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クォーター  作者: トーニ
出会いの海
15/42

頼もしい仲間

エピソード2


少年には夢や目標がない…もうすでに叶っているんだ…


そんな彼には夢があった。13年住んでいたジャングルを飛び出し、自分の知らない外の世界に飛び込むことだ。


そして知らない世界で、人間の友達を作る事だ!


そして彼は、今まさに二人目の人間の仲間を作る事ができたのである。


しかし新しい仲間のサイゼは、タロウ達によって縛られ身動きが取れない状況にいた。そんな中、彼らに動きがあった…


「じゃあ縄を解くよ」タロウは、サイゼに縛ってある縄を外す許可をチョコにとった。


「いいわ」「好きにして」

チョコは、縄を解いたサイゼが逃げないか懸念していたが。タロウとサイゼの会話聞き、サイゼを信用する事を決めた。


「ところで、あなたが知っている『世界の秘密を知る人間』って何処に行けば会えるの?」


サイゼは難しそうな顔で答えた。


「師匠に直接会うのは難しいと思うぞ」


「あの人が住んでる島には港が無くて、一般の船は止まらないからな」「あと、手作りの船で行けるほど甘くないぞ」「かなりの時間が掛かるはずだから」


この世界の船は国が管理しているので、国に認められた港にしか入国できないのである。


「俺の角笛で、海の動物を呼ぶのは?」「それで、動物に島まで連れてって貰うのはどうだ?」タロウの所持している角笛のメロディーは、その音を聞いた動物がタロウの言う事を聴いてくれる様になるのだ。


「仮に動物で島まで行っても」「一回裏切った居なくなった俺と」「誰だか分からない二人が勝手に島にやって来ても」「追い返されるに決まってるさ」サイゼは師匠の性格を理解した上で二人にアドバイスをしてくれた。


「じゃあ前みたいに船を盗むのはどうだ?」


タロウは平然とルールを破ろうとした。


「ダメダメ」「そんな事したら指名手配されちゃうわ」「あと、あの時は、盗まれた船を盗んだから」「まだ許されるわ!」許されはしないが、この世界ではギリセーフな事例である。


「一番確実なのは、俺がスカウトされた大会に、お前も参加する事だ」


「運良く今年が開催年だからな」「うまく優勝できれば賞金1000万ゴールドも出るしな!」サイゼが考える最善策をタロウ達に提案した。



「よく考えてみてよ」「そんな都合よくスカウトが来るかしら?」チョコはごもっともな事を言った。


「大丈夫!確実に来るさ」サイゼは自信に満ち溢れた表情をした。


「スカウトマンの白装束は、3年に1回のこの大会を見に行く事が」「唯一の楽しみだって言ってたんだ」


「って事は、白装束に気に入られないと」「スカウトされないって事?」


「きっと彼ならセンスがあるから大丈夫だ」サイゼはタロウを指さして頷いた。

「まー」「やるしか無いわね」「もしスカウトがダメでもタロウくんとサイゼならどっちかが優勝できるでしょ?」



チョコは、優勝賞金の使い道の妄想を既に脳内で何回も繰り返していた。


「ちょうど1週間後にガーデンの街で大会が開催されるはずだ」「ガーデンへの行き方は、この町からソースの町まで移動して」「ソースからガーデン行きのバスに乗れば、この町から3日後には到着出来るはずさ」


サイゼは今後の3人の目的について話し合った。そして、改まった表情で語り出した…


「俺はまだこの町から出れない」


「え!?」「どうゆう事?」


「この町で仲間を持つよ」

「そして、今回の件を伝えるよ」


「そして騙したお金を町の人に返すよ」「全てが上手くいったら、改めてガーデンへ向かうよ」「だから先に出発してくれ」


チョコはサイゼの発言から、サイゼの気持ちを汲み取り。自分にした事を水に流そうと誓った。

「あなた!だいぶ変わったわね」「この一瞬で」チョコはニコッと笑った。


「お前達と会って吹っ切れたよ」「これからは今を大事にするよ」サイゼは自信なせげな猫背から背筋が伸び、晴れやかな表情の青年に変わっていた。



タロウとチョコはサイゼと別れて、武道大会が行われる街!ガーデンへ向かうことを決めた。



エピソード2 完


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