二十四話 無謀
王様から大金を貰った次の日、俺達はギルドの中にある訓練場で、複数のパーティーと対面していた。
なぜそうなったかというと……
俺達がギルドに入ってすぐ、複数のパーティーが俺達に殺到した。
理由は、魔王の幹部を倒した奴と手合わせしたい。とのことらしい。
実を言うとそろそろ国を出たいと思っていたので、今日は旅にむけて準備をしたかった。
だが、旅の前の思い出になるだろう。と思い了承して今に至ると言うことだ。
最初は男五人の脳筋パーティーとの手合わせだ。
五人とも筋骨隆々で、武器も大剣や戦斧などだった。
俺達三人でやると流石につまらないので、一人で一パーティーの相手を順番にする事になった。
それを挑戦者達に伝えると、舐められていると思ったのかキレてきた。
なので俺も
「それなら俺達を倒してみろよ」
と煽ってみた。効果覿面で、今いる五人も殺気立っている。
その五人と戦うのは、ジャンケンで決まったホムラだ。
早速ホムラが五人と向き合う。
「おい!舐めてんのか!?ぶっ殺してやる!」
五人はキレ散らかしていてうるさい。
「うるさいなぁ。ホラ、始めるから構えて」
そう呼び掛けてやる。渋々といった感じだが、構えている。
「用意、始め!」
その声と同時にホムラが踏み込む。
余りの踏み込みに、地面が窪んでいる。
そのホムラの速さに、男達は反応出来ずにいた。
ホムラが一人の男に攻撃をしてから、男達はホムラが踏み込んだことに気付いた。
一人が倒れ、もう一人も攻撃を食らっている。
すでに立っているのは三人になっていた。
二人を倒したホムラを大剣が襲う。
頭上から振り下ろされた大剣をホムラが軽く横に避け、更に横から襲ってきた戦斧をしゃがんで避ける。
二人の男は武器が重いため、少しの隙が出来た。
その隙に、ホムラが攻撃を差し込む。
まず、しゃがんだ状態から身体を伸ばす勢いと共に大剣持ちの顎にアッパーをくわえる。
次に、振りかぶった状態の戦斧持ちを右足で蹴り飛ばす。
吹き飛んだ男は、後ろに居た男にぶつかり倒れた。
「ホムラの勝利」
一戦目が終わった。
二戦目は、前衛三人と後衛二人のバランスの取れたパーティーだ。
この試合はルージュが戦う。
「用意、始め!」
開始と共に、前衛三人が走り出す。
ルージュはというと、静かに手のひらを上にして前に突きだしていた。
手のひらの上には血が集まって球が出来ていた。
手首を回して手のひらを前にすると、血の球が勢い良く飛んでいった。
前衛の一人が盾で受け流そうとすると、急に球が弾けて広がり纏わりつく。
纏わりつかれた前衛の一人は、振り払おうと必死に踠いていたが、急に膝を付いて倒れた。
纏わりついていた血は、集まって矢じりの様な形になっていた。
その血の矢じりは高速で飛翔し、前衛二人の間を通過し、後衛の一人に当たった。
途中で形状を丸く変えたので貫通はしなかったが、気絶をするには十分な威力だった様で、後衛は倒れた。
残りは三人。
ルージュは血で腕を作って残りの者達を攻撃した。
これまでの攻撃はデモンストレーションとでも言うような鞭のような苛烈な攻撃に、残りの者達も一瞬で倒れ伏した。
「ルージュの勝利」
続いて三戦目、俺の出番だ。
俺の腰には、俺の愛刀と、愛刀を模した木刀が差してある。
これは以前、訓練用に鍛冶屋の人に作ってもらったものだ。
俺の相手は、身軽な斥候が三人集まったパーティーだ。
「用意、始め!」
開始と同時に三人が向かってくる。
俺は居合いの構えで待ち受ける。
一人が炎の球を放ってくるが炎で防ぐ。
一人が俺の攻撃範囲に入る。
下から短剣が襲ってくるが、それよりも速く抜刀、横一文字に攻撃する。
相手は気絶したが、他の二人が構わず攻撃してくる。
残心した状態から木刀を頭上に持ってきて振り下ろす。
が、それをバックステップで躱される。
それを読んで踏み込みながら振り上げる。いわゆる燕返しと言うやつだ。
振り上げた木刀は、胸と顎に当たり倒れる。
動揺したもう一人をそのまま左足で蹴り飛ばし終了。
「エンジの勝利」
その後も沢山のパーティーと戦い勝利した。
終わった頃には日も傾いていたので解散になった。
訓練場は気絶した冒険者が倒れていた。
それは死屍累々という様な有り様だ。
そんな様を見て、俺達に鏖殺の赤鬼と言う二つ名が付いた。
誰だ絶妙にダサい二つ名付けた奴
読んでいただき有り難うごさいます。誤字脱字などがありましたら指摘していただければ有り難いです。
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