第一話〜四琴の集い
ビルとホテルの光が輝く繁華街にある虚虐教リーダーの自宅である林邸に1人の人間が辿り着いた。
「お邪魔しまーす! あれ?1番乗り?」
彼は霧咲 煌星『虚虐教』の最高幹部に当たる『四琴』の1人である。
「おう、1番乗りだぞ。というかそんなかたーい格好で来なくていいんだぞ?」
こちらの藍色のフードを被った男は林 叶夢。同じく『虚虐教』の最高幹部に当たる『四琴』の1人にして、リーダー兼創設者だ。
「えっ、ゴスロリって堅い格好だった?」
「白と黒は大体堅い格好だろ」
「ふーん……可愛いと思ったのになぁ……」
煌星が落ち込んでいると2人の人間が林邸にやってきた。
「よっしゃ! 俺が1番だ! ヒャッ……ハー……あ……」
この斧を持ったチャラそうな男は千歳蒼羅こちらも『四琴』の1人である。
煌星がドヤ顔で手を振っているのを見てショックを受けているが……
「ダメだ…。握り心地のいい頭蓋骨がないなんて……あっ……もう着いてた?!」
頭蓋骨を右手で掴んでいる華燐な少女は藤川奈那『四琴』の1人であり、15歳という最年少である。
「みんな揃ったか、夕飯できてるぞ、今日は人肉チキンだ」
叶夢が出したのは人肉料理だが、鶏肉のフライドチキンと大差ない外見をしている。
「わー! 美味しそう! 食べたい! いただきまーす!」
「食うのはぇぇよ!? いただきまーす」
「……いただきます……」
「蒼羅と煌星にはいい酒も持ってきたぞ!」
叶夢が酒瓶を持ってきて煌星は動揺した。
「えっ? 俺十八ですよ? 大丈夫なんでしょうか……?」
「十八歳から成人って言うだろ、つーか改正されたんだ」
蒼羅がなんかイライラしてる…俺が1番乗り取ったからか?
「じゃあ遠慮なく! 初めての飲酒だー!」
「……。絶対泥酔しそうね……」
四十五分後、見事に煌星は酔い潰れた。
「亀ちゃん……い、一緒に寝よ? 寝よー♡」
ゴスロリ姿で酔い潰れる奴……初めて見た……
「いや、こいつ潰れんの早くね? そんな飲んでないだろ!?」
叶夢は煌星を担いで寝室に連れて行った。
「……あの子亀が好きなのかな……」
「あの子って呼び方……あいつ男だぞ」
奈那は驚いたようだ。
「……えっ!? あんな可愛いのに……?」
「外見で決めるタイプかてめぇは……」
奈那は頷いた、素直かよ。
「よかった……女の子じゃなくて……女の子は苦手だから……」
あー……そういやこいつは極度の女性不信だったな…煌星から離れてたのもそれが理由か。
そう考えていると叶夢が戻ってきた。
「君達も今日は泊まっていきな、もう遅いし」
「「ありがとうございます!!」」
その頃、煌星の寝言。
「えへっ、亀ちゃんの甲羅あったかぁい♡ 彼女出来たらさ♡ 義理の子供として可愛がってあげるよ♡」
「おはよっす! お? 今度こそ俺が一番!?」
蒼羅起床、時刻三時ジャスト、そりゃ一番だ。
「暇だなー……そうだ! みんなの寝言聴いてやる!」
まずは奈那。
「……大丈夫……私がいじめっ子を調理するから……泣かないで……」
めっちゃ良い奴じゃん泣いた。
次……というか最後は煌星。
「亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん!!!」
「のわー!?!?!?」
いや、なんだ今の……ビビって速攻でドア閉めたが……
「煌星は亀コンかよ……あっ! そうだ! 録音してやろ!」
しばらく経って、七時二十八分。
「……おはよ……寝癖直してくる…」
奈那起床。続いてーー
「おう、早いな、まだ寝ていて良いんだぞ?」
叶夢起床。しかし煌星はぐっすり。
「煌星まだ寝てんのか…起こしてくるか…」
「まだ寝かせてあげろよ…酒飲んでるから早くても九時に起こせ」
「俺は三時に起きました!」
「君みたいに慣れてるわけじゃないんだよ、初めて飲んだんだよ、早く起きるのは無理でしょ」
確かにそうだ。しかもかなりの泥酔状態。寝付きも悪かっただろう。
「……今日は何するの……?」
「そうだなぁ…とりあえず二人にはいらない人間の狩りを頼む」
「わかりました」
「……頑張る……」
「場所はーー」
今何時だろ……まだ十時半……寝よ……
「煌星……二人は狩りに行ったぞ〜」
えっ、早くね!? あのロリッ娘も!?
「起きまーす。それで俺は何をすれば?」
「花美澤女学院……そこでいじめがエスカレートしている。加害者は5名、いじめの内容はーー」
嫌な予感がする……
「そこで煌星には転校生として下校中のところを狩ってほしい」
「転校生……として……?」
女学院って言ったよな? 怖いなぁ… ヤンキー潰しの方が楽だなぁ……
「嫌なら、明日信者たちに回すけど……」
エスパーかよ、流石頼れる方だ! って思うけどご馳走したばかりで断るのは失礼だな……
「いいえ、やります!」
俺はいつものナイフを用意した。