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LAST NIGHT   作者: 瑞希
10/32

星空の中に

夕陽の照らす中、女はザッザッと風を切って歩く。

そして、3時間ほど歩いた時に見えてきた景色の中、森が崖のようになっていて、その向こうに一際ひときわ目立つ建物があった。


それは真っ白で、100階以上ありそうな病院のような建物だった。

周りには公園や、少しだけ街のようなものが見える。

この森はどうやら街からは少し離れた高台にあるのだろう。

見渡せばそこから湖のようなところがあるのも見える。


俺は森の中で武器になりそうなものを探す。

折れた枝、毒を持ちそうな薬草。

そこで俺は気づいた。

この女なら…

そして女に問う。


「この森の中に使えそうなものは無いのか?」


女は振り返って、少し戸惑った様子で俺に答える。


女「私も本とかでは見たことあるけど、外にでたの久しぶり過ぎてわからないの。

だから本の知識が本当かどうかは知らないけど、回復薬の元ならここにあるよ。」


ブチッ…

足元に生えていた手のひらのような形をした大きな葉っぱを1枚ちぎって俺に見せた。


俺はその葉っぱを受け取り、匂いを嗅ぐ。

あ。これは…あの回復薬に入っていた匂いだ。

俺は女に葉っぱを持ったまま言った。


「これは間違いない。あの薬に入っていた。」


女はそうか!と手をポンッと叩くと俺に答える。


女「じゃあ私が知ってる薬草拾うから、君は嗅ぎ分けて!そしたら薬作れるよ。」


俺はコクリと頷いた。


女はそれを見るとスッとしゃがみこみ、薬草を手に取り、少し確認しては俺に渡す。


俺はそれを嗅ぎ分けて、間違いないものだけを手にためていく。


そんな作業を1時間くらいしただろうか。

辺りは薄暗く、街の灯りが目立つようになってきた。

まるでホタルがたくさん飛んだかのような光を放つ。

その中で大きな白い建物は機械的な蛍光灯のような色の光を放つ。


あそこか…ボソリと俺が呟く。


女は立ち止まり、俺に言う。


女「今日はここで休もう。まだ距離もあるし夜は目立つから。

明日とりあえず街まで行って街の様子を見てからいこう。」


俺は女の提案に違和感を感じた。

夜の方が目立たないんじゃないのか?

街の様子が関係してる??

俺は女に質問する。


「夜を避けるのはなぜだ?」


女は俺を見てまっすぐこう答えた。


女「君、夜になると自分がどうなってるか、わかってないんだね。」


俺はなんの事だかわからなく、女に目線を向ける。

女は続けて俺に言った。


女「夜になると光ってるんだよ、君の目は。しかも金色にね。」


俺はハッとした。

今までで目が光ることを気にしていなかった。

そして、目を閉じてため息をついて俺は女に従う。


気がつくと夜空に星が散らばっていた。

空なんて見上げた記憶がなかったが、こんなものだったのか。


女は疲れたのか、近くにあった切り株に座ったままうつむいて寝てしまったようだ。


俺はそんな女を横目に夜空を眺める。

俺は…売られた…

金のためなのか、それとも…

まぁ、いい。

直接会って聞いてやろう。


待っとけよ、親父。


歩いて街に出るにはまだ遠い。

その間に謎を1つずつ解いていこう。


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