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神殺しのラグナロク  作者: 田月新一朗
5/5

暗闇


 

 そこは壁もなく空もない、無秩序な闇だけが広がる世界。

 ただの闇かと聞かれると、そうでは無いようだ。所々光る何かがチラチラと見えているが、すぐに消えてなくなる。

 何故かそこにはぽつんと質素な木の椅子が2つだけ置いてあった。まるで誰かを待っているかの様に......

 

 ウィークがフールを殺してもう2日が経った。その間に投獄、裁判があり、判決は死刑となった。裁判の結果は死刑。当然である、フールは腐ってもこのパルテノン王国の将軍、重要人物である。よってウィークの罪状は殺人、及び国家転覆罪である。

 ちなみに死刑が決まってからウィークはずっと寝ている。独房はやる事が無い何も無い、強いて言うならずっと死への恐怖と後悔が頭の中を駆け巡る。

 

 そんな恐ろしい現実から逃げるように眠り続ける。

「起きろ、238番!面会だ」

「面会......?誰ですか?」

 目覚めたばかりでぼんやりとした意識のまま看守に連れられて面会室に向かう。向かった先には見慣れた青年が座っていた。

「よう、元気だったか?」

 片腕を失ったキュースが笑顔で話しかけて来た。最後に会った時よりも少しやつれているようだ。それから30分程度他愛のない会話して、面会終了時間が訪れた。

「じゃあ、俺帰るわ」

「ありがとう、会いに来てくれて」

 少し名残惜しさを感じ、俯いているとキュースが思い出したかのように口を開いた。

「そういえばお前の処刑を担当するの俺だから」

「え?」

理解できなかった、あまりに衝撃的すぎて言葉も出なかった。するとキュースが少し大きなため息を吐いて

「仕方ねぇだろ、王にやれって命令されてなぁ、国家転覆罪の大犯罪者の仲間じゃないと証明したいならお前を殺せってさ」

 仕方のないことだ、ウィークは犯罪者なのだ。犯罪者の仲間と疑われるとキュースとリリスの安全は当然保証されないだろう。

「悪ぃけど、俺とリリスの為に死んでくれるか?」

 キュースは苦笑いを浮かべ悪びれる様子もなくそんな事を言ってきたのだ。最後にその一言を残し、キュース去って行った。

 

 面会が終了し、自身の独房へ戻る。ウィークはあまりのショックに精神的に疲れ果て、眠りに着こうとしていた。

「ああ、またこの夢か、僕はまた落ちていくのか......」

 ウィークそう言って暗く、深い泥に落ちていく様な感覚を感じ眠りに着いた。

 

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