薬草師が作った媚薬を風邪の薬と間違えて飲んで妹と間違いで浮気し、妊娠させたからと言い訳する婚約者に婚約破棄をしてくれと言われとっちめる姉のお話
「媚薬を間違えて飲んだのが浮気の原因ですって?」
私はメリッサ・アークライン、公爵の長女であり薬草師です。
薬草師とは国指定の薬を扱う職業で、素養がいるので数が少なく、国内で十数人しかいません。
私は国内の辺境の流行り病の調査にかりだされ、三ヶ月で王都に戻れば、婚約者の王太子に土下座され、妹と浮気して、あの子が殿下の子を妊娠したと言ってるから婚約破棄してくれとお願いされています。
「媚薬なんて伝説のみのものでしょう」
あほな言い訳だと思ってましたが、国に仕えた薬草師がいにしえの文献とやらで面白半分に作ったもので、効力はあるとかなんとか。
その媚薬を殿下に風邪の薬と間違えて渡して、たまたま目の前にいた婚約者の妹とそのあのなんとかまぁ。
信じられませんわ。
たぶん口裏あわせと思いましたわ。だって片方の眉毛ピクピクしてますし、これ嘘をつくときの殿下の癖ですの。
「その文献まだありますの?」
「いやもうないと聞いたが」
私は薬草師を呼び出させ、どの文献を見たのか詳細に聞き出し、しどろもどろで答えた文献の名前を探して見つけ出し再現することにしましたわ。
「出来上がりましたわ」
私はみなを集めてにこりと笑い、瓶に入った媚薬を見せました。再現なんてできるわけがないとか思ったんだろうですが作りましたわよ。
五百年も前の眉つば文献とか口裏あわせてだしたのが運のつきですわよ。
「いやしかし」
「効力は1ヶ月程度ですが、たしかなものですわ、そうですわねぇ、検証のためどなたか飲んで見てください」
私は妹をみてにっこりと笑うと震え上がる妹、殿下もです。
私は殿下、ほらとにこりと笑い差し出しましたわ。飲んだあと目の前にいる人に恋しますの。
「そんな怪しいもの飲めるか!」
「でもこれのせいで妹とあんなこととかされたんですわよね?」
「いやでも」
「効力を確かめないといけませんわ、ほら殿下、宰相様が目の前におられますわ、実験に協力してもいいと…いわれてますわ」
宰相様がにこりと笑います。孫くらいの年齢の殿下に恋されるとかわくわくするとにやりと笑われましたわ。私がそれをみてまた笑うと、すまんと殿下がまた土下座されましたわ。
そして私が留守の間に妹と浮気したことを告白しましたの。
さすがにやり手と言われるおばあさま宰相と恋に落ちるとかいやでしたのね。
妹と浮気して妊娠させたのでなんとか言い訳を考えてあんなバカな茶番をしたというのを告白させましたわ。
はじめからわかっていて陛下にお許しをえてみんなであんなバカな茶番をこちらも演じましたのよ。媚薬なんて作れるわけないのですわ。あの薬草師程度のうでならですけどね
「これどうしましょうかね」
私はさすがに妊娠した妹がいるので、罪を贖わせようという陛下に進言して、殿下を廃嫡、妹の公爵の娘の地位を取り上げるという程度で許してあげることにしました。二人で辺境に送られましたわ。
両親に頼まれたのでしぶしぶですわ。さて、この手元にある媚薬をどうしましよう。私は再現してしまった媚薬を手にため息をついたのでした。
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