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朝の目覚め

おそくなりすいません

「とおるくん、、もう朝だよ」


日の光がカーテンの隙間から強く刺し、電気をつけなくとも十分なくらいの明るさに部屋はなっている。

昨日テレビでは心霊特集をしていて、それを最後までしっかりと見たせいなのだろうか、金縛りのようにベッドの上で寝ていた俺の腰から胸のあたりにかけて、体を起こすことができない。

まだまだ眠い体を一旦放置し、目蓋だけをとりあえず動かすことにする。

視界が安定せず、よく見えてはいないがそこにいるのが誰なのかはすぐに理解できた。


「ひまり?なんで俺の上に?」


「あ、、おきた・・」


ひまりは俺の上にまたがりながら、顔を覗き込んでくる。

俺が起きたことを認識すると、上半身を包み込むように抱きついてきて、胸に顔をうずめた。


「…ん、、すぅ〜、ふぅ〜…はへぇ……///」


ひまりは蕩けた声を出しながら俺のにおいを嗅いでいる。


「ちょ、おいなにしてんだよ。朝飯食べに行かないと」


俺が引き剥がそうとすると、ひまりは頭をぶんぶん振って抵抗する。


「もうちょっと・・・こうする///」


いつものごとく、こうなったら手がつけられない、諦めて堪忍した俺は頭を撫でることにした。


(あ…これきもちよくてあんしんする…えへへ)


そうこうしているうちに、ドンドンドンという音が階段を駆け上がり、母さんが入ってきた。


「2人とも、ご飯できたわよ〜。あら、ふふふ、抱き合っちゃって仲がいいのねえ〜そのまま結婚しちゃったらどう?ひまりちゃんとってもいい子だし、私大歓迎よ!ひまりちゃんはどうかしら?」


何言ってんだか、俺のと結婚なんてひまりは嫌だろうに。

朝から調子いいな、母さんは。

いっつも韓流ドラマとかばかり見てるから、ちょっとそれに似たことがあるだけで過剰に反応されて困る。


「わ、わわわたしは…それでいいっていうか……それがいいというか……//」


いや、ひまりも合わせなくていいよ。


「本当?それなら私も安心だわ!」


こっちは寝起きなんだぞ、朝から変な芝居はやめてほしいものだ。


「はぁ……ひまり、下降りて朝ごはん食べよう」


俺は早々にこの茶番を切り上げることにして、半ば強引にひまりの手を取って階段を下る。

俺達が食べている時ですら、母さんはずっとニヤニヤしているので食べづらいったらありゃしない。

あんなとこ見られたら、母さんの性格的にこうなることはわかっていたから何とかしてひまりを剥がす必要があったのだが……。


それにしても、何でひまりはあんなことをしたんだ?普段なら下で待ってるだけなのに。

気になって仕方がなかったが、そこを母さんに見られるともっとめんどくさいことになると思い、家を出るまではそこについて追求することはなく身支度を済ませた。


「行ってきます」


「はーい、いってらっしゃい!一緒に行くんだからもっと仲を深めなさいよ!」


(……そうだよね、もっと頑張らないと、、そうじゃないと…)

俺はしつこい母さんを振りきり歩き出す。

まだ梅雨が開けたばかりだが、そろそろ夏に向けて色々と準備をしていかなければならない。

期末テストや部活のコンクールなど、やらなければならないことは山積みで頭が痛くなりそうだ。

それでも、乗り越えた先には夏休みがあるわけなんだから、頑張り甲斐があるってものである。

家から歩いて、5分くらいが経ったところでそろそろ朝の行動の理由を訊くことにした。


「ひまり、何で朝あんなことしたんだ?」


俺からこの質問がくることは想定していたのか、すぐに答えが来る。


「…だって、、きいちゃんにとおるくんをとられちゃうと思ったから……」


取られる?昨日のこと?

きいにちょっと構いすぎたから自分の相手をしてもられてなくなると思ったのだろうか?


「きいとは仲はいいけど、特別何かあるわけじゃないから、とりあえずひまりの心配するようなことはないと思うぞ」


「嘘つかないで……だってきいちゃんはそういう顔してたもん」


そういうってどんな顔だよ。

さっきから疑問が積み重なるばかりだ。

それでも、俺は幼馴染としてひまりには元気にいて欲しいし、できることはするべきだと思うから、落ち込んでいるのならなんとかしてあげたい。


「俺には分からないけどよ、ひまりとは"幼馴染"、きいとは部活の"後輩"。それ以上でもなくそれ以下でもないんだ。だから俺とひまりの関係が壊れたらなんかしない」


「…うん、」


(とおるくんはこう言ってるから、きっとまだ何もきいちゃんとは進展してないんだろうけど。

きいちゃんのあの目は間違いなく、とおるくんのことを好きな目だった……

どうしたらいいんだろう……私を"幼馴染"じゃなくて、1人の女の子として見てもらうにはどうしたら……)

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