モブはう○ちしません女の子なので(自暴自棄)
◇◇◇
俺の性別発覚から半月ほど経過したある日──
今日も今日とて俺は苔を食べている。別に美味いわけではない。
単純に、この姿になってからというもの腹が減るのだ。ウサギを食べ尽くしてしまうと今後彼等が繁殖で自然に増えることができなくなってしまう恐れがあるため、アレからウサギは口にしていない。
ウロボロスの腹は思った以上に頑丈で、苔を岩ごと削り取って食べても全く問題はない。それどころか、排泄物一つ出てくることはない。オ〜ッホッホ、高貴な龍種はう○ちなんてしないのよ。もちろん、お○らなんかもしませんわ!
何とも不思議な話ではあるが、俺が口にしたものは基本的に全てが何かしらの栄養源として自分の身体に還元することができるらしいのだった。
とはいえ、俺の身体が全く何も老廃物を出さないかといえば、もちろんそうではない。お、きたきた。この感覚は……
──メキメキメキ……
俺の額にヒビが入る。首を捩ると、ヒビは頭を縦断するまでに大きく裂け、そこから新しい額が顔を出した。
続けてくねくねと身体を動かせば、剥けた表皮はスルスルと後方に向かって脱げていく。
俺が振り返って自分の身体に目をやると、そこには先ほど脱いだ皮よりも鮮やかな黒色の鱗が輝いていた。大きさは、特に変わった感じはしない。
これはそう。いわゆる脱皮というやつである。俺はこの数日、脱皮を繰り返しては試行錯誤を重ね、着々とこの作戦を決行する準備を整えていた。
(よし、これまでで一番綺麗に剥けたな……まだ柔らかいうちにやらないと……ここからは時間との戦いだ)
俺は自分の抜け殻の中へ頭を突っ込むと、喉の奥から先ほどまで飲み込んでいた苔と、咀嚼して泥のようになった岩を吐き出してはせっせと流し込んでいく。
◇◇◇
──数分後
(完璧だ。これを使えばあいつを捕まえることができるぞ……)
ギャォオオオオオオオオオーーーン……
作業が終わると、俺は転生以来一番の大声で咆哮した。
これは宣戦布告だ。
アイツ──はぐれ苔ウサギへの。
龍種から逃れられるウサギなんて居ないのだ。
だって龍がウサギに負けるなんて話、“十二支の逸話”以外に聞いたことがないだろう?
(待ってろよはぐれ苔ウサギ! 逸話よろしく、駆け比べじゃあ勝てなかったが、次は総合力で勝負だ!!)
俺は心の中でそう呟いた。
◇◇◇




