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悪役令嬢の嗜み 06




 血の魔眼が持つ可能性に気づいてから、ベルスレイアの毎日は矢の如く過ぎ去っていく。

 魔素を魔法に変換する鍛錬。魔素操作の鍛錬。さらには、新たに気づいた魔眼の使い道。


 そう、魔眼はあらゆる情報を処理する力がある。

 ならば、自分自身の情報を処理できるのではないか?


 これに気づいたベルスレイアは、未だ効果の分からなかったスキルを魔眼で解析しようと試みた。


 結果は成功。一つ残らず、全てのスキルの効果が判明した。

 また、既知のスキルだと思っていたものも、ゲームの頃とは微妙に異なる性能を持っていると判明した。


――――――――


血統:身体的能力の成長力に優れる。


カリスマ:周囲の味方の能力を向上させる。


先手必勝:先に攻撃を仕掛けた時、能力を向上させる。


武器節約:武器の消耗を軽減する。


根性:生命力が1より多い時、生命力がゼロになる攻撃を、一度だけ耐える。


自然治癒:生命力を回復し、肉体の欠損を修復する。


孤高:周囲に味方が居ない時、自身の能力を向上させる。


人類特攻:人類へ攻撃する時、与えるダメージに補正がかかる。


――――――――


 これらのどれもが、ゲーム時代とは異なる性能だった。ベルスレイアの知識だと、例えば根性の効果は運命力の二倍に等しい確率で発動するスキルであった。

 しかし、この世界では確率発動ではない。一度耐えると、極めて長いリキャストタイムが発生する方式だ。LTOでは、確率の許す限り永久に耐え続けていた。


 根性のスキルに限らず、どのスキルも効果に変化があった。LTOの認識のままでは、どこかで大きな失敗をしていたかもしれない。と、ベルスレイアは考えた。


 そして肝心の、未知のスキル群。その効果についても判明していた。


――――――――


血の呪い:自身の周囲にいる敵の能力を下げる。


血の解錠:血液を鍵穴に入れ、解錠する。魔法による施錠に対しても有効。


血の翼:生命力を消費し、飛行能力を得る。


覇者の魂:ステータスの成長率を大きく高める。また、成長上限を上昇させる。


赤い月:自身の受けたダメージの分だけ、次の攻撃の威力に上乗せする。この攻撃は、相手の防御力、抵抗力を無視する。


収納魔法:物品を保管可能な、時間の経過しない空間を生み出す。空間の広さは魔法力に依存する。


血の魔眼:他人のステータスを確認できる。物品の性能を確認できる。周囲の状況を把握できる。本人に適性のある魔法を発動可能になる。


――――――――


 全てのスキルが強力な効果を持っていた。特に覇者の魂と赤い月には目を見張るものがある。


 この世界はLTOと同じく、ステータスの上限が職業により一定に決まっている。その上限を突破するスキルは極めて有用だ。LTO時代でも、多くのプレイヤーが限界突破系スキルを求め争っていた。

 故に、覇者の魂の成長上限を上昇させる効果は美味しい。しかも、成長率も高まる。あらゆる他人に対して、能力面で優位に立てるだろう。


 また、赤い月も極めて強い効果と言える。効果から言って、攻撃スキルではなく常時発動型だ。しかも、威力を定数で上昇させる。

 LTOは攻撃の威力から防御力、または抵抗力の値を引いたものがダメージとなる。そのため、防御無視効果は極めて効果が高い。そこに受けたダメージ分の威力上昇もある。

 よって相手が強ければ強いほど、こちらの攻撃も強くなる。


 さらには、血の翼。これにより飛行能力を獲得。しかも、ベルスレイアには自然治癒のスキルがある。これにより、実質的にコスト無しで血の翼を行使可能となっている。


 ベルスレイアは、自身のスキルに満足していた。

 さすが私。これなら誰よりも強くなれる。何人にも侵されない、完全で最高の私であることが出来る。

 そう考え、ニヤつく。


 しかし今はまだ、無敵ではない。最強でもない。

 故にベルスレイアは謙虚に、真面目に、一途に。狂ったように、己を鍛える。

 未だ立ち上がることもままならない赤子の身でありながら。

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