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戦闘狂世界を渡る。  作者: 南十字
3章 [魔王を探して]
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三十八話 修行

 妖狐族の里に来てから一夜明けた。



 朝起きて身支度をしていると、天様が話しかけて来た。


「貴方、名前は?」


 そうか、まだ俺の名前を伝えて無かった。


「焔木延治と言います」


「あらぁ、いい名前ね」


「ありがとうございます」


「それで貴方、強くなりたくない?」


 手をパシッと合わせて言ってきた。


「強く、ですか?確かに強くはなりたいですが…」


「それなら私が貴方に妖術を教えてあげるわ」


 と言う訳で、修行が始まった。






 天様は普段の蕩ける様な口調ではなく、しっかりとした口調で話す。


「では、まずは妖術の種類よ。昨晩も言いましたが、妖術には幾つかの種類があるの。

 炎、氷、雷、風の四種類。更に身体強化や個人特有の能力があるわ」


 そして、と続ける。


「妖術は魔法の仲間の様なものだけど、魔法より制御や火力、速攻性などがあるわ」


 内容は昨晩と同じ様な内容だった。


「まあ、聞くより見る方が分かりやすいわよね」


 そう言って手を前に突き出す。



 手の上から白い冷気が流れ出す。


「私の得意とするのは氷よ。炎とは真逆だけど、温度は関係してるから感覚を掴めれば簡単よ」


 やってみて。と付け足す。



 早速試しにやってみる。



 取り敢えず炎を出してから、炎とは逆に力を根底に沈める様に込めてみる。



 普段炎の温度を下げるのと一緒だ。



 それでも上手く出来ないので、力の密度?を下げてみる。



 気圧が下がると気温が下がる様な感じに。



 手の上に出ていた炎が消え、手の周りの温度が下がった様に感じる。



 そのまま続けると、手の周りに露がつき始める。



 そして、その露が凍り冷気が流れ出す。


「やっぱり上手ねぇ」


 それまで静かに見ていた天様が話しかけてきた。


「ありがとうございます」


 素直に感謝を述べる。



 やっぱり新しく出来る様になるのはある程度楽しい。


「冷気が途切れてるわよ」


 手元を見てみると、冷気が途切れて凍った露だけが残っていた。



 やはり、炎とは真逆の事をするのでかなり集中が必要だ。


「まあ、取り敢えずは出来たわねぇ。慣れるのはまた後よ。次は風。これは恐らく無意識でやってるわ。炎の制御にも使っているもの」


 成程、炎を相手に飛ばすにも動力が必要だからな。



 炎を出さずに飛ばす感覚でやると、前に突き出した手元に風が集まり、想像通りに風が吹いていった。


「まあ、風は初歩の初歩だからねぇ。次は雷よ。これはかなり難しいわ。妖力と妖力を擦り合わせるような感じねぇ」


 これは妖力同士で摩擦の様な者を起こしてやるのかな?



 妖力を二つに分け、それを擦り合わせる様にしてみる。



 しかし、雷は起こらない。


「雷は難しくて私でも出来ないわ。私もやり方を聞いただけなのよぉ」


 妖術のプロでも出来ないのだ。ちょっとやそっとじゃ出来ないのだろう。



 それこそ、才能と努力の賜物だ。


「ひとまずは氷に慣れましょうねぇ」


 それから、修行が本格的に始まった。


「じゃあ、氷を簡単に出せる様にしましょう」


 そう言って、天様が歩いていく。



 何処に行くのか疑問に思っていると、急に天様が立ち止まった。


「それじゃあ、あれを凍らせられるようにしましょうねぇ」


 天様が指差した先を見てみると、大きな池があった。


「え?凍らせるって一部ですよね?」


 恐る恐る聞いてみる。が、帰ってきた答えは絶望だった。


「違うわ。全部よ」


 無理だろ!こんなでけぇ池!

 直径五十メートルはあるぞ!?



 心の中で愚痴る。



 深さが三メートルだとしても千八百七十五立方メートルだぞ?

 そんなんどれだけ時間かかるんだ?


「無理だと思ってるでしょうけど、貴方の炎だったら一瞬で蒸発させられるでしょぉ」


 言われてみれば……頑張るか。

読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字などありましたら教えて頂ければ幸いです。

感想や評価などお待ちしてます。

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