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モブが女の子だった件について

 

 ◇◇◇


『あ、はーい。メスであってますよ〜』



(はーい、あってますよ〜。 じゃないよ! え……ええ?? 俺メスだったの!? 女の子だったの!? そんなこと一言も言ってなかったじゃんかよ!?)



 ラブリエルは何を今更という風に続ける。

 ああ、もしラブリエル(こいつ)が目の前にいたらぶん殴ってしまいそうだ。



『あれ〜〜?? 説明してますよね?? ウロボロスは死の直前に()()()()って』



(いや! 言ってたけども!!)



『それに、その情報は初めてステータスを開いた時から入ってましたよ〜? あ、もしかして!! 萌文様ったら変な言いがかりつけてラブちゃんに何かいやらしいサービスをおねだりしようとしてますね!? いやんいやんです! それに私達は既に女の子同士……』



(ちっげぇよ!! 変な妄想やめれ!!)



 ラブリエルからさらりと告げられた事実に、俺はいつの間にか性転換していたことをようやく自覚した。いや、さっき迄はもしかしたら雌って書いてオスと読むのかな〜なんて思ってさえいたのだ。生前漢字はあまり得意じゃなかったし……だがそんな期待はアッサリと消えてしまったが。


 とはいえ見た目は龍だし、そこまでヘビーな事ではないのかもしれないが……ヘビだけに……。 いや、笑えねぇよ!!



『いいじゃないですか〜。それに、かなりの美人さんだと思いますよ〜?』


 龍種の美醜はよくわからないけど、もしかして俺は今後、他の龍種に会ったらキュンキュンしてしまったりするのだろうか? おおお……考えるだけで何か悪寒が……



 ──……はッ! 



 こうしてる場合ではないのだ。貴重なヒントタイムは有効に使わなければ……



(わかった、とりあえず確認したかっただけだから。いったんこの話はここまでで置いておこう)



『はいはい、他にもあるんですか? あとちょっとだけですよ?』 


 ラブリエルは仕方がなくとでも言いたげなトーンで応える。



(オーケー。それが、はぐれ苔ウサギのことなんだけど、どうしてすぐに逃げられるんだろう? 俺は隠密値も高いしステルスだって発動させてるのに……)



 そう問えば、ラブリエルの答えは簡潔だった。



『ああ〜、それは音のせいですね。ウサギの耳はいいですから』



(……音? ……!! エコーロケーションか!!)



 答えを聞いてみると、なんとも簡単なことだった。


 相手はウサギ。ウサギといえば耳だ。つまり、俺は自分の居場所を大声で叫びながら動いていたのである。そりゃ逃げ出すよなぁ……。



『モブウサギさんにも聴覚強化のスキルがあったと思いますが、はぐれ苔ウサギは臆病なので基本的に聴覚強化をカンストさせています。つまり、萌文様の発した(エコー)は彼らの耳にしっかりと届いていたのですよ』



(なるほど、その情報は極めて重要だった。ありがとうラブリエル。ちょっと作戦を練り直してみるよ)



 俺はラブリエルに礼を言う。



『いえいえ、おチカラになれて嬉しいです〜。あ、そろそろ時間ですね。では、はぐれ苔ウサギを倒した後にお話できるのを楽しみにしています〜〜』



 ラブリエルの声が遠くなっていく……



『ふう〜〜女の子にしちゃった件。うまく誤魔化せて良かったぁ〜〜』



 …………



(………え、いまなんか──)



『ッえ!? いやん!! 萌ふm ──ブツン




 あ……あの天使(おんな)……



 いつか絶対殴ろう。生前女は殴らない主義だったが、いまは()()()()()だ。ちょっとした戦争(スキンシップ)の範疇だよね? ふふふ。



 俺にまた一つ新しい目標ができた。



 ◇◇◇



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