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神殺しのラグナロク  作者: 田月新一朗
4/5

Crollo


 目を開けるとそこには、惨劇が広がっていた。床1面に血が広がっており、血とアルコールの混ざった臭いが鼻を刺激する。周囲の人怯えた視線が僕に刺さる。

「何が起きたんだ?」

ウィークのその言葉だけががしんと静まり返った酒場に響く. . .


 嫌われ者の将軍フールは恐ろしい形相で店のカウンター席に座り、最高級のウィスキーとステーキを頼んだ。

 芳醇な香りと同時に冷やかな空気が酒場に漂った。ある程度ウィスキーを飲み出来上がったフールはフラフラと千鳥足でウィーク達のテーブルへ歩いてくる。

「おやおや、これは巷で噂の美少女剣士のリリスじゃないか、何故こんな芋臭い連中と同じテーブルに居るのかな?」

口を開く度にアルコールと加齢臭が周囲に漂う、隣の席の冒険者なんか今にも吐きそうである。

「彼等は私の仲間ですので、一緒に居て当然です。将軍様」

リリスは表情を崩さないままフールに受け答える。

この異臭の中平然と会話が出来るリリスに冒険者達の心配そうな眼差しが向いている。

「こんな腐った奴等と一緒に居ると君まで腐ってしまうよ。どれこっちでわしと飲まないかね?」

彼を悪徳将軍と呼ばせる理由の1つである「気に入った娘を権力でねじ伏せ強姦する」と言う悪癖が始まった。

「すみません。フール様、私は仲間と共に食事を楽しんで居るので、お断りします」

だが、この状況でもリリスはNOの一点張り流石に頭に来たのかフールはリリスを睨み付け、腹部勢い良くに拳を叩きつけた。鈍い音と他の冒険者の困惑した声が酒場に響く。あまりの破壊力にリリスは気を失ってしまった、

「ふん。頑固な小娘め、最初からわしの言う事を聞いていれば良いものを。そこの冒険者、小娘はわしが連れて帰るが文句は無な?」下卑た笑みを浮かべ、フールが問いかけてくる。

「あ、あ、」

掠れた声で反論しようとしたその時。

ガタンッ!と椅子が盛大にひっくり返る音がした。

さっきまで隣に座っていたキュースが立ち上がったのだ。

「フール!リリスを返せ!この腐れ将軍がよぉ!!」

キュースの怒りに任せた剣がフールを襲う。

 

 勝負は一瞬だった。キュースは片腕を失い、剣は砕け、大量の血を流して倒れていた。

「さて、後は小僧貴様だけだぞ」

フールの嘲た目が睨みつける。咄嗟に反論しようとしたが、声が出ない動けない恐怖に支配され、蛇に睨まれたカエルの様な状態である。

『動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け』

何度も心の中で自分に言った。だが、身体は微動だにしない。

「もう良いかな?では、帰るとしよう」フールがリリスを連れて行こうとしたその時っ!

頭にドライバーを刺しこみそのまま電気を流したかの様な激痛が走った。あまりの激痛で頭を抱え、目を閉じた。

 

 激痛が治まり目を開けるとそこは、一面血の海だった血の中には臓物らしき物や肉片、衣類だった物も落ちていた。血とアルコールの混ざった激臭が鼻を刺激する。

そこで、ウィークは自身が手に持っている物にやっと気付く、剣だ。普段から愛用している剣を持っていた。剣はヒビ割れ、血がべっとりと付着していた。

「何が起きたんだ?」

ウィークのその言葉だけがしんと静まり返った酒場に響いた。いつの間にか目が覚めていたリリスと周りの冒険者達は化け物でも見るかの様な怯えた目でこちらを見ていた。

「ねぇ!リリス、ここで一体何があったんだよ!?」

近付こうとした瞬間”ヒッ”とリリスが声を漏らした。リリスが怯えた目でこう言う

「お願い、近付かないで!この人殺し!」

その言葉は何よりもウィークの心を抉った。あまりのショックに血で濡れた床にヘタレ込んでしまった。

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