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獣肉が禁止になったなら人肉を食べればいい  作者: 翠水晶
第二章 見回り仕事編
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第十三話〜怨嗟の刃と交差する炎刃

昨日は暑すぎて起筆できませんでした。

 煌星は地形を生かした。

 林という狭い場所で、インフェルノの刃はとても扱いにくい。


「速いな。前の娘といい、ワクワクさせてくれるな」


 対してインフェルノは、自分の武器の機能を生かした。

 狭い場所では扱いにくいが、2つに分けることができる。


「おいおい、二刀流かよ」

「これくらいで驚くな。まさかビビっているのか?」

「んな、まさか。イージーモードからノーマルモードに変わって安心したんだよ!」


 煌星は木々の間を駆け巡り、好機を見つけ出しては攻撃態勢に入る。

 対してインフェルノは深追いはせず、冷静にカウンター。その後、煌星が追われる側になる。


「あっぶな! 二刀流って本当に心臓に悪いな!」


 煌星が心臓に迫る刃を防いだ直後に、もう1つの刃が肋を掠った。


「いや、スレスレで避けれるのはかなり凄いぞ? 前にやった娘以外は避けることさはできなかったんだから」

奈那(あいつ)はそんなすぐ終わるタマじゃねぇよ」


 煌星は相手が格上と確信した。

 彼の攻撃が全て余裕で防がれているからだ。


「涼しい顔で隙をついたはずの攻撃防ぎやがって……。なんか精神的ダメージ入るんだけど!」


 やばい! そろそろ疲れてきた。


「殺し屋が焦ったら様にならないだろ?」

「それもそうだが、よく疲れないな」

「お前は疲れているのか?」

「ご想像にお任せするよっ!」


 煌星は体力が奈那の半分未満だ。故に、長期戦だと不利になる。

 彼は、スピードを上げ、四方八方から斬りかかった。


「なかなかやるな。だが息が上がってるぞ」


 バレたか……


「うる……せぇ……」


 煌星のスピードが落ち、彼の脚が痙攣する。


「まさかもう終わりか?」

「……まだに決まって……る……だろ」


 彼は荒い呼吸をしながら、倒れ込んだ。


「……退屈だっ……たか?」


 自分の弱さを悔やみ、奈那のことを諦めかけると、予想外の返事が返ってきた。


「十分だ。短期決戦タイプだからといって退屈になる訳がない。作戦を教えてやるーー」



「まだ認めないのか!!」

「……認めるも何も! 本当にやってない!!」

「わかった、そこまで言うなら裁判だな。重い刑罰を楽しめ」


 警官が取調室から出ると、面会に来ていた煌星がいた。


「なんだお前は?」

「奈那ちゃんの面会に来たんですけど……」

「あんなサイコパスにも人望あったのか、意外意外」


 煌星は憤りを感じたが、耐えることにした。


「面会は大丈夫でしょうか?」

「あのガキは、人殺しをして、遺体を灰にしたんだ。あぶねぇからやめとけ」


「それは俺の専門分野じゃねぇか。俺以外にそんなことするやつがいるとはな」

「てめぇは……!」


 奈那を床に転がし、踏みつけているグレーの服を着た男が窓から侵入していたのだ。



 煌星は作戦内容を聴いていた。


「まず、お前が面会の話をあのクソ警官に持ち込み、気を逸らす。俺が隙をついて侵入して、あの娘を踏みつける」

「なんで奈那を踏みつける?」


 説明中の彼は少し苛立つ煌星を説得するように。


「踏みつけるのは仲間(グル)だと思われないようにだ。思われた瞬間。この作戦は失敗になるからな。んで、踏みつけた後に警官が俺の二つ名を口にしたら仕留めたら、他の警官が駆けつけると思うから、お前は俺を撃退しようとしろ。それで俺が引き上げる。これでどうだ?」

「わかった。なんかどっかの御伽噺でもあったな。そのヤラセ」

「ヤラセか作戦はイコールだろ?」



「なぜ『交差する炎刃(クロス・インフェルノ)』がここに!?」


 警官は動揺し、すぐに殺され、灰になった。


「さぁ、やるか」


 そしてすぐに、彼と煌星のヤラセが始まり、5秒後に他の警官が駆けつけた。


「これは何事だ?」

慶雲(けいうん)さんが……やられている!?」

「まさか、あの『交差する炎刃(クロス・インフェルノ)』がこんな近くに……」


 彼らが奈那を安全なところへ避難させ、煌星に言葉をかけた。


「そいつは殺し屋です! お嬢さんが止められるような人じゃありません! 危険です!」

「大丈夫ですよ。俺は虚虐教の人なんで」

「おお、あなたが。それならいけるかもしれない!」

「さっきの容疑者は冤罪だったっぽいな……」


 警官達が関心すると、作戦は終わった。


「あっ! 逃げたぞ!」

「ありがとうございます! 命拾いしました!」

「二つ名付きの殺し屋を退けるなんて素晴らしい!」



 これで奈那は釈放され、林邸へ向かった。


「……ごめんなさい」

「なんで奈那が謝るの? 爆睡かましてた俺が悪いだろ」

「……私が負けたから、警察に捕まって、心配かけた……」


 煌星は、涙を垂らす奈那の頭を撫で、暖かく返事をした。


「ううん。俺でも負けてたし、奈那は大切だから心配かけられたくらいどうってことないよ」


 ありがとう。煌星お兄ちゃん。



 2人が帰宅した頃、時刻は夕方の5時を過ぎていた。


「おかえり、2人ともどうしたんだ?」

「宿泊したら無一文だった件!」

「ふぁ? 無一文!? スリか?」


 奈那は『スリだったらまだマシだったかも』と思った。


「すみません! ホテル代です! 近くに高いホテルしかなくて……」

「所持金全て使ったのか!?」

「はい……。すみません本当に」


 煌星が反省していると、叶夢に十万円を渡された。


「えっ? なんでですか?」

「無一文は問題あるだろ? それに、見回り仕事は1週間あるからな」

「ありがとうございます! 次からは普通のホテルを選びます!」


 奈那は歳下を見る目で、煌星を見つめた。


 

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