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獣肉が禁止になったなら人肉を食べればいい  作者: 翠水晶
第二章 見回り仕事編
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第十四話〜狂言

 煌星は見回り仕事の継続。

 奈那は依頼仕事に戻った。


「1人だと会話なくて暇だな……」


 彼は1人で路地裏を回っていた。

 チンピラ等がよく湧きやすい場所だからだ。


「やぁやぁやぁ、よく当たる占いだよ。たったの百円で占うよ」


 うっわ、あんなの実在するんだな。こわ。

 ただ占い師コスプレはいいと思う。見た目で判断すると、年齢は俺より3つぐらい歳上か?


「はい! 占ってください!」

「はいよ。それじゃあ中へーー」


 オカルト好きだし、まぁロマンだと思っていくか。


「おっしゃー!! ネズミ飼うぞ〜」


 先程入った客が出てきた。

 煌星が占い師に話しかける。


「私も占って欲しいです」

「はいよ。中へどうぞ」



 中には水晶と2つの椅子、机等があった。


「では、まずこの書類に必要な個人情報を書いてください」


 占い師はそう言うと、紙とペンを渡した。

 紙には生年月日、年齢、性別、職業、血液型等を記入する欄があった。


「あの、この職業って書かなくてもいいですか?」

「ダメです。無職や学生でも必ず書いてください」

「ですよねー、わかりました」


「書き終わりました」

「ありがとうございます。これで占いに必要な材料が……、揃いましたね」


 彼女は職業欄を見て、口元を歪ませた。


「その椅子の鎖で、腕を固定しますので、少々お待ちください」


 飾りじゃなかったのか。

 なんで固定する必要がある? 演出か?


「ええと、腕固定する必要あります?」

「はい、邪魔されると困るので」


 そう言うと彼女は水晶占いを始めた。


「何が知りたいですか?」

「え!? 選択制!?」

「はい、複数知りたいなら1つ百円です」


 まぁ、それでも安いのか?


「そうですね……。やっぱり恋愛ですかね」

「わかりました。おやおや、どうやらお相手さんはお嬢様みたいですね」


 相手の予知までするのか……


「それに歳はあなたと変わりません。あなたは彼女を暗殺者から守り、結ばれます」


 まぁ守れるだろうなぁ……


「あくまで占いであって、確定した未来ではありません。あなたがすべきことは、彼女の使用人を信じないことです」


 となるとその子は使用人に裏切られるのか。


「わかりました。ありがとうございました」


 占い師は、鎖を外し、お代を貰う。



 ついに彼女が!! 

 お嬢様と恋人とか、どんな下剋上だよ?!


「ナイフを持った男が暴れているぞ!」

「警察に通報したらてめぇらを巻き込んで爆発してやる!! 大人しく死ね!」


 なんだあれ、自爆テロ……ではないか。

 ナイフよりも爆弾の方が殺傷能力高いのになぁ……

 まぁ、いっか、楽だし。


「こんにちはおじさん」

「あん!? なんだガキか。ガキは公園で遊んでろよ!」

「十八なんですけどねぇ?」

「知るか! なら勉強しろ!」


 なんだこのオッサン! だるすぎる!


「振り回すの危ないですし、あなたのナイフは殺傷能力が高くないです。爆弾の方が効率がいいかと」

「あまり舐めた態度とってると、てめぇから殺すぞ」


 ん? こいつの顔どっかで見たな……。坊主頭のぽっちゃり。

 まぁ、いいや。

 こいつを止めればいいんだし、余裕だな。


「運が悪いな、俺は虚虐教の人だ」


 静寂に包まれる中、オッサンは


「だからどうした! 俺は巨漢! てめぇは女のガキだ! 俺の勝ちは決まってんだよ!」

「俺は男だよ、オッサン」


 煌星の速さについてこれないオッサンは、ほぼずっとキョロキョロしていた。


「遅い。動体視力どんだけ低いんだよ」

「うるせぇな! ちょこまかちょこまか逃げ回りやがって! 男なら正々堂々とやれ!」

「爆弾という切り札用意してるオッサンに言われたく無いよ」


 そう言うと、爆弾ベルトを切り離す。


「これで正々堂々とかというやつだな」

「クソガキがぁ!」


「今だ! 取り押さえろ!」

「誰か拘束具を!」


 煌星の速さに疲れたオッサンは、周りの人々に取り押さえられ、駆けつけた警察に逮捕された。

 


 その頃、例の占い師は。


「昨日のカモが捕まってるじゃん。ま、私の占いの後にあんな手紙送られたらね……」


 1人の女が、占い師の元へ訪れた。

 彼女は光沢のある茶髪で、二十代後半と見られる。


「私の怪文書どうよ? 上出来だった?」

「バッチリだったよ、『第参弦』。今日見つけた虚虐教の幹部の子が処理してくれたね」

「職業と名前、外見だけで特定した気はやめなさい」

「事実だし、ちゃんとネット検索かけて、完全一致したから特定した気でいるんですが? 文句は?」


 茶髪の女は降参し、煌星の個人情報を吟味した。


「この子どうする? 生捕にする? 処刑する? それとも遊ぶ?」

「生捕と遊ぶはある意味同じだよ。あの子を捕らえれば、私たち『人徳(じんとく)教』としては、美味しい道ち行くんだし」

「そーね。あいつらのせいで自殺もいじめも激減したしね〜」


 占い師は着替え始めた。

 水色の髪の彼女が銀色のローブを羽織ると、茶髪の女が尋ねる。


「狂言作戦続けんの? 獲物は見つかったけど」

「まだ捕まってないカモがいるから、そいつら終わってからね」

「んじゃ、ちょっくら散歩行ってきますわ」

「いってらっしゃい。私は証拠隠滅しておくね」


 茶髪の女は、煌星をどう苦しめるか、考えながら歩いた。



 

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