスに対する怒りを口走りながらチョコが走ってきた。少し離れていた所で戦いを見守っていたチョコが、二人の元へ駆け寄った。



「あなた達!本当に遅いわよ」「……」「でも良く私がいるこの場所が分ったわね」チョコは、この地域の地理を全く理解していない二人がここまで辿り着いた事を不思議に思っていた。



するとタロウが真っ先に口を開いた。


「チョコがもし、あそこに居たらって考えた…」「それで、ひたすら村の人間に奴らの情報を聞きまくったんだ」


「それで、この場所の近くまで来たんだけ、周りが石だらけで」「どれがアジトか分かんなかったんだ」「そんな中」「ここまで連れて来てくれた大鷲が疲れてフラフラになっちまったんだ!」


「もう空から探せないって思ったら」「赤い煙が見えてきて」「きっとチョコの仕業だって!」「ジロウと話したんだ」


「あはは」「そうね」「赤い煙は偶然だけどアレは私が出したわ」チョコは冗談まじりに、発煙筒の事を説明した。



「丁度、大鷲の体力が無くなって!直ぐに上から落とされたんだ」「それが偶然、奴らの上で良かったよ」「ちょうどクッションになったしな!」


3人はお互いの近況報告をしていた時…


『ドッカーーーーン』


ドスが逃げて行っ方角から大きな爆音が聞こえてきた…

遠くから見ると、黒い煙が立ち込めていた。


すると…3人の後ろに見知らぬ人間が立っていた。


『!?!?』


ジロウは誰よりも早く男が発する威圧に気が付いた。


すぐに振り返ると、例の武器で『?』を威嚇した。


チョコは男の存在に気が付けなかった

「全く気配がなかった…コイツ何者?」


そこには、赤いスーツに黒のシャツを着た男がいた。容姿は金髪であり、金色の長い髭を生やしていた。


そして、この世界では珍しくサングラスを掛けていた。そんな男が、タロウ達に話しかけ来た。


「コイツらをやったのはお前達か?」ドット団を指差した。タロウ達に先ほど起きた出来事を問いただして来た。


「そうだ」「俺たちがやっつけてやった」タロウは自慢げに髭の男に説明した。


「何処のDOJO所属だ?」男は、聞き慣れない言葉を発した。


「全く知らないんだけど、詳しく教えて貰える?」すかさずチョコが質問した。


「知らないのなら、それでいい」「忘れてくれ」「お前達には関係のない事だ」


髭の男が、タロウ達に説明を終えると遠くの方から、ゴツゴツとしたタイヤを履いた黒い車が数台こちらへやってきた。


その車は大型で、中から数人の黒いスーツを着た人間が出てきて、近くに隠れていた一般市民の救助を始めた…




すると、何処からともなく髭の男と同じ赤いスーツを着た男性が現れた。



その男性の肩には気絶した、ドット団のボスが担がれていた。

「!!??」


「アイツってさっきまで」「見えない所までバスで逃走してなかったかしら?」唖然としたチョコは、一瞬で混乱した。


ドスを軽々と担ぐ男性は、170cmくらいの細身で。髪型はモジャモジャ頭だった。髭の男性と同じようにサングラスを掛けていた。


そんなモジャモジャ頭の男性が、他の黒服達に盗まれたバスを回収しろと命令していた。


その状況を見ていたチョコが、モジャモジャ頭に近づいて質問を投げかけた。


「あのバスって国持ち物なんでしょ?」「ってことは」「バスを回収するあなた達って国の人間なの?」


「はあ?」「だれだお前」「なんでお前なんかに教えたくちゃいけないんだ」男は女性のチョコに対してかなり当たりの強い言葉で返答した。



チョコも怯む事なく言い返した。「そこに倒れている盗賊団を倒したの私達なのよ!」


「だったら」「お礼として教えてくれたって、構わないでしょ?」チョコは此処ぞとばかりに質問の手を緩めなかった…



「おい!女」「随分気が強いじゃないか」「…」「嫌いじゃないぜ」「いいぜ少しだけ教えてやる」

「俺たちは国の人間じゃあない」「もっと上だ」モジャモジャ男は空に指を差した。


「これ以上は無理だ」「とっとと家に帰りな」



チョコはふと思い出した。


「そうだった!」「私達ガーデンに行くんだ」「大会は明日だけど、受付は今日までだったはずよ」


3人は急に焦り出した。


それを聞いていたモジャモジャ頭は、他の黒服に指示を出した。


「おい!お前達」「アイツらにアレくれてやれ!」


すると黒服は黒い車からある物を出してきた。


「これをお前達にくれてやる」そう言って、見た事のない小型の二輪車を一台渡した。


「これはバイクって言って」「車と一緒でガソリンで動く」「今アイツらがお前に乗り方教えてやるから」「聞いとけ」



すると髭の男も話しかけてきた。「君たちはガーデンの格闘大会に参加するのか?」「君達の中の一人の誰かが早く到着すればいい」


「その一人が参加者の名前を名簿に書けば」「明日の大会にエントリー出来るはずだ」


「それと、受付時間が限られているはずだから」「早く此処から出たほうがいいぞ」


「親切にしてくれて嬉しいんだけど、そのバイクってやつ一人乗り?」「他の二人はどうするの?」チョコは、先ほどよりも赤スーツの男に丁寧に質問を返した。



「そんなの決まってるだろ」「野郎は走れ!」「走れば7時間くらいで、目的に着くぞ」


「なんで俺達だけ走るんだ」タロウとジロウは声を揃えて、文句を言った。


すると、モジャモジャ頭の男が厳しい口調で答えた「だってお前ら全然弱いだろ」


「少しは体力付けてから、大会に参加しろよ」


「……」痛い所を突かれた二人は、急にストレッチを始めた。



「いっちょやってみるか」二人は切り替えが早かった。



タロウ達がストレッチをしている間に、チョコは黒服からバイクの乗り方を教わった。


「じゃあ私達もう行くから」「色々ありがとう」「意外といい人で驚いたわ」「じゃあね」


チョコは、スーツの集団に手を振り。颯爽とバイクで、この場から駆け出していった。


『ブーーン』


チョコ達を見送る赤スーツの二人…「随分と優しく教えてあげたな」


「バイクも渡して」髭の男は、モジャモジャ男に問いかけた。「もしかしたら、アイツら俺達の後輩になるかもしれねーぞ」


「後輩のために人肌脱ぐのは先輩の務めだろ」


モジャモジャ男は、ドット団のボスの足を片手で持ち。ドスの体をグルグル回した。黒い車まで歩き、勢いよくドスを車に放り込んだ…




すると、最後に一言呟いた。



「もしかすると、奴らのうち。どちらかが’3人目’なるかもな…」

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