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LAST NIGHT   作者: 瑞希
15/32

道中

俺は女に声をかける。

「おい、行くぞ。」


女はスクッと立ち上がり、土を払いながら答える。


女「その前にこれだね。」


女は紫の小瓶を俺の前に見せる。

そして小型の注射器でほんのわずか紫の小瓶から液体を吸い取り、俺の口元に近づける。


俺はなんとなく意味がわかった。

適合率を上げて逃げろということなんだろう。

黙って女の動きに従う。

口を開けて、甘いような苦い液体を飲み込む。


ドクンッ

身体が熱くなる…

鼓動が全身から聞こえるかのようにうるさく鳴る。

この感じだ。

身体の動きやすさが格段に上がる。

爪が鋭く光り、全身の毛量が増える。


俺は女にこう言い放つ。

「今ならこっちの方が早い。乗れ。」


女はスタスタとこちらに歩いてきて、こう俺に聞く。


「どこにつかまればいいの?」


俺はため息を吐きながら、ひと言放つ。


「滑って落ちてかないように胴体に手を回せよ。」


女は俺の上にまたがり、胴体にしがみつく。

その瞬間から俺は全速力で街の方へと走る。

まずは安全場所の確保と武器の調達だ。


ビュンビュンと風を切る音が鳴る。

女は飛ばされないように必死にしがみついている。


山道を下り、道無き道を突き進む。

途中、綺麗な湖に出る。

辺りを見回しても誰もいない。

水を補給しよう。

俺は立ち止まって、女を降ろすと湖に向かって歩く。

走ったからなのか、身体が暑くてたまらない。


俺は湖にバシャバシャと入っていってみる。

女も暑かったのか、水を飲んで一息ついている。


ふぅ…水浴びをしてさっぱりした俺は体を震わせ水を飛ばす。

女も少し休憩出来たようだ。


さぁ、再び走り出そう。

まずは街へ行くのが先決だ。

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