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獣肉が禁止になったなら人肉を食べればいい  作者: 翠水晶
第一章 依頼仕事編
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第八話〜Reprisal 後編

「愛海ちゃん……、俺のこと怖くないのか? 人殺しのサイコパスだぞ? それに……」

 彼女に男とバラしてしまったようなものだ。

 彼女に罵られるかもしれない。だが、それはそれで痛くも痒くもない。

 なぜならあと2人殺せばこの学園の人達とはもう関わらないだろうから。


「ううん。三美華ちゃんは三美華ちゃんだよ。男だから何? 助けてくれたじゃん。それに……わかってるから。三美華ちゃんがやましい気持ちでこんなことしたんじゃないって」

「でも……三美華は偽名……」

「いいの。私にとってあなたは三美華ちゃん。佐藤三美華ちゃんなんだよ!」


 愛海が神々しく見える。

 『やっぱり彼女は、こうでないと』と思った瞬間、矢が飛んできた。


「危ない愛海ちゃん!」


 背中に食らったか、だが痛みはそれほどない。


「おかしいですね。貴方の忌子を狙ったんですがね」

「別にいいわ。そこのボーイフレンドちゃんに当たったんだもの」


 そこに現れたのは、眼鏡をかけた三つ編みの少女、学級委員長の白雉(はくち)美鈴(みすず)と、黒いワンピースを着た悪魔的な女性、愛海の毒母、愛坂舞だった。



「お前らが……あと2人か、仕留めてやる……」


 あれ……? なんか身体が痺れて、手足の感覚が無い。


「矢に麻酔薬を塗っておきました。結構濃くしたので、全く動けなくなるかと思いましたが……」

「三美華ちゃん……! ごめんなさい! 私を庇ったせいで……!」

「大丈夫だよ、愛海ちゃん。すぐ終わらせるって」

 とは言っても手足の感覚ないし、動かせないし、ほぼ詰みなんだけどな。

 スマホで助けを呼ぶことも敵わ……あれ? 俺のスマホどこ行った? 

 手を使えなくするならスマホを盗るなんて二度手間だぞ? まさか連携下手か?


「威勢のいい彼氏を持ったのね。憎いわ、忌子のくせに! 失敗作のくせに!」


 『失敗作』という言葉が煌星の頭をよぎる。


「てめぇさ、人をモノ扱いすんじゃねぇよ!! 忌子ってなんだよ!! 愛海は本当はとっても女神みたいで……」

「あら? 何もできないのに口だけの子なの? 可愛いわね。でもね、立場を弁えたらどうかしら!」


 美鈴の矢が煌星に命中するが、麻酔の効果で痛みを感じないようだった。


「やめて! やめてください! 三美華ちゃんを……傷つけないで……私が! 悪かったから! 私を……殺してください。でも、三美華ちゃんは見逃してください……」

「バカかよ……! 俺よりお前の心配しろよ。矢ぶっ刺さってるけど、痛くはねぇよ」

「それは麻酔薬の効果です。貴方の身体にダメージが入ってることに代わりはありません」


 やばい、俺は動けない。愛海に戦闘能力はないし、戦意もない。俺の人肉調理器具(レイジ・クトー)は俺以外が使うとゴミカス威力だ。

 どうすればいいんだ……


「安心なさい。可愛い坊やだけは助けてあげる。でもね、この忌子だけは殺したいのよ! せっかくいじめられてるって聞いてたのに! 私は男の子が欲しかったの! 女装趣味があっても構わない。貴方みたいに強い意志を持った! 素敵な男の子が!」

「ふざけんな! 愛海もちゃんと……」

「あのガキは矢が当たるどころか、見ただけでオドオドするヘタレよ! さ、来ましょ?」


 舞が煌星を攫おうと近づくが、石が舞の方向に飛んだ。


「私の……たった1人のお友達に! 手出さないで!」

「愛海ちゃん……!」


 バカ愛海! 嬉しいけど、早く逃げろよ。


「このガキ、調教し足りなかったのね、いいわ、今度こそ殺してあげましょ」

「はい、矢は残り3本ですよ」

「大丈夫よ、貴女は弓道部なんでしょ?」

「エイムの意味ではなく、血を流させる目的で使うのは難しいということですが」


 矢は愛海の脚を直撃した。


「愛海ちゃん! 大丈夫!?」

「大丈夫、少し、痺れるけど」

「いいわね、友情、いえ愛情かしら? バカップルな貴方達、ぶっ壊したくなるわ、どっちの愛が強いんでしょうね? 愛が弱い方を拷問して、もう片方のことの精神をぶっ壊してあげたいわ!」

「俺は愛海に惚れてない。やるなら俺にやれ」

「馬鹿な子ね、愛と惚れるは別よ。思いやりの心よ? つまり貴方の方が愛が強い」

「やめろ!! 愛海はなんも悪く無い!!」


 舞が愛海を殴り殺そうと、愛海に馬乗りになる。

 美鈴は冷ややかな目で、煌星は後悔と懇願の目で、そのやりとりを見ていた。


「やれやれ、冥王星の使者である、我の助けが必要か? 姫様」

「そのバカ発言のせいで、締まり悪いんだけど? 三美華ちゃん! ギリ間に合ったって感じかな?」

「藍美ちゃん! 桃ちゃん! なんで?」


 やった! 三美華ちゃんのスマホで助け求めてて良かった! 三美華ちゃんのお友達……来てくれた!


「何故か? 姫が召喚したのではないのか?」

「えっ? 私知りませんけど?」

「ごめんなさい! 私が勝手に!」

「いいのだ、木星の寿命と引き換えに許してやろう!」


 惑星の寿命軽くねぇか? ってか太陽系外縁天体にも手出したのかコイツ。


「しっかし、なんでボウガンなんて物騒なもんを…、桃ちゃんはスタンガン!? なんで!?」

「襲われてるって書いてあったから、自衛用の物を各自で持ってきたの」


 なるほど、これなら麻酔切れるまでの時間稼ぎ、いや、むしろ勝てるかもしれない。

 まさか、愛海ちゃんに助けられるとはな、俺もまだまだ未熟ってヤツか。


「じゃあ頼んだよ! 2人とも!」

「任せておくがいい、魔眼を持ちし我に」

「頼まれました!」

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