翌朝
俺は窓からの暖かい日差しで目を覚ます。
「あっちっ!」
軽く火照った身体を冷まそうとバタバタと手であおぐ。
今日は勝たなければならない日。
俺は内容は全く知らない。
だが、負けられないのはわかる。
負けて俺に待っているのはきっと死だろう。
そういえば…昨日貰ったドリンクをカチッと開けて俺は一気に飲み干す。
味は酷く苦くて酸っぱい。
あいつ、よくこんなモノ一気に飲んで平気な顔してたな。
俺は妙な違和感を覚えた。
身体が熱い。
だが、不快なものではなく、どこからか力がみなぎっているかのようだ。
「ふぅ。」軽くため息をつくと身体の異変に気づく。
腕の毛が逆立っている。
自分の姿は見えていないが何かが起きたことは確かだろう。
そんな時、またあの音が鳴り響く。
トントン…
ガチャ…カツンカツン…カツンカツン…
女「Hello!気分はどう?君、アレ飲んだね?」
口元だけで笑う女は少し不気味だった。
目は決してそらさずに俺にまっすぐにとらえている。
「飲んだ。俺に今何が起きている?」
女はフッと笑うと、こう答えた。
女「これはね、君にとってきっと必要になる薬だよ。」
俺はどういう意味かわからずに間髪入れずに質問する。
「この薬はなんなんだ?」
女はそんなことも知らないのか。と言わんばかりの顔でこう答える。
女「それはね、君のあと2パーセントの適合できないところを強制的に適合させる薬だよ。」
俺はますます意味がわからなくなった。
適合ってなんだ?!まず、俺は何かをされたのか?
女に向かって食いつき気味に質問する。
「お前、俺の何かを知っているようだな。」
俺の自然と目がギラついているのがわかる。
俺はこの女に聞けることは全部聞いてしまおうと思った。
そんな時、大きなサイレンが鳴る。
…ウーーーー…ウーーーーー…ウーーーーー!!
女ため息混じりにこう言った。
女「さぁ、始まるよ。」
建物内に鳴り響くサイレン。
とても耳障りな音が爆音で流れていることにイラつく。
時間にして5分くらいだろうか。
突然サイレンが止んだ。
今度は大音量でパレードのような音楽流れてくる。
俺はイラつきを隠せず唸る。
「ヴーーーーー」
すると音楽止まり、こんな放送が流れてきた。
【お待たせしました!! 今日は待ちに待った異種格闘の日です!!】
【勝者には富を!敗者には死を!存分にお楽しみ下さい!!】
俺はこの放送でなんとなくこれから始まることを察した。
そして、これから俺の身に起こることも。
きっとそれは…ゲーム。