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モブ転生〜ザコで影薄くてトラブル体質だけど、種族値ボーナスと鑑定あるから何とかなるかもしれん〜  作者: やご八郎


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モブはレベルが下がった

 ◇◇◇


 セレーネの猫パンチならぬウサ蹴りは、思った以上の威力だった。


「ッつぉぉお……」


 なかなかどうして良いもん持ってるじゃねぇか……お嬢ちゃん。どうだい? おじちゃんと世界狙ってみるかい?


「……もう、恥ずかしいじゃない!! そういう事は気づいてないフリをしてこっそり知らせるものよ!」


 セレーネはプリプリと怒りながら、両手で顔を挟み込むようにして口元を拭っている。その仕草はなんというか全くウサギで、少し愛らしい。


「ご、ごめん。何でも言い合えるのが友達だと聞いたことがあって……」


「それもそうだけど、どんな言葉が返ってくるか期待した私の純情を返しなさいよ! あとアンタの名前まだ聞いてないし!」


 おっとそうだった。友人になったのだから名前を知らないのは不自然だ。名前名前……、あ。俺女の子になったんだったな。どうしよう。萌文じゃ変かな?? ああ!! 女の子の名前なんて萌香以外に急には思いつかん!! う〜〜ん……流石にそれはなぁ。


「なによ? もしかして、名前ないの?」


「いや、え〜〜っと、モエ……」

 

「トモエ? トモエっていうの??」


(トモエ……? (トモエ)……か。確か、蛇とか渦巻くって意味があったような気がするな。うん、それだ。それでいこう)


「うん、トモエ……巴だよ。これからよろしく、セレーネ」


「へえ〜、トモエか! うん、よろしく!!」


 セレーネと俺は、顔を赤くしてしばらく見つめあっていた。

 2人ともぼっちだからな。あ、もしかしてセレーネにとっても俺って初めての友人だったのでは……?


 そんなことを考えていると、急に目眩がした。


「あれ……? なんか……」


 ふらりと倒れそうになる俺に、セレーネが駆け寄る。


「トモエッ!? だ、大丈夫!?」


「うん、大丈夫。ちょっとふらついちゃっただけだから」


 何だろう。何だかものすごく気分が悪くなってきた……変なものでも食べたか?? いや、ウロボロスの腹がめちゃくちゃ頑丈なのは体験済みだ。じゃあ、なんだ?? バッドステータスでもついたのか??


 俺は慌ててステータスを確認する。


 ◇◇◇


 種 族:龍種

     邪龍ウロボロス

 性 別:雌

 名 前:トモエ

 状 態:空腹

 レベル:1(0/100)

 H P:120(1000)

 M P:50(1000)

 攻 撃:800

 防 御:300

 敏 捷:700

 技 力:400

 隠 密:600

 魔 力:500

 精神力:400

 スキル:「蛇牙」「丸呑み」「吐き出す」「マーキング」「鑑定.LV6」「ステルス.LV6」「空間認知.LV6」「温度感知.LV6」

 加 護:「天使ラブリエル」


 ◇◇◇


 ………ん? あれ? なんかステータス下がってね?


 って、まてまてまておいおいおいおい!!


 レ……レベルが“1”まで下がっている!?


 俺のレベルはどういうわけか最低値の1まで下がっていた。そして、HPもMPも殆ど無くなりかけていたのだった。


「ああ……」


 ──ふらふらふら……パタリ


「ッええ!? トモエ!? 大丈夫!? トモエ〜〜ッ!!」


 疲れからか、それともあまりのショックを受けたせいか、そのまま俺は意識を手放した。


 ◇◇◇

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